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元教育係のクノイチにお礼を言われながら、耳の中に炭酸綿棒を突っ込まれた
written by 松平蒼太郎
  • 耳かき
  • 敬語
  • 癒し
  • 年上
  • クノイチ
  • 家臣
  • 元教育係
  • 炭酸綿棒
公開日2022年06月30日 10:57 更新日2022年06月30日 10:57
文字数
1931文字(約 6分27秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
クノイチ
視聴者役柄
主君
場所
某所
あらすじ
一国の君主である貴方を労わり、炭酸綿棒を使った耳掃除を提案してきた家臣のクノイチに(強制されて)身を預けると、何やら急にねぎらわれて…?
本編
失礼致します、御館様。

はっ。ただいま戻りました。

こちら、敵方の忍びが持っていた機密情報にございます。

はっ。敵方もこちらに情報が漏れたのは既に知っているはず。

…はい。戦を仕掛けてくるやもしれませぬ。

ですが、問題はないでしょう。

あちらの国は国力が疲弊しきっております。戦を長く続ける体力など、残ってはおらぬでしょう。

それに引き換え、こちらは兵も強者(つわもの)が多く、国力も充実しております。

さらに敵方の戦術・戦略なども既に把握済み。

こちらが負ける要素など何一つございません。ご安心を。

はっ。引き続き敵方の情報を探って参りますので…

…御館様。話は変わりますが、最近耳かきはしておいでですか?

え…最近は奥方様に?左様でございますか…

あぁ、そういうことなのですね。でしたら、奥方様に直接耳かきの指導をした甲斐がありました。

はい。奥方様に耳かきの仕方を教えたのはこのわたしです。

むっ…生意気なことを仰いますね、御館様…いいえ、若。

もうわたしの耳かきが不要などとは…今のお言葉、必ずや撤回させてみせます。

実は最近、任務の傍ら、若のために新しい耳かきを修行しておりました。

はい。こちらになります。

このシュワシュワ言っているのは炭酸というもので、若もご存じでしょう?これは水遁の術を応用して作りました。

そしてこちらの棒が、異国より取り入れた綿棒というものです。これは木の棒に脱脂綿というものを巻きつけてある、耳に優しい耳かき棒です。

この二つを合わせれば…炭酸綿棒の出来上がりです。これで耳掃除を……って、若。人が話してる途中に逃げ出そうとするものではありません。

(捕まえて膝枕する)

わたしから逃げられたことなど一度もないのに、よく逃げ出そうとしたものです。

とにかく、耳掃除を始めていきますので、じっとしててください…

(炭酸綿棒)

いかがです?悪いものではないでしょう?

シュワシュワして落ち着きませんか?大丈夫です、すぐに慣れますので。

はい。聞いたところによると、西方の国では綿棒を使った耳掃除には強力な癒し効果があるんだとか。

これに炭酸をつけたのは妹からの提案です。

彼女曰く「炭酸のシュワシュワは耳元で聞いているとクセになる」んだとか。

はい…妹とは和解しました。他ならぬ若のおかげで。

えぇ…若があの時、勇気を持ってわたしと妹、両方を同時に選んでくれたからこその結果です。

わたしの諫言(かんげん)を聞き入れ、妹の想いも理解してくれましたから。

感謝しております、若…これはそのお礼も兼ねた耳かきですので、甘んじてお受けください。

…さ、そろそろ耳に残った炭酸の泡を拭き取りますね。

(拭き取り中)

ん?……ふふっ。先ほどの言葉、もう撤回されますか?

やはり若にはまだまだわたしの耳掃除が必要、ということですね。

それでは最後に息、吹きかけますね…

(耳ふー)

片耳はこれで終了です。お次は反対の耳を。こちらを向いてください。

(寝転がられる)

ではこちらも炭酸でシュワシュワしていきますね。

えぇ。少量の水さえあれば、水遁の術で即座に炭酸は作れますのでご心配なく。それでは始めていきます。

(炭酸綿棒)

…若?どうしたのです?急にお礼などと…

いえ…わたしは家臣として、元教育係として当然のことをしているだけですので。

はい。それに最近は隣国の動きが慌ただしく、執務であまり休んでおられないでしょう?

えぇ。御館様が最近休んでくれないと奥方様がボヤいておられましたので。

若、いいですか?きちんと休養をとることも主君の務めです。どうかご自愛なさってください。

はい。常に万全の状態でいないと、判断を誤る恐れも高まります。

主君の判断は一国の運命をも左右するのです。それをゆめゆめお忘れなきよう。

はい、お分かりいただけたようで何よりです。

若のあの時の判断…わたしと妹の争いを仲裁したあの判断も、若が冷静であったからこそですから。心から感謝しております。

…こんなもので大丈夫でしょうか?それでは炭酸の泡を拭き取りますね…

(拭き取り中)

…いえ、そのような畏れ多い…

わたしは貴方の家臣ですので、忠義を尽くすのは当然のこと。

この国にとって…そしてこのわたしにとっても、貴方は必要ですから。

はい…ですので、今はゆっくりお休みください。

最後にお耳、お借りしますね…

(耳ふー)

お疲れ様でした。これにて耳掃除は終了です。

はい、なんでしょう?わたしでよければ、何なりとお申し付けください。

えぇ、もちろん構いません。このまま膝の上で寝ていただいて。頭も撫でて差し上げましょうか?

はい。それでは、失礼します…

(頭を撫でる)

本日もよく頑張りましたね、若。

貴方の頑張りは家臣も民も皆、認めております。

辛い時はいつでもお呼びください。わたしが貴方の力になりますので。

はい…いつでも、です。わたしの心はいつも貴方と共にありますから。

おやすみなさい、若。良い夢を…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
元教育係のクノイチにお礼を言われながら、耳の中に炭酸綿棒を突っ込まれた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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