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サンサーラ
written by らいみー
  • シリアス
  • ファンタジー
  • 罵倒
  • 母親
  • 学生
  • サイコパス
  • 父親
  • 神様
  • 転生
公開日2022年02月14日 04:53 更新日2022年02月14日 04:53
文字数
6086文字(約 20分18秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
2 人
演者役柄
主人公と神様
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
少女は神様が創造した世界に翻弄される。
本編
主人公:(ナレ)この作品はフィクションです。作中に登場する人物や団体、思想などは作中にのみ適応するもので、実在の人物や団体などとは一切の関係を持ちません。

-----本編

主人公:「「ヤッパリ…」」

神様:ふふ、また私の人形が何か言って…おや?これはこれは、ようこそいらっしゃいました。さあ、座ってください。本日はとてもいい日だ。そうだ、良ければご一緒に… ん?椅子がない?。失礼しました。

-神様、指を鳴らす

神様:どうぞ。ふふ、突然目の前に椅子が出てきては驚くのも当然ですねぇ。申し遅れました。私、神様です。古今東西いろいろな神がおりますが、私の同僚たちは皆勤勉でして… 戯れることも叶わずに、ながらくこうして…っと、これは内緒ですよ?。とても聞かれて気持ちのいいものでは… おや?

-神様、指を鳴らす

神様:せっかくのお客人ですがねぇ…。逃走を図られては悲しい結末に…。あなたはどうするんです?そうですか。ふふ、ではお楽しみくださいねぇ。

-神様、手を二回叩く




主人公:クローゼットの中で震えている私を、必死に探す足音がする。
「今日は何されるのかな…」
興奮した母親の声に反応した犬が吠えている。そう思ったのもつかの間、クローゼットの扉がすごい音を立てた。
「怖いよ…」
これから私もこの扉と同じように、殴られ蹴られるのだろう。
それも理不尽な理由をつけられて。
私は…





神様(お父さん):虐待されてる?

主人公:「うん。ほら見て、ここ。あざ。」

神様(お父さん):そこは、鬼ごっこで転んで打ったんじゃなかったのか?

主人公:「そういえってお母さんに言われたの…。ほら、ここも。」

神様(お父さん):そこは鉄棒で…って

主人公:「…昔は優しかったのになぁ」

神様(お父さん):わかった。はぁ、もう学校だろう?早く行きなさい。

主人公:「……うん。」


-----学校にて



主人公:この日常にも慣れた。下駄箱を開けると、落書きやごみで黒くなった上履きが入っている。もはや運動靴でも汚いレベルの上履きを履いて階段を上る。私の教室は四階だ。
ついこの間までは、学校が唯一の逃げ場だった。友達も少なかったがいなかったわけじゃない。
でも、どんなに信用できる子でも、私の家庭環境を知ると、途端に目の色が変わる。最初は同情してくれた友達も、クラスで胡坐(あぐら)をかいてる奴にそそのかされて…。
「何かあったら、相談に乗るぞ」
と言ってくれたあの優しい担任の先生も、今は何があっても知らんぷりだ。
「でももしかしたら…」
私が何も言わないからいけないのかもしれない。相談したらきっと助けてくれる。
教室に入って自分の席を見ると、私の机はさっきの下駄箱のような、ごみの掃き溜めになっていた。
「ごみ箱の中身は先週捨てたばっかりでしょ」

神様(教師):おーい席につけぇ。ん?どうしたそこ、早く席につけ!

主人公:先生に助けてもらうために、私は先生をじっと見た。

神様(教師):そろそろか…。おい!誰がこんなことをした!

主人公:窓から体操の掛け声がかすかに聞こえる。

神様(教師):なんで黙っているんだ!

主人公:私はこのクラスにはいないことになっている。普段私と会話をする人間はもうこの教室にはいない。

神様(教師):まあいい。あとで話を聞くから、君は後で私のところに来なさい。

主人公:「はい」
放課後、私は四階の廊下の端にある準備室で先生を待っていた。
四階の教室は部活動では使わないが、委員会などで使う可能性があるから、だそうだ。

神様(教師):お待たせ!ごめんねーなかなかこの準備室を使う許可が下りなくてさ。

主人公:「いえ、ありがとうございます…」
私は母親に虐待されていることや、いじめのことなど、包み隠さずすべて話した。
でも…
「あの、別に私は教室でもよかったんですよ?、聞かれても別に…」

神様(教師):僕が納得いかないんだよ。こんな話ひとにきかれていいもんじゃないだろ?
それに、君のことは大切に思っているからね。

主人公:「先生、ありがとうございます。…あの、先生?」

神様(教師):ん?

