今日はバレンタインデー！
どうやら彼女が俺のためにチョコを作ってくれてるらしい。
……あれ？牛乳と一緒においてある瓶ってまさか……

// 冷蔵庫を開ける音
おおー！冷えてる冷えてる。

じゃあ後の作業は……
この量だと……6等分くらいだとちょうどいいかな。

// SE（可能であれば）刻む音（3回）

後はラップで包んで丸めてっと……
よし！いい感じ！

ほら、できたよ！
あなただけのために作った本命チョコレート！

……ってあれ？既に恋人同士の人が贈るチョコレートって本命チョコになるのかな？
そもそも義理チョコひとつも作ってないのに義理も本命もあるのかな……あれあれ？

んー……ま、いっか！
とりあえず、あなたへの愛を込めて作ったってことには変わりないし、名前の違いなんて些細な事だよね！

あ、食べるのはまだ待って。
あなたのためを思って作ったから見栄えにも拘りたいの。
それに……ココアパウダーもまだまぶしてないしね。

もうちょっとだけ、がまん。

えっと……見栄えをよくする置き方は……こうかな？
うん！いい感じ。
そして上からココアパウダーを……
ｻﾗｻﾗｻﾗｻﾗ……うん！バッチリだね！

はいっ、どうぞ。
我ながら上手にできたと思うの！
ささ、食べて食べて。

これ？トリュフって言うチョコなんだ。
実はこれ、思ってるより簡単なんだよ。
普段料理で失敗しがちな私でも作れちゃったし！

湯煎で溶かしたチョコに温めた牛乳と練乳を混ぜて、あとは冷やして切って丸めるだけ！
ね？簡単でしょ？

え……何それ。それは流石に私に対する評価、低過ぎだよ。
いくら普段抜けてる私でも、間違えてお湯の方にチョコレート入れたりなんかしないよー。
……去年はやらかしたけど。

とにかく！今年は失敗せずにちゃんと作れたもん！
ほら、食べて食べて。
きっと甘くできてるはずだからさ。

え？ここに出しっぱなしにしてあるやつ？
もちろん、さっきまでチョコ作るために使ってた材料と道具だけど？

加工前のチョコに牛乳、それと練乳！
何かおかしなところあるかな？
え？その瓶の中身？

// 先程までと同じテンションでポロッと言ってしまう感じで
あぁ、それのこと？それは媚薬だよ。
チョコの中にこっそり仕込んだんだー。
これを食べればあなたが変な気分になって襲ってくれるかなって思って。

// ここで気づく
……あ。

えっと……今の話聞いてた？
ま、まさかね。
まさか私があなたに振り向いて欲しいからってこっそり媚薬を仕込むなんてそんな事あるわけ……あるわけ……

……はい、いれるわけあります。
でもあなただって悪いんだからね。

私、ずっと寂しいなって思ってたんだよ。
最近あなたがあんまり構ってくれないから。
恋人らしい事も全然できてなかったし。

そのうち「別れよう」とか言い出すんじゃないかっていつもビクビク怯えながら過ごしてたし、あなたからの連絡がなくなるとすぐに浮気してるんじゃないかって疑っちゃうくらいにあなたからの愛を感じられなくなってたんだよ？

だから……媚薬を使えばあなたは今より私の事を見てくれるかなって思って、チョコに混ぜちゃいました……

ほんと……ごめんなさい……
あなたの事は大好きだから！
それはずっと変わってないから！
こんなもの受け取ってくれなくても構わないから！

だから……こんな私でも見捨てないで。
お願い、離れていかないで……

え……？
ちょっと、あなた一体何をして……あっ！

// 彼氏、媚薬入りチョコを食べる
あ……チョコ、食べちゃった……

って、えぇ！？話ちゃんと聞いてた！？
それ媚薬入ってるんだよ！？
そんなもの食べちゃって大丈夫なの！？

確かにさっきは食べて欲しいって言ったけど！
だからって媚薬入りだとわかってなお食べるなんて……

それに、私嫌われてもおかしくない事したんだよ。
なのになんでそんな人のチョコをわざわざ……ひゃっ！

// SE 押し倒される
もう……完全に媚薬回っちゃってるじゃん……ばか。
こんなの、私が思い描いてたバレンタインのイメージとかけ離れてるんだけど。

でも……嬉しいよ。
ちゃんと私の気持ちを受け取ってくれて。

それに……媚薬入りのチョコとわかってて食べたって事は、つまりそう言うこと……だよね。
それなら……私だって我慢も容赦もしないから。

私だってずっと欲求不満だったんだから……覚悟してよね。
チョコよりももっと甘くてドロドロした事になっちゃっても知らないよ？

・台本（ゆるボイ！）
寂しがりなぽんこつ彼女の媚薬入りチョコレート
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えとのわーる(Stella)