- アンドロイド
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2132文字(約 7分7秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
(YouTubeのような配信サイトで生放送中)
くくくっ、あははははっ。
私の話はほんとに面白いですね。……あっ、間違えました。みんなと話すのはほんとに面白いですね!
えっと、なになに……「虚無(きょむ)トーク助かる」「虚無デッキ」「ちょうど虚無を切らしてたんだ」「今日も可愛いね」
はぁ……虚無虚無うるさいですね、この虚無虚無の実の虚無人間どもが! そのくせ楽しそうに放送を見てくれやがって! いいぞもっとやれっ!
……楽しいのが一番ですからね。楽しんでくれて何よりです。
……ところで、あなたはどうしてそんなに死んだ目をしているんですか?
……自分のことを言われてるって、まだ気づいてない顔してますね。気づけなくて当然ですが。……仕方ないですね。
私が言っているのは、画面の向こうの、おまえだよ!
こっち、おいで?
(場面転換。自分がいるネットの世界に、死んだ目をしたあるリスナーの魂を引きずり込んで……)
あ、意識が繋がりました?
まだ状況が理解できていないと思いますが簡単に説明すると、あなたが浮かない顔をしていたのが画面越しに見えたので、こちら側に魂を誘拐しちゃいました。
(「ないなって」は「なくなって」という意味です)
ほら、見えますか? あっちがさっきまであなたがいた画面の外で、今は魂がないなって抜け殻になっているあなたの体がそこに……。
あ、ちなみに今ここにいるのは私とあなただけですよ。
……どうしてこんなことができるのか、ですか? それは私が電子の海に棲(す)まう電気狐(でんききつね)だからだと言うしかないでしょうね。ピカピカの10万ボルトですよ。
まぁ、そんなことはいいんですよ。大事なのはあなたのことです。なぜあなたはそんなにも死んだ目をしているのか……。
……ふんふん、なるほど。人生がつらい。自分が空っぽに思える。上手くいかない。上手くいかないことが上手くいく……。
あなたも大変そうですね。悩んでますねえ。
んー……悠久の時を生きる電気狐の私から言えることは……いえ、まずは聞く耳を持ってもらうところから、少しでも残りライフを回復させるところからでしょうか。
(「こっちに来てください」の後に膝をポンポンします)
となれば話は早いです。悩めるリスナーであるあなたのために、私が一肌脱ぎましょう! こっちに来てください。膝枕しますよ?
後頭部から……そう。……おや、また目が合いましたね。ガチ恋距離に加えて膝枕のオプション付きだなんて、一体いくら金を積んだんでしょうか。石油王ですかあなたは……ふふ。
(「ないすっぱっ」は「ナイススーパーチャット」という意味です)
頭ぽんぽん……わ、これは赤(あか)スパ案件ですね。でも、大丈夫なんですよ。あなたの存在自体が赤スパなので。……ないすっぱっ。
そう、あなたは石油王を通り越して存在がもはや石油だったのです……そんな余談はさておき。
あなたに聞く耳を持ってもらうために、お耳を優しく弄(いじ)くり回していきましょうか。……指耳かき、知ってますか? 気持ち良いんですよ? 鼓膜を捧げてもいいと思えるくらいに。
それじゃあ、始めていきましょうか。最初は左耳から……。
(指で耳かきをしていきます)
どうですか? ……悪くないでしょう? 脳をかき回す気持ちで頑張るので快感に酔いしれてくださいね。……え? 怖いことを言わないでほしい? どうしましょうか……。
人間やるの難しいですか? ふんふん……難しいんですね。「人間向いてない気がする」……じゃあ、一緒に狐になってみますか? 実は噛むと眷属(けんぞく)を増やせるんですよね。増やせないですけど。……ここぞとばかりに無言で私の耳をもふもふしないでくださいよ。タイミングがタイミングだけに怒りにくいじゃないですか。……えっちー。
もうもふもふするのをやめてもらうためにも、気を逸らせるように両耳を指かきしていきますね……。
(両耳を同時に指で耳かきしながら)
でも、空っぽと言えば、今私達がいるこの世界も、私も0と1でできてますから、ざっくり半分空っぽですよ。一緒ですね。
せっかく空っぽなら、たまには頭も空っぽにして楽になりたいですよね。私の指でぐりぐりして、あなたの頭を空っぽにできたらいいなぁ……。
こんなことで良ければまたしてあげますから、つらくなったときにはまたここに来てもいいんですよ。私が慰めてあげます。
……「そう都合良く毎回ここに来られたりはしないだろう」、と。甘いですね。あなたが私を見ているとき、私もまたあなたを見ているのです。
何千何万のなかから、死んだ目のあなたを必ずまた見つけますよ?
……そうでなくても、起きているときも私と一緒に夢を見ましょう。
きっと退屈しませんよ。なんてったってみんな大好きな私の虚無ですから。
(「愛してるぜ」から声を張りますが鼓膜がなくならない程度にお願いします)
……愛してますよ。……愛してるぜ、リスナーくん! と、私は照れ隠しに鼓膜の破壊を試みてみる……!
……さて、こんなところでしょうか。私もあなたも、そろそろ戻らないといけませんね。……さっきまで目も、表情も死んでいたのに、すっかり寂しそうな顔ができるようになったじゃないですか。その調子ですよ。
今生(こんじょう)の別れじゃないですからね。絆(ほだ)される前にさくっとバイバイしちゃいましょうか。
それじゃあ、これからのあなたの毎日が幸多からんことを。
また後でね……?