主人公:「なんで、鍵を閉め……!?」

神様(教師):ほんとに君はかわいいね…愛おしい子だ…この前の子は教頭に告げ口しやがったからな。
この部屋を取るのも苦労したんだぞー?

主人公:……!

------翌日




主人公:「もしもし…お父さん?…うん。学校にいる。いまは、休み時間で…」
私は昨日教師に無理やり襲われたことを父親に言い、助けを求めた。

主人公:「ほんとに…ぐす…つらかったの…」

神様(教師):校内での携帯の使用は校則で禁止だよぉ?

主人公:「あっ…返し…」

神様(教師):返しませーん。お父様に誤解を解いてもらわないとねぇ。もしもしお父様ですか?
先ほどの娘さんとのお話、聞かせていただきました。正気ですか?物騒ですねぇ。
「訴えるな!」
とは言いませんが…その、ご家庭の事情までは救いかねますねぇ?。
いえいえ、お分かりですか?私はあなた方の家庭環境…つまり虐待についてですねぇ。
娘さんから直々に聞いていて…脅しだなんてとんでもない。ですが、お分かりいただけて嬉しいです。では!」

主人公:そんな…

-----自宅にて

主人公:家に帰った私は、またあのクローゼットの中にいた。
「独りなんて…さみしいよぉ…ぐす」
外から鳴っていたエンジンの音が遠ざかっていく。母の車だ。「働かざる者食うべからず」らしく、滅多にご飯を出してもらえない。ので、今のうちにこっそり食べる。
「ちょっやめ…」
飼ってる犬が顔をなめてきた。
「君はやさしいなぁ…」
そういえば飼い始めてからろくに世話してない気がする
「もう…君だけが頼りだよ…」

-----後日


主人公:あれから数日、私は毎日のように犬の世話をしては、自分の孤独を癒していた。
幸せとはささやかでも幸せなんだと感じていた
「おーい!どこにいるのー?」

神様(お父さん):あの犬ならもういないよ。

主人公:お父さんが私に突然言った。ショックだった。
「なんで止めてくれなかったの!ひどいよ…」
父親が言うには、母親は私の教育によくないからと、犬を保健所に連れて行ったらしい。

神様(お父さん):もううんざりなんだよ!…お前の味方をすると…もう嫌なんだ!」

-----ビルにて

主人公:気が付いたら私は町で一番高い高層ビルの前にいた。
階段を上がるたびに、一つずつ嫌だった思い出に関心が無くなっていく
ビルの屋上につく頃には、もう何もかもどうでもよくなっていた。

「「やっぱり、現実なんてこんなもんか」」






神様:哀れですよねぇ。誰も味方のいない世界。ふふ、本当にかわいそう。

-----神様、手を叩く


主人公:「神様っているんだなぁ」

神様(旦那さん):どうしたんだよ急に。

主人公:「いや、幸せだなって。」
生まれ変わった私は、それなりに幸せに育った。
お父さんは有名企業の社長で家庭に経済的な心配はなく、
お母さんは優しくて、ほしいものは何でも手に入った。
成人した私は素敵な男性に娶(めと)られ、子供もできた。今年で15歳だ。

神様(旦那さん):そうだな。それより…さっきの、あの言い方はないんじゃないか?

主人公:子育てもちゃんとしている。昔は何をしていいかわからなくて失敗することも多かった。
でもそんなときはいつも、この本に助けられていた。気まぐれに立ち寄った古本屋さんで見つけた…
「ほら見て!この『子育てのすゝめ』にも書いてあるわ!」

神様(お父さん):「厳しさは愛」だろ?何回も聞いたよ、でもなぁ…

主人公:「まあ、でも「優しさも愛」とも書いてあるし、一度あの子に説明しましょうか。」

神様(旦那さん):ああ、それがいいよ。


主人公:「いない、どこにもいないわ…あぁ、もう!」
二階建ての家を約三十分探してもどこにもいない。どこかに隠れたのだろうか。
「はぁ、はぁ、あと探してないのはこのクローゼットだけね…」
下から犬の鳴き声がする。そういえばこの家には犬がいたような気がする。
「うるさいわね!」
私は扉に向かって手を振りかぶった。そう、厳しさは愛なのだ。

-----後日

主人公:最近はうちの犬がうるさくて眠れない。
病院で処方してもらった睡眠薬をジュースに入れて混ぜていると、声が聞こえる。

神様(旦那さん):はぁ、どうして…

主人公:「どうしたの。悩み事?珍しいわね。」

神様(旦那さん):あ、いや…何でもないよ。それ、コーヒー?

