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主人に忠義を尽くす竜騎士の少女が秘めた想いは止められない
written by 松平蒼太郎
  • 告白
  • 嫉妬
  • ファンタジー
  • 純愛
  • 片思い
  • 人外 / モンスター
  • ヤンデレ
  • 少女
  • 拘束
  • 敬語
  • ドラゴン
  • 既成事実
  • プロポーズ
公開日2021年10月15日 13:53 更新日2021年10月15日 13:53
文字数
4273文字(約 14分15秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
従者
視聴者役柄
主人
場所
指定なし
本編
あるじ様。お召しにより、ただいま参上しました。

はい。なんなりとお命じください。

あるじ様のため、粉骨砕身して働かせていただきます。

は!かしこまりました!

それではこれから護衛の任に就かせていただきます!

あるじ様のことはわたしが守ります。お任せください。



あるじ様、本日もお疲れ様でした。

いいえ。あれだけの聴衆を前に見事な講演でした。

はい。講演中、周囲は特に異常ありませんでした。

…?どうかされました?

それは…何か大切な物ですか?

え…そ、そうですか。あの貴族の娘さんから貰ったペンダント…

い、いえ!ペンダントが欲しいというわけではなく!綺麗だとは思いますが!

その…あるじ様はその娘さんのことが好き、なのですか…?

かもしれないって…そうですか…

そうですね!あの娘さんは綺麗な方ですしね!

あるじ様が夢中になる気持ちもよくわかります!

そんなんじゃないって、うふふ♪

そんな満更でもなさそうな顔しても説得力ありませんよ。

あ、すみません。長話が過ぎましたね。

これ以上、あるじ様の大切なお時間を奪うわけにもいきませんし、わたしはこれで下がらせていただきます。

はい、おつかれさまでした!お先に失礼します!



ふう…今日も嘘の報告をしてしまいました。

講演中にあるじ様のお命を狙ってきた不届き者どもは、まとめて始末しましたが…

けど仕方ありません。

優しくて弱いあるじ様の心の平穏を守るのもわたしの務めですから。

それにしても、あるじ様があの貴族の娘を…やっぱりあるじ様は…

けどあの家は黒い噂が絶えませんし…これは一度調べてみる必要がありますね。



あるじ様。ただいま推参いたしました。

はい?……それは本気、ですか?

そうですか…わかりました。

上手くいくといいですね、プロポーズ。

ふふ、頑張ってください。

わたしも陰ながら応援しております。



はぁ…あるじ様が来る前にすべて終わらせられてよかった…

ん?……あぁ、あるじ様。一足遅かったようですね。

これはどういうことだって、見ての通りですよ。

あるじ様を…いいえ、あるじ様のお家の財産を狙っていた貴族連中を一族もろとも滅ぼしただけです。

えぇ、もちろん。あるじ様がプロポーズしようとなさっていたあの性悪女も、今ごろこの燃え盛る館の中で息絶えていることでしょう。

お優しいあるじ様にこのような真実を突きつけるのは酷かもしれませんが…

実はあの家の人間どもはどいつもこいつもクズばかりでした。あの女も含め、クズの集まりです。

はい。こちらの書状がその証拠です。

いかがですか?これであの家の人間が漏れなく、あるじ様にとって害をなす者どもだということがお分かりになったでしょう?

あんないい人たちが信じられない、ですか。

はい、外面は本当にいい人たちですよね。

けど裏では政治家に多額の賄賂を送ったり、庶民の土地を不当に安く買い上げたり、他の貴族の家との政略結婚を強引に進めたり…

彼らの罪は数え上げたらキリがありません。

あるじ様の意中の相手…あの娘も数多の男を股にかける、とんでもない性悪女でした。

あの娘に関しては証拠がないだろって、ありますよ。

これを聞いてください。

はい、この魔法石に録音された音声、間違いなくあの娘のものでしょう?

このいやらしい男を誘う声色に、ヤッているときの喘ぎ声…

あの女はあるじ様に思わせぶりな態度をとりながら、その実、財産が目当てなだけの外道だったんですよ。

申し訳ありません、あるじ様。

このような残酷な真実をあるじ様にお知らせすることは、わたしとしても心苦しかったのですが…

だとしても、一族をまるごと滅ぼすのはやりすぎ?

そうでしょうか?彼らを放っておけばいずれまた、同じような被害に遭う人間が現れますよ。

いえ、証拠をそろえて国に報告したとしても、国は対応が遅すぎます。

あるじ様の御身を守るためには、これが一番手っ取り早かったんです。

ふふ、こんな時でもあるじ様はわたしの身を心配してくださるのですね。

そうですね。これは国からしたら明確な犯罪行為ですので、このわたしを討伐するために、いずれ正規軍が派遣されるでしょう。

えぇ、その辺の警吏じゃわたしを捕らえられないでしょうし。

あるじ様も知っての通り、わたしはドラゴンの血を引いた竜騎士ですから。

僭越ながら、わたし一人で一個師団以上の戦力はあると自負しております。

ご安心ください。いかなる敵が来ようと、わたしがあるじ様の御身を守り切ってみせますから。

あるじ様…いきなりこんなことになってしまって、混乱する気持ちもわかります。

プロポーズしようと思っていた相手が実はとんでもない外道で、しかもその相手を部下が一族ごと滅ぼしたんですから。

辛いでしょうけど、どうかご理解ください。

これもすべてあるじ様のためなんです。

え…それでもこれだけのことをやるからには他に理由があるんじゃないのかって、それは…

む…どうやらわたしの討伐隊が来たようですね。

人間の犯罪には対応が遅いくせに、魔族が何かやらかしたときだけはすぐにしゃしゃり出てくる…

話は後にしましょう。すぐに終わらせてきます。

国を敵に回すのはやめろって…

すみません、あるじ様。いくらあるじ様のご命令でもそれだけは聞けません。

大体、国も悪いんですよ。あんな悪徳な連中を野放しにしておくから、あるじ様が傷つくことになったんです。

あるじ様を傷つける者はすべてわたしの敵です。

誰一人、赦すつもりはありません。

たとえそれが国相手だったとしても、です。

あるじ様はここでお待ちください。

大丈夫です。あるじ様のためなら、いかなる敵も討ち滅ぼしてみせます。絶対に負けたりしません。

それでは行ってきます…この子と一緒に。竜召喚!