くくくっ、あははははっ。
私の話はほんとに面白いですね。……あっ、間違えました。みんなと話すのはほんとに面白いですね!
えっと、なになに……「虚無(きょむ)トーク助かる」「虚無デッキ」「ちょうど虚無を切らしてたんだ」「今日も可愛いね」
はぁ……虚無虚無うるさいですね、この虚無虚無の実の虚無人間どもが! そのくせ楽しそうに放送を見てくれやがって! いいぞもっとやれっ!
……楽しいのが一番ですからね。楽しんでくれて何よりです。
……ところで、あなたはどうしてそんなに死んだ目をしているんですか?
……自分のことを言われてるって、まだ気づいてない顔してますね。気づけなくて当然ですが。……仕方ないですね。
私が言っているのは、画面の向こうの、おまえだよ!
こっち、おいで?
(場面転換。自分がいるネットの世界に、死んだ目をしたあるリスナーの魂を引きずり込んで……)
あ、意識が繋がりました?
まだ状況が理解できていないと思いますが簡単に説明すると、あなたが浮かない顔をしていたのが画面越しに見えたので、こちら側に魂を誘拐しちゃいました。
(「ないなって」は「なくなって」という意味です)
ほら、見えますか? あっちがさっきまであなたがいた画面の外で、今は魂がないなって抜け殻になっているあなたの体がそこに……。
あ、ちなみに今ここにいるのは私とあなただけですよ。
……どうしてこんなことができるのか、ですか? それは私が電子の海に棲(す)まう電気狐(でんききつね)だからだと言うしかないでしょうね。ピカピカの10万ボルトですよ。
まぁ、そんなことはいいんですよ。大事なのはあなたのことです。なぜあなたはそんなにも死んだ目をしているのか……。
……ふんふん、なるほど。人生がつらい。自分が空っぽに思える。上手くいかない。上手くいかないことが上手くいく……。
あなたも大変そうですね。悩んでますねえ。
んー……悠久の時を生きる電気狐の私から言えることは……いえ、まずは聞く耳を持ってもらうところから、少しでも残りライフを回復させるところからでしょうか。
(「こっちに来てください」の後に膝をポンポンします)
となれば話は早いです。悩めるリスナーであるあなたのために、私が一肌脱ぎましょう! こっちに来てください。膝枕しますよ?
後頭部から……そう。……おや、また目が合いましたね。ガチ恋距離に加えて膝枕のオプション付きだなんて、一体いくら金を積んだんでしょうか。石油王ですかあなたは……ふふ。
(「ないすっぱっ」は「ナイススーパーチャット」という意味です)
頭ぽんぽん……わ、これは赤(あか)スパ案件ですね。でも、大丈夫なんですよ。あなたの存在自体が赤スパなので。……ないすっぱっ。
そう、あなたは石油王を通り越して存在がもはや石油だったのです……そんな余談はさておき。
あなたに聞く耳を持ってもらうために、お耳を優しく弄(いじ)くり回していきましょうか。……指耳かき、知ってますか? 気持ち良いんですよ? 鼓膜を捧げてもいいと思えるくらいに。
それじゃあ、始めていきましょうか。最初は左耳から……。
(指で耳かきをしていきます)
どうですか? ……悪くないでしょう? 脳をかき回す気持ちで頑張るので快感に酔いしれてくださいね。……え? 怖いことを言わないでほしい? どうしましょうか……。
人間やるの難しいですか? ふんふん……難しいんですね。「人間向いてない気がする」……じゃあ、一緒に狐になってみますか? 実は噛むと眷属(けんぞく)を増やせるんですよね。増やせないですけど。……ここぞとばかりに無言で私の耳をもふもふしないでくださいよ。タイミングがタイミングだけに怒りにくいじゃないですか。……えっちー。
もうもふもふするのをやめてもらうためにも、気を逸らせるように両耳を指かきしていきますね……。
(両耳を同時に指で耳かきしながら)
でも、空っぽと言えば、今私達がいるこの世界も、私も0と1でできてますから、ざっくり半分空っぽですよ。一緒ですね。
せっかく空っぽなら、たまには頭も空っぽにして楽になりたいですよね。私の指でぐりぐりして、あなたの頭を空っぽにできたらいいなぁ……。
こんなことで良ければまたしてあげますから、つらくなったときにはまたここに来てもいいんですよ。私が慰めてあげます。
……「そう都合良く毎回ここに来られたりはしないだろう」、と。甘いですね。あなたが私を見ているとき、私もまたあなたを見ているのです。
何千何万のなかから、死んだ目のあなたを必ずまた見つけますよ?
……そうでなくても、起きているときも私と一緒に夢を見ましょう。
きっと退屈しませんよ。なんてったってみんな大好きな私の虚無ですから。
(「愛してるぜ」から声を張りますが鼓膜がなくならない程度にお願いします)
……愛してますよ。……愛してるぜ、リスナーくん! と、私は照れ隠しに鼓膜の破壊を試みてみる……!
……さて、こんなところでしょうか。私もあなたも、そろそろ戻らないといけませんね。……さっきまで目も、表情も死んでいたのに、すっかり寂しそうな顔ができるようになったじゃないですか。その調子ですよ。
今生(こんじょう)の別れじゃないですからね。絆(ほだ)される前にさくっとバイバイしちゃいましょうか。
それじゃあ、これからのあなたの毎日が幸多からんことを。
また後でね……?
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