主人公:「ちがうわよ。ジュースよ、ジュース。最近犬の鳴き声が煩わしくて…寝れないのよねぇ…」

神様(旦那さん):ああ。たしかに、うるさいが…。ああ、このジュース飲んでいいか?
ふう…最近はただうるさいだけの犬じゃないみたいだぞ。

主人公:「ん?どうゆうこと?」

神様(旦那さん):あの子がここ数日犬と遊ぶようになってな、それは嬉しそうに遊ぶんだよ。

主人公:「へぇ…」

神様(旦那さん):それはもう、一日中一緒にいるんだよ。本当に楽しいんだろうな。

主人公:「そう、一日中ね、で?あの子勉強は?学校の友達とは遊ばないの?」

神様(旦那さん):それがなぁ…。

主人公:夫から聞くと、娘はいじめにあっているらしい。そのこともあって学校にも行ってないそうだ。
「どうしていじめられてるの?なんで学校に行ってないの?」
私はちゃんと子育てしているのに、どうして上手くいかないんだろうか。
「あなたが…甘やかすからよ、ねぇ?私はちゃんと愛を持って…」

神様(旦那さん):「ちょっと落ち着けよ、そんなこと……………なんだ?、これ…。眠く…なって…」

主人公:「勝手にジュースなんて飲むからね。それよりも…
この犬、ただうるさいだけでも…………なのに!あの子までそそのかすのね!
許せない、お前なんか…いらないわ!」

-----後日

神様:(旦那さん)おい!あの犬はどうした!

主人公:「ああ、あなた。あの駄犬なら…もう今頃は保健所にいるんじゃないかしらねぇ?」

神様(旦那さん):おまえなぁ!やって良いことと悪いことがあるだろ!!

主人公:当然だ。私の娘に悪影響を与えるものはいらない。だからこいつも…
「出て行って」

神様(旦那さん):え?

主人公:「聞こえなかった?出て行けって言ったのよ。あなたがここにいていい理由はもうないの。」
これでいい。お父さんの遺産があるから、当面は食べていける。何も間違ってない

神様(旦那さん):ふざけんなよ!俺は何のために…。

主人公:「黙りなさい。娘は明日から学校に行かせるから、今週中に消えて!」

-----後日

主人公:警察から電話が来た。娘が、ビルから飛び降りた。自害したのだ。
「どうして…」
私は正しかったはずだ。あの本に忠実に。私は間違ってない。

-----後日

主人公:「うるさいなあ」
娘の葬式に向かっている。駅のホームの横で踏切が唸っている
「ふふ、ふふふ」
弔いに赴く最中にこと切れるのも滑稽かもしれない。
これで二回目か。神様、次は人間以外がいいなぁ。もう、うんざりだから。

「「やっぱり、現実なんてこんなものか」」


神様:のぞみどうりにいたしましょう。ふふ、うまくいかない世界ですか。面白いですねぇ。

-----神様、手を叩く






主人公:うるさいな。誰だ、窓をたたくなよ。
…子供?それに…後ろにはその親。
そういえば、ここはどこだろう。狭い…なんだこれは。首輪?

神様(旦那さん):柴犬かぁ、かわいいなぁ。

主人公:なるほど。確かに人間は嫌だといったが、まさかペットショップの犬に生まれ変わるとは。
これは、神様からのご褒美だろうか。大切に飼われて幸せになれと。うわぁ!
なんだ、店員か。さすがプロ、抱かれるだけで癒されて…ん?

神様(旦那さん):大切にするんだぞ?

主人公:さっきの家族に飼われるのかぁ。ふぅ……うん。幸せになる準備よーし!

