学園の王子様女子は退屈な生活に飽き飽きしていた。そんな彼女の趣味は恋人持ちや清純そうな人間、思い通りにいかない人間を墜とすこと…。しかし、最近では簡単に堕ちる者ばかり、数日かまっただけで特別あつかいされていると勘違いしてしまうのだ。これではまったく面白みがない。「簡単になびかないやつはいないか？」と考える彼女の前に現れたのは学園の天使で…

（登校中）
…おっと！！
ふふっ…なんだ君か…

いきなり飛び込んできたからびっくりしちゃった
あぁ…気にしてないで
私は平気だから

それより…君こそ大丈夫かい…？
なぜって、昨日あんなにも激しく遊んだから…
繊細な女の子の身体を気づかうのは当然じゃないかい？？

ふふっ！ごめんごめん！！
昨日のかわいい君を思い出してつい口が滑ってしまったよ…
でも…その顔はまんざらでもないみたいだね？？
わー！ごめんってば！！

…お、学校についたね
そろそろ離れて歩こうか
君といると時間が過ぎるのがはやいな…
ざんねんだよ

おぉっと…はは…
そんな強く抱きしめないでさすがに苦しいって…

…ごめんね
特定の一人と親しくしているところをみられるのはまずいんだ…
なにかと角が立ってしまうからね…

名残惜しいけど…

―――そうか「もっと一緒にいたい…」か…
ふぅ…まいったな…

じゃあこうしよう
夜、いつもの場所で集まろう
昨日よりもっとすごいことしてあげるから

だから待っててくれないかな？？

―――ふふっ！いい子
じゃあ、またあとで

…（間）

ふぅ…そろそろあいつに飽きてきたな…
特別あつかいされてると勘違いしちゃってまぁ…
かわいそうな子…

どんどん派手になっちゃってさ
香水きつかったし

はぁ…昔はもっと純朴 じゅんぼくだったのになぁ…
仕方ないか…

おい
あいつはもう用済みだ
口封じしておけ

処分については…
めんどくさいから任せるよ

まったく…
どいつもこいつもすぐに変わりやがって
おもしろくない…っ！

「私のことを認めない～」とかなんとかほざいてたやつも
ちょっとかまってやっただけであれだ…

あーおもしろくない！！

はぁ～どっかにいないものかなぁー…
簡単になびかないやつ

…

あ゛～っ！ダメだ！！
こんなこと考えてたら気が狂ってしまう！

とりあえずしばらくは恋人持ちの子でも攻略してよっかなぁ…
っと！ごめ……ん…

あ…！
申し訳ない！！
ぼーっとしてて気づかなかったよ…

どこもケガしてない？
大丈夫？？

…大丈夫…そうだね…
いやほんと申し訳なかった！

君はみたところ1回生かな…？
ここは2、3回生のエリアだから
よかったら案内を…

…君…かわいい顔をしているな

…あ！
すまな…

あぁ！行かないで
誤解なんだ
ちょっと待ってくれ！！

…ち…っ！
逃げられた！！

おい！
あいつの情報をよこせ！！

…ふむ
年下だと思っていたら先輩だったのか…
なになに生まれつき身体が弱く…
中性的な顔がコンプレックスである…

いや！
この年齢になってもかわいいなんて価値しかないだろ！！

なんなんだあいつ！
この私に褒められてうれしくないのか？！！

いや…そんなことより…まずいな…
私…あいつのコンプレックスをめちゃくちゃ刺激してるじゃないか…っ！
なんとしても捕まえなければ！

※※※

あ！
先輩いた！！

また逃げようと…っ！

待って！！
なにもしないから逃げないで！！
この前のことを謝