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久しぶりに再会した従妹のお嬢様は孤独で壊れてヤンデレ化していた
written by 霜月鷹
  • 監禁
  • お嬢様
  • ヤンデレ
  • 従妹
公開日2022年01月27日 17:32 更新日2022年01月27日 17:32
文字数
4195文字(約 13分59秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
「兄さん」に会いに来たお嬢様
視聴者役柄
お嬢様の従兄
場所
自宅、レストラン、お嬢様のお屋敷
本編
あ、あの……そこの御方、少し宜しいでしょうか?
突然で申し訳ないのですが……その、私の事……覚えてますか……?
最後に会ったのはもうずっと昔の事ですが……私の事、まだ覚えてくれていますか?
はい!貴方の従妹で、小さい頃は一緒の家で暮らしていた……良かった、覚えていてくれたんですね。
お久しぶりですね、兄さん。
当たり前のことかもしれませんが、その……昔と比べて、雰囲気が全然違いますね──私もですか?
「昔よりずっと綺麗になった」……ほ、本当ですか!?
ありがとうございます……兄さんにそう言ってもらえるのは、とっても嬉しいです。
その、今日はどうしてもお伝えしたい事があって来たのですが……はい。
叔母おば様……兄さんのお母上に関わる事です。
「帰ってくれ」……その、兄さんが叔母様に受けた仕打ちは私も知っています。
でも、どうしても聞いてほしい事なんです。
過去にどんな事があったとしても、叔母様は私と兄さんを繋いでくれた……私にとっては兄さんと同じくらい、大切な人でした。
だから、だからそんな冷たい目で私の事を見るのをやめてください……私、その視線には耐えられません。

叔母様……兄さんのお母上が、鬼籍きせきに入られました。

……悲しんだり、しないんですね。
兄さんが叔母様と最後に会ったのは十年以上も前、もう赤の他人かもしれないですけど……それでも、ご自分の肉親が亡くなったという事を知っても、兄さんは悲しまないんですね。
「要件が済んだなら帰ってほしい」……やはり、私の事も嫌っているのですね。
分かっていましたよ。だって、私の事を褒めてくれた兄さんの声……とっても冷たかったですから。
それでも私は兄さんと……兄さんと昔のように接する事が出来ればと思ったのですが……無理、ですよね。
そうですよね……本日は急に押し掛けてしまい、大変申し訳ありませんでした。
兄さんには迷惑かもしれませんが、これを……私の連絡先です。
お困りの際は此方に連絡して頂ければ、可能な限りは助力を致しますので……それでは、失礼します。



(着信音)

兄さん……お電話をして頂きありがとうございます……その、何かお困りの事でもあったのですか?
「どうして声を聞く前に自分だと分かったのか」……この番号、兄さん以外に知ってる人は誰も居ませんから。
それで、今日はどのような要件でしょうか?
私が力になれるような事であれば良いのですが──話がしたい、ですか。
そうですか……でしたら、何処かで食事などは如何でしょうか?
この間はその、ちゃんとお話しする事も出来ませんでしたから……急にあんな事を言っても、兄さんを困らせるだけでしたのに。
ごめんなさい、私の配慮が足りませんでした。
それではこの後、駅前までお越しいただいても宜しいでしょうか?
そこで合流してから、兄さんを案内したいお店までお連れしますので……はい、分かりました。
一時間後に駅前集合ですね、了解しました。

(通話終了

ふぅ……ごちそうさまでした。
あの、もし宜しければ此方のお店の感想を教えて貰えないでしょうか?
そうですか……そう言ってくださるのなら、このお店を紹介した甲斐がありました♪
「貸し切りはやり過ぎな気がする」……そ、それは確かに。でも、私が頼んだわけでは無いんですよ?
大事な人との食事をここでしたいってオーナーさんに頼んだら、どういう訳だか貸し切りにしてもらって……まぁ、余人よじんを気にしなくても良いのは有り難いですね。
それでその……兄さんにお聞きしたいことがあるのですが、どうして兄さんは一人暮らしをされているのですか?
叔父おじ様は──そうですか、亡くなっていたのですね。
その、申し訳ありませんでした……私の家族ですか?私の両親も、ずっと昔に亡くなっています。
でも、お別れは悲しくなんてありませんでした。
兄さんと会えなくなった時に比べれば、あの人達の死は何てことありませんでしたから。
えっと、なんだか驚いてるみたいですけど……私、なにか変な事でも言ってしまいましたか?
「そんな事を言うとは思わなかった」……ですか。
あはは……正直な話、私は両親になんの関心もありませんでしたから。
将来の私ばかりを心配して、目の前にいる私をちっとも見てくれなかった人達の死なんて……例え嘘でも、泣いてあげる事は出来ませんでした。
私が泣いたのは兄さんと会えなくなったあの時だけ……私の大切な人が消えてしまったあの日だけです。
もう二度と兄さんに会えないって教えられた時は絶望しましたけど……でも、こうしてまたお話しできるようになって、とっても嬉しいです。
「自分もだ」って──兄さんも、この時間を嬉しいって思ってくれるんですか?
嬉しいですけど……でも、だとしたらこのはどうして?
「どう接すれば良いのか分からなかった」……ですか。
それはその、本当に申し訳ありませんでした……私、兄さんに会えるって思ったら居ても立っても居られなくて。
「そういうところは昔と変わってない」……そ、そうですか?
私だって、これでも大人な雰囲気だとか色んな人に言ってもらえてるんですけど……やっぱり、兄さんの前だと気が抜けちゃいますね。
なんだか昔に戻ったような……久しぶりに、温かい気持ちになれた気がします。
そういえば兄さん──って、なんだかぼんやりしてますけど、大丈夫ですか?
「眠くなってきた」……そういえば兄さん、日中は学校やバイトで忙しかったですからね。
どうして知っているのかと言われましても……私は兄さんの事なら何でも知ってますよ♪
それより、眠いようでしたら少し仮眠をなさっては?
私達以外のお客さんはいませんし、その間に迎えの車を手配しておきますので。
はい!今日は私からの恩返しだと思って、私の言葉に思いっきり甘えてくださいね♪


