《設定》
幼なじみの2人。
吸血鬼である彼は、彼女に知られるのが怖くて自分の存在を隠している。
彼は彼女に密かに片思い中…だが、フラれるのを恐れて気持ちを伝えることができない。
ある日、幼なじみから告白されたと聞く彼は…？


この台本には途中ルート分岐(2パターン)があります。読む際はお好きな方をお選びください。

｢ ｣彼女のセリフ
(     ) は状況、様子
【⠀ 】はSE、効果音

セリフの言い回し等、アレンジ、アドリブOKです。

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【電話コール音】

あぁ、俺だけど
こんな時間に電話なんて
何かあったのか？

告白された？
誰に…

部活のセンパイ？
あのセンパイ、カッコいいって女子から人気なんだろ？
へぇー、良かったじゃん

｢それだけ？｣

だって、他になんて言えばいいんだよ
俺たちは幼なじみだろ？
それ以外に何かある？

お前がセンパイと付き合うかどうかなんて、俺が口をはさめる立場じゃないし
お前が決めることだろ！

｢とめてくれないんだ｣

何で俺がとめなきゃならない？

｢分かった、もういい！｣

【電話を切る】

あ、おい！
なんだよ、変なやつだな
俺があいつをとめる？

なんで…そんなこと出来るわけない
幼なじみというだけで、あいつを束縛する資格なんて俺には無いのに…

【再度電話コール音】

もしもし？
ん？
お前、泣いてる？

｢いいの、もう…｣

もういい…ってどういうことだ？

おい、コラ！
サヨウナラって、何言ってる

お前、今どこだ！！！

どうでもいいこと無い
馬鹿、いいから早く場所教えろ

すぐ迎えに行く、いいか？
変な気起こさずそこで大人しく待ってろ

いいな、絶対だぞ！

【ピッ】電話切る

ったくあのバカ！
なに考えてんだ

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈選択ルート┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

※1もしくは※2を選択してください


✎︎ルート1－－－－－－－－－－－－－－－－ー

※1（そのまま人間の場合）

とにかく早く行かないと

【ドアを閉めて走り去る音】


✎︎ルート2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

※2(コウモリに変身する場合)

ここは…仕方ない
危険だが飛ぶしかないな
一秒でも早くあいつのところへ行かないと

【コウモリに変身、飛び立つ羽音】


୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈共通ルートに戻る┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

(彼女の元へ駆けつけながら)

頼む…
ちゃんと待っててくれよ…

【※1走りながら ※2飛びながら】

どこだ？
多分、この辺りのはずなんだが

(くんくん、匂いを嗅ぐ)

あいつの匂いがする…近いな

ハッ、あそこか...
あいつあんなところに立って、まさか飛び降りるつもりじゃ…？

待て、早まるな！！

(彼女の元へ)

はぁ…間に合った

約束通り待ってて偉かったな…と言いたいところだが…
柵を乗り越えるなんて…無茶なことを
手も足にも傷が…見ろ、血が出ているじゃないか

そこは危ない
こっちへおいで…

｢嫌よ｣

嫌？
そんなこと言わずに、早く来いって

｢私のことなんとも思ってないくせに、今さらとめないでよ！｣

お前のことなんとも思ってないなんて、いつ言った？
違う！そんなこと無い…
俺はお前のこと、ホントはずっとずっと好きだった…

でも、お前が俺のこと好きじゃなかったら？
告白してフラれたら…と思ったら怖くて何も言えなかった

今の関係を壊したくない！
俺は…お前のそばにいたかった
そばにいて、お前の笑顔を見ていたかった

なぁ、もしかして…
お前…お前は、俺のことを？

｢そうだよ、好きだよ。この鈍感！｣

鈍感…か
ごめん
まさかお前も好きでいてくれてたなんて…
もっと早く気持ちを伝えていれば、こんなことにならなかったのに…

俺も臆病だよな
好きと言えないまま、お前にはカッコイイと思われたくて、ずっとカッコつけてツンデレな男を演じてた…

告白されたって聞いた時、ホントはすぐにでもやめろって言いたかったよ
俺にしとけって…
内心、穏やかでいられなかった

ね、こっちへおいで
もう、大丈夫だから…

(彼女ゆっくりこちらへ近づいてくる)

うぅっっ！
はぁ…

(息荒くなる)

しまった…こいつの血か！
そうだった、俺は…

やめろ、やっぱり近づくな
忘れてた…

俺は、俺は…お前を好きになる資格なんて無かったんだ
だから気持ちを閉じ込めてきたのに…

来るなって言ってるのが分からないのか？
や、やめろ…

(彼女が彼を優しく抱きしめる)

ん、ふぅー！

(苦しそうに小さく呟く)

血の匂いが俺を…
やばい、我慢が…
はぁっっ！

｢どうしたの？大丈夫？｣

は…なれろ

｢え？｣

俺から離れろと言っている
早くしないと、手遅れになるぞ！

｢だから何が？｣

答えてる暇は無い…
とにかく離れるんだ

(牙が伸びる)

｢ねぇ…その牙！｣

うるさい…
まさか…こんなところで

お前だけには知られたくなかった…
おれは…吸血鬼だ
この牙も、血の匂いを感じると反応する

そう、お前の血だ
だから離れろと…

んんっ、ダメだ
抑えきれない…

許せ！！！

(たまらず彼女の首に噛みつき血を吸う)

【吸血音】

悪い、大丈夫か？

気を…失ったか…？
そうだよな
いきなり噛みつかれて血を吸われるなんて、普通の人間からしたら考えられないことだもんな

よいしょ！

(彼女を抱き抱える)

ごめん…
目が覚めた時、お前はどんな反応をするんだろう
俺の事を怖がって逃げてしまうだろうか

それとも…
いや、どちらにしてももう、終わりだな

(彼女、気がつく)

あ…

(彼女、下ろしてと暴れる)

待って、頼むから落ち着いて
今のお前は俺が血を吸ったせいでマトモに歩けない…だから大人しくして、このまま話を聞いて欲しい

俺はお前に嫌われるのが怖くて、ずっと吸血鬼であることを隠してきた
だって、幼なじみが吸血鬼なんてショックだろう？

それに俺の存在が人間に知られたら、俺はここにはいられなくなる…

黙ってて…ごめん
俺は人間の血がないと生きていけない
だからずっと、血を吸ってきた

｢そんな…｣

心配しなくてもいい
さっきは抑えられなかったが、お前の血は二度と吸わないよ

今まで俺はずっと深夜にそこら辺をうろついている、不用心な女をターゲットにしてた

もちろんバレないよう記憶は一時的に無くしてる！
だから、吸血鬼の存在なんて誰も知らない

知っているのは…お前だけだ

(彼女を下ろす)

ほら…
お前の家だ！
もうそろそろ歩けるだろう？

いいか？
余計なことは考えないで、ゆっくり休め
お前がいなくなったら、おじさんとおばさんが悲しむだろ？

間違っても二度と命を粗末にするな…これは俺との約束だぞ！

生きて…幸せになってくれ
じゃあな！

【遠くなる足音】

｢待って、どこ行くの？｣

言ったろ？
もう、ここにはいられないって…
人間に吸血鬼の存在がバレてしまったら終わりなんだよ

俺は、自分の世界に戻らなきゃいけない

｢私も行く！それに、死ぬつもりなんて無かった…あなたに心配して欲しかっただけなの｣

は、今なんて？
心配して欲しかっただけで死ぬつもりは無かったのか…
なんだ...それなら良かった

これで安心して向こうの世界へ帰れる

「ごめんなさい…謝るから、だから私も連れてって！！」

私も連れてってだと？
それは無理だ！

｢だって…もう会えないなんて…やだよ｣

お互い住む世界が違った、それだけだ…
勢いで行動すると絶対後悔するぞ
向こうへ行ったら、戻れない
やり直しは聞かないんだ

やめといた方がいい…

｢ねぇ…お願い！｣

(深いため息の後改めて)

俺は…
俺の世界では5年間、優秀な成績を残せば再びこっちの世界に来れる

5年…だぞ？

来れるかどうかも分からない男を待つ必要は無い
いい奴がいたらさっさと結婚しろ！

だが、もし5年経って俺がこっちの世界に戻ってこれたら…
まだお前が1人だったら…

その時はお前を俺の花嫁にする！
結婚の誓いとしてお前の血ももらう

それで...いいか？

俺の気持ちは変わらない…
じゃあ元気でな

｢待って！！｣

すまない、自分勝手なおれを許してくれ！

(※1か※2のどちらかを選択してください)

※1【コウモリになって飛び立つ羽音】
もしくは
※2【異世界へ吸い込まれる音】

これで…いい
これでいいんだ…


…5年後…

(近づく足音、止まる)

よぉ、久しぶりだな
約束どおり迎えに来たよ

5年間…長かったけどまさかホントに1人でいたとはな！

吸血鬼と結婚するなんてお前もどうかしてるよ(笑)
でも、俺のことを待っててくれたんだ

嬉しいよ…ありがとう

5年前の約束のとおり今度こそお前をさらって行く！
覚悟はいいか？

｢うん！｣

(ゆっくり彼女を抱きしめる)

ありがとう…

ずっとずっとこの時を待っていた
俺にとってお前は運命の相手だからな

今宵が俺たちの結婚式だ
愛しい我が花嫁
お前の全ては俺がもらう

誓いの儀式だ
力を抜け…

【ゆっくり彼女の血を吸う】

これでお前は俺の妻だ

愛しているよ…ずっと…

…終…

・台本（ゆるボイ！）
運命の赤い糸...
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
Himeko