貴女は毎夜、山奥に住むとあるハーフヴァンパイアのピアノ演奏を聴きに行っていた。
彼の演奏と優しさに魅了された貴女は、婚約者がいるにも関わらず、彼に交際を申し込むが…？

(演奏終了)

ふう…ありがとう。僕の演奏、最後まで聴いてくれて。

そうかな？僕、上手く弾けてた？

ふふっ…そっか。よかった…君の心に届く演奏ができて。

ん？……それは愛の告白と受け取ってもいいのかな？

へぇ…そうなんだ。僕、君の心を知らないうちに射止めちゃったんだ。

そうだね……僕も君のことが好きだよ。

毎回夜遅くに、こんな辺鄙な山奥までわざわざ演奏を聴きに来てくれるんだから。

ふふっ…僕の演奏に惹かれて、か…

素直に嬉しいよ。ありがとう。

僕のことを受け入れてくれる人間は君だけだ。

僕も…君のことを受け入れていいかな？

(キスされる)

…いいの？引き返すなら今のうちだよ？

…分かった。なら、君を僕の眷属にしてあげる。

(抱き寄せる)

君の顔…綺麗だ。月明かりに照らされるとよく分かる。

うん、とっても綺麗。

それこそ、その辺のダイヤモンドや水晶なんかよりもよっぽど。

ふふふ…僕の顔も？そっか…そんなことは初めて言われたな。

ご存知の通り、僕は人間から迫害されてきたヴァンパイアだからね…ハーフだけど。

そうだよ。僕の父さんはヴァンパイア。

母さんも周りの人から「よくもこんな化け物を産んでくれたな」って言われて…

うん…僕は化け物の子だ。

でもね、そんな化け物でも人間らしくいられる時がある。それが今。

こうやって月の出てる夜にピアノを弾いてると、なんだか心が洗われていく感じがするんだ。

ははっ…僕、おかしいかな？ヴァンパイアのくせに、こんな感受性持つの…

(抱きしめられる)

優しいね、君は……僕にそんなふうに言ってくれるのは、君だけだよ。

うん…君はとっても魅力的で素敵な女性だ。僕なんかにはもったいない。

あはは…そっか、うん。自分のことは悪く言わない。約束する。

ねぇ…ちょっとだけ匂い、嗅がせて？

(匂いを嗅ぐ)

いい匂い…とっても綺麗な香り…

うん、ずっと嗅いでられる。素敵な匂いだ。

え…？そう、なんだ……君、婚約者がいるんだ…

あ……いいの？彼のこと、好きじゃないの？

うん、うん……君の気持ち、分かったよ。

そこまでお願いされたら、断れないじゃないか。

いいよ…僕が君の浮気相手になってあげる。

でもそのためには、君にも覚悟してもらわなきゃいけない。

そう。なんせヴァンパイアの配偶者になるんだ。

周りからどんな迫害を受けるか…それこそ僕の母さんみたいに。

ふふっ…あぁ、そうか。僕、君のこと見誤ってたみたい。

君は綺麗で可愛いだけの女性じゃなかったね。

君はとても強い女性だ。ここまでたった一人で演奏を聴きに来るくらいだし。

覚悟が足りなかったのは僕の方かな…男として恥ずかしい限りだけど。

うん…了解。それじゃあ君の血、いただくね…

(吸血)

どう、かな…？ゆっくり優しく吸ってるつもりだけど…

ちょうどいい？よかった。僕、吸血するの初めてだから…

そうだね…吸血童貞、君に卒業させてもらっちゃった。

え……だけど、それは…

こんな綺麗な体を、僕が…？

ううん。君を好きって気持ちに偽りはない。本当にそう思ってるから…

ズルいなぁ、君は…そんな言い方されたら、襲うしかなくなるじゃないか。

(ベッドの上で彼女に覆い被さってキス)

愛してる…君のこと、世界で一番。

てっきり演奏だけ好きになってもらったのかと思ってたけど…それだけじゃなかったんだ。

本当に嬉しいよ…君みたいな心も体も綺麗な人に好かれて僕は幸せだ。

先にこれだけ言っておくね。

僕、好きになったモノへの執着心は強いからさ…

一回手に入れたら二度と離さないよ？それでもいい？

あははっ…くどかった？ごめん。

君の覚悟、何回も試すような真似したのは謝る。ごめんね。

(キスされる)

君から求めてきてくれてるのなら…僕はそれに応えるだけ。

君のこと、トロトロに溶かしてあげる…他のことなんて全部忘れるくらいに、ね？

・台本（ゆるボイ！）
山奥の洋館に住む美しいハーフヴァンパイアの演奏に魅了されて虜になる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