--------数年後

主人公:おなかすいた…。たまにしかくれないご飯でどうやって生きろってんだよ…。
お、お父さんだ!やっとごはんかぁ。五日ぶりだな。

神様(旦那さん):あいつ、どうしてこんなに…、

主人公:ん?なんだなんだ?

神様(旦那さん):あの子がかわいそうじゃないか…

主人公:お父さんは、お母さんが子供に向かって虐待していることや、そのせいで子供か気弱くなっていること
ご飯をくれるたびに、いろんなことを愚痴っていった。

神様(旦那さん):お前に行ってもしょうがないか。

主人公:まあそうだな。私はしゃべれないし。
でも、もし私がしゃべれたらこの愚痴はすぐにやむと思うね!
お母さんは思い込みが激しいし、子供は思い込みが激しいし。話せばすぐだよ!すぐ!

-----後日


主人公:おなかすいた…ん?お父さんが電話して…

神様(旦那さん):どうした?今日は学校じゃなかったのか?ああ…

主人公:どうやら子供が先生に何かされて…ん?

神様(旦那さん):そうか…。つらかったなぁ。お父さんが付いてる。………もしもし…!

お前が!あんなひどいことを、訴えるからな………!……どうゆうことだ!?
なに…娘が?!……くっ……あっ!もしもし!?

主人公:まさかの…くすっ…虐待のことで脅されるって、それはないだろぉ!ははっ、はははっ。

-----後日

主人公:だめだ…腹が減って…あ、子供が返ってきた。そうだ、あいつに…。
ご飯くれよう。ほら、顔舐めるからさぁ。腹減って死にそうなんだ。
え?何言ってんだよ、お前の味方なんてしないよ。ほら、ご飯、はやくはやくぅ

-----後日

主人公:最近はあの子がごはんをくれて腹いっぱいだ。やはりこういう扱われ方をされるべきなのだ。

-----後日

主人公:きょうもあの子がご飯をくれた。このままゆっくり寝られそうだ。
ん?お父さんとお母さんが言い合いしてる?なんかお父さんが出ていくっぽい?
あれ、お父さんここで寝るの?あれ、お母さんがこっちに来る。
どしたの。そんなに怖い顔して、ええ?!わたし、あの子をそそのかしてなんか…!。

------後日

主人公:私は今保健所にいる。くだらない誤解によってあの家を追い出されたんだ。
でも、ここにいればまた新しい人が飼ってくれるって管理人のおじさんが話してたし。
私の幸せは、ここからだ!早く新しい飼い主来ないかなぁ…ふかふかのベットで寝てぇ、美味しいご飯で毎日お腹いーっぱいに……わぁ!?。
って管理人さんか。抱かれてるってことは…もしかして!って…
何この器械でっかい刃がついて、それに生臭くて、鉄の匂いも混じってる?………まさか!。






神様:「「やっぱり、現実なんてこんなもんか」」
言いそびれてたみたいなので代弁させていただきました。ふふ。
さあいかがだったでしょうか。私の作り上げたこの世界。

時に教師として…

主人公:せんせ…やめ…痛い!…うう…

神様:時に夫として…

主人公:私は悪くない、悪くないの…あなたがすべていけないのよ!

神様:時に保健所の管理人として…

主人公:こわい…こわいよぅ…なんで私は…

神様:あぁ、そういえば『子育てのすゝめ』を執筆して、その辺の古本屋に売ったのも私です。

え?どこが面白いかって?

すべてが滑稽じゃないですか。自分の信じたものに裏切られて心から崩れ落ちたあのクソガキも、

理想を押し付け、誤った道に進んだ挙句、その過ちを認めまいとするあの毒親も

そして、その両方が過去の自分自身だと気付くこともなく、他人のように嘲笑ったあの駄犬も。


はぁーーー!!だからやめられないんですよねぇ!この暇つぶしは楽しくて楽しくて!

……本当に神様でよかったと思っています、ふふ。

え?お前は狂ってる?面白いことを言いますねえ。この世界は私が作り上げた世界。私が好きに遊んでなにか問題でも?
何が面白いかわからない?なら実際に体験してみますか?
いえいえいえいえ!遠慮せずに。私の暇つぶしに、ぜひ付き合ってください。


それでは。ごゆっくり。

------神様、手を叩く
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
サンサーラ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
らいみー
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