多分、次に目が覚めるのは──


(扉の開閉音)

おはようございます、よくお眠りになれましたか?
「此処はどこなのか」……部屋をよく見てくだされば、兄さんもすぐに分かると思いますよ。
はい、正解です♪
ここは私の部屋、毎日のように兄さんと遊んでいた二人の思い出の場所です♪
あの時とは内装も多少は変化していますが、とっても懐かしいでしょう?
勿論、兄さんの部屋もちゃんと残っていますよ……まぁ、今は物置同然の扱いになっているんですけどね。
後でメイド達に片付け等を頼んでおきますから、それまでは私の部屋でゆっくりしていってください。
そうそう、荷物の運び込みは既に終わっていますので、荷解きの方も一緒に頼んでおきますね。
どうしたんですか、そんなに驚いたような顔をして……私、何か変な事でも言いましたか?
だって、この家には兄さんの事を拒む人間は誰一人として居ないんですよ?
それなら兄さんがこの家に帰ってくるのは普通の事じゃないですか……もう、[[rb:揶揄 > からか]]わないでください。
兄さんの家はあの時からずっとこの屋敷だけ、だって昔からずっと一緒に居たじゃないですか。
家族が一緒の家に居るのは当たり前の事、だから兄さんがここに居るのは当たり前のことなんです──私の言ってる事、何もおかしくないですよね?
おっと、兄さんが思いのほか早く起きちゃったせいで本来の用事を忘れてしまうところでした。
本当なら兄さんが起きる前に事を済ませておきたかったのですが……ちょっと失礼しますね。
「これはなに」って言われても……見て分かりませんか?兄さんの事を縛る為の鎖、ですよ。
だって兄さん、こうしていてもまた何処かに消えてしまいそうだから……
でも、こうしてこの屋敷に縛り付けてしまえば……兄さんはもう、何処にも消えたりしませんよね?
兄さんの事を縛り付けて、部屋の扉に鍵を掛けて閉じ込めてしまえば、兄さんは消えてしまったりしないでしょう?
ねぇ兄さん……どうして黙ってるんですか?私、この瞬間の為にいっぱい頑張ったんですよ?
昔みたいに褒めてください……そんな目で私を見ないでください、私が欲しいのはそんな目じゃありません。
昔みたいな優しいまなざし、私の事を褒めてくれる優しい声……ねぇ、どうして兄さんは、私の事を怖がっているんですか?
私はただ、また兄さんと一緒に居られるようにっていっぱい頑張ってただけなのに……兄さんの事を知りたくて色んな事を観察して、住所も調べて、バイト先や通っている学校のクラスも調べて、バレないように飲み物に薬を仕込んで……他にもいっぱい、兄さんに戻ってきてもらう為に色んな事をしました!
だから、昔みたいに私を褒めてください……あの時みたいに、優しく頭を撫でてください……

「ここから出してほしい」……兄さん、何を言ってるんですか?

ここは兄さんの家なんですよ?ここは兄さんの帰ってくる場所で、兄さんは此処に居なきゃいけないんですよ?
それなのにどうして、此処から出たいなんて言うんですか?そんなの、ゼッタイ駄目に決まってるじゃないですか!
だって、此処から外に出してしまえば兄さんはまた……何処かへ──そんなの嫌、絶対に嫌!
兄さんが居なくなるなんてダメ、そんなの絶対にダメ……だって兄さんがいなくなったら、私はまた独りになっちゃう……ねぇ兄さん、兄さんはまた私の事を置いて行っちゃうの?
私を独りにしないで……私の傍を離れないで……大人しく、私のモノになってください。
ねぇ、どうしてさっきよりも怖がっているんですか?
私はただ、兄さんと一緒に居たいって言ってるだけじゃないですか……それなのに怖がるなんて、兄さんって少し変わってますね。
あぁそっか、兄さんは大人のせいで何処かに行ってしまったんでしたっけ。
あの時、大人達におかしくされてしまったんですね……私の想いを怖がってしまうように、心をおかしくされてしまったんですね。
それなら、私が治してあげないと……壊れてしまった兄さんを、私が助けてあげないと。
兄さんが私に優しくしてくれた分、今度は私が兄さんを助けてあげます。
生活の事なら、心配しなくても大丈夫ですよ。
兄さんの学校には休学届を提出してありますし、バイト先にも「ここを辞めさせていただきます」と連絡をしておきました。
これで兄さんは心置きなく、好きなだけ此処に居ることが出来ますよ……だからしっかり、治療に専念しましょうね。
昔みたいに互いが互いを愛し合っているような、そんな理想的な関係に戻れるように。
兄さんは今病気なんです……その病気を治せるのは私だけ、だから私が今から治療をするんです。
怖いなんて感情はすぐに消えてくれますから、どうか安心して、私に身を委ねてください。
大丈夫です……私達はこれからずっと、ず~っと一緒です。
もう二度とはなばなれになる事なんてありませんから……だから安心して、昔みたいに幸せな生活を送りましょう。

私の……私のとってもすてきな、世界で一番の兄さん……♪
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
久しぶりに再会した従妹のお嬢様は孤独で壊れてヤンデレ化していた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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