そういえば、あるじ様の前でお見せするのは初めてでしたね。

この子はわたしのペットです。可愛いでしょう?

竜騎士はドラゴンライダーとしての性質も担っていますので、こうしてドラゴンを召喚し、使役して乗ることも可能なんです。

敵が近づいてきましたね。さ、あるじ様はここに隠れて!

あるじ様…ありがとうございます。

わたし如きの身を心配してくれて。

けれど大丈夫です。こんなちんちくりんな身体をしてますが、わたし、結構強いんですよ?

これでもあるじ様の護衛を務めさせてもらっていますから。

それでは一旦失礼させていただきます。



お疲れ様です、あるじ様。

あるじ様…?どうかされましたか?

これからどうすればいいか、ですか…

それについてなんですが…聞いてもらっていいですか?

はい。この国を抜け出してわたしの祖国まで亡命するというのはいかがでしょう?

国外まで逃げてしまえば、あるじ様が罪を問われることはありません。

当たり前ですけど、よその国にまで自国の法律を適用することはできませんから。

彼らに直接手を下したのはわたしですが、このまま国にとどまっていれば、あるじ様も間接的に罪に問われる可能性があります。

逃げてどうするんだって…そうですね、差し出がましいお願いにはなるのですが…その、ええっと…

は、はい!わたしと!結婚!してください!

ぶ、部下の身でこのようなことを言うのは、非常に厚かましいとは思っております!

けど!わたしだって!あるじ様のことが大好きなんです!

あるじ様が他の女性にプロポーズするって聞いた時、本当は嫉妬でおかしくなりそうでした。

この状況につけ込んでプロポーズするわたしもアレですけど、もう気持ちが抑えられなくて…!

むしろ今しか言えないと思ったから、それで…!

え…俺にはその資格がないって、それはどういう…

そ、そんなことありません!

あるじ様のせいで、わたしの負担が重くなってるなんて、そんなこと絶対ないですから!

ま、待ってください!

……〜っ!お許しください、あるじ様…!



あるじ様…目を覚まされましたか?

すみません、あるじ様がわたしの元を離れようとしたので、つい武力行使に及んでしまいました…

お、落ち着いてください!あまり暴れないで!

……どうしてわたしの元から離れようとするんですか…?わたしのことが嫌い、なんですか…?

え……むしろ逆だからこそ辛いって…

そんな…それはあるじ様が思い悩むことじゃありません。

全部わたしがあるじ様を思って勝手にやったことですから。

部下に手を汚させるなんて主失格だから、俺とは一緒にいるべきじゃないって……

あるじ様……どうしてもわたしの気持ちを分かっていただけないのですか…?

そう、ですか…わかりました。

あるじ様がそこまで仰るのなら…………

あるじ様を分からせます。覚悟してください。

何をする気だって、決まっています。

あるじ様とわたしの間に子どもをつくるんです。

そうすればあるじ様といえど、わたしからは離れられませんよね?

そんなの間違ってる?いいえ、間違ってるのはあるじ様の方です。

ずっと女としての気持ちを押し殺してきて…今日、やっと告白したというのに、あるじ様はわたしの気持ちを一顧だにしてくださらなかった。

あるじ様を手に入れるためには、もうこれしかないんです。

抵抗しても無駄ですよ。人間とドラゴンじゃ、力の差がありすぎますから。

そのうるさいお口も今はチャックしてください。しーっ、ですよ?

まぁこんな辺鄙なところ、助けを呼んでも誰も来ませんけどね。

あるじ様…貴方にお仕えして、貴方の優しさに触れてから、ずっと貴方のことをお慕い申し上げておりました。

人間の魔族に対する偏見が根強く残っている今のような情勢でも、あるじ様はわたしを他の人間の部下と同じように扱ってくださいました。

最初はメイドとしてお仕えしていましたが、わたしに武の適正があるとみるや、直属の護衛に任命してくれました。

拾ってくださっただけでもありがたいのに、こんなに厚く遇していただいて…感謝してもしきれません。

本当はこの想いを打ち明けるつもりはなかったんです。

あるじ様のおそばにいられるだけで良しとするべきだって…ずっと自分に言い聞かせてきました。

けどあるじ様が他の女にプロポーズするって聞いて、居ても立っても居られなくなって…

重ね重ね申し訳ありません、あるじ様。

今回の一連の出来事も本当は全部、わたしの嫉妬という醜い感情が引き起こしたことなんです。

あるじ様を守りたいという気持ちは本物です。

けどその裏では、あるじ様を独占したいという気持ちもたしかにあったんです。

あるじ様、顔を背けないで。わたしのことをちゃんと見て。

(キス)

ンッ……これがあるじ様の温もり…あたたかい。

あるじ様…あるじ様あるじ様あるじ様!!!

もういいですよね…?

こんなにたくさん我慢してきたんですから、あるじ様のこと、わたしの好きにしていいですよね…?

あるじ様…貴方のことが好きです。愛しています。

その邪魔な服は脱いで……わたしの愛を全身全霊で受け止めてください…どうかお願いしますね…?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
主人に忠義を尽くす竜騎士の少女が秘めた想いは止められない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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