俺の後輩は何故かいつも俺の帰りを待ってくれている。
今日はお礼が欲しいのか、たい焼きを奢れと言ってきた。
金はないけど、いいこと思い付いたし、可愛い後輩のためだ。奢ってやるとしよう。

【】：状況
（）：声色 or SE

【読み手が聴き手を校門で待っている】

先輩、今日も部活っすかぁ？　遅かったっすねぇ。
もちろん今日も先輩を待っててあげたんですよー！　うしし！
なんでか分かりますー？　分からないだろうなー、先輩じゃあ分からないだろうなぁ！

ほうほう、飯をたかりたいように見えるって？
んん～80点！　ほぼ正解っす！！
そんなわけでぇ～、たい焼き買いに行きましょう！

【渋々の聴き手】

そんな嫌そうな顔してもダメっすー！
アタシ、手が冷たくなってジャンバーのポケットに手を突っ込んで、寒かったなぁー！
あー、そんな可愛そうな後輩に、なにかしてあげたいと思ったりしないんですかねぇ？
ちらっ？

ちょうど甘いもの食べたくて、お腹がグーグー鳴ってるなぁー！
ちらっ？

【しょうがないの聴き手くん】

うーっし！　言質取りましたよ、せんぱーい！
それじゃあ商店街のたい焼き屋にレッツゴー！

でっ！　ここからが重要な話なんスけど……。
たい焼きは何派っすか？
あるじゃないっすか！　こしあん、つぶあんとか！

かすたーど……？（困惑そうな声）
つぶ、こし以外の異教徒っすか？！
だいたいなんスかその、奇を狙ってみましたー！　みたいな選択は！
罰として、今回は奢りっす。

まぁまぁ、落ち着いてくださいよ！　先輩！
アタシ、こしあん派、っすから。（ドヤ顔）

【そういう事を聞いているわけじゃない聴き手】

まっ！　奢りは決定ってことでー！
それじゃあ走るっすよー！（ダッシュ）

　◇

【場面転換】
【たい焼き屋の前】

おっ！　カスタードあるじゃないっすか！
先輩のために、注文してあげるっすよ！

すみませーん！　こしあんとカスタードを1つずつー！
支払いは先輩にー！　うっしっし！

【金が無いことに気づく聴き手】

え、お金ないんすか？！
足りるけど、ちょっと危ういやつ、ってよくそんなんで奢る気になりましたねぇ……。
仕方ない。アタシが払うんで、先輩は財布をしまっていただいて……。

【提案する聴き手】

へ？　恥ずかしいこと言ったら奢ってやる、って何言ってんすか？！
恥ずかしいこと、って。何させる気なんだろう……（小声）

って！　もう会計済ませてるし！
先輩、さては最初っからそのつもりだったっすね？！
はぁ……。仕方ない。どんな事を言ってほしいんですか？
……あんまり恥ずかしいのは、なしの方向で。

【セリフを伝える聴き手】

～っ！　な、何言わせようとしてるんっすか！！
この、むっつり先輩！

はぁ……はぁ……。まぁ奢られた手前、拒否れないのもまた事実なわけで……。
じゃ。じゃあ……、待ってください！　ちょっと。心の準備をしますんで！

すぅ……。はぁ……。
すぅ……。はぁ……。
……よっし！　じゃあ、行きますよっ！

……先輩と居ると、胸が高鳴るんです。
これって、恋、何でしょうか？

……っかーーーー！！！
やってられないっすよこんなの！
なーーーーにが！　恋、でしょうか？　っすか！
無理やり言わせるのが恋なわけないじゃないっすか！！

【たい焼きを渡される読み手】

まぁ、このたい焼きで手打ちにしますよ。
別に。100パー嫌だったわけじゃないですし。（小声）

【難聴聴き手】

なんでもないっすよ？
ただ、やられっぱなしもどうかなーと思うんでー。
今度アタシが奢ったら、先輩が恥ずかしいセリフ言ってくださいよぉー！

うっしっし！　次が楽しみっすね！

・台本（ゆるボイ！）
後輩におやつを奢ったので、告白ごっこさせてみた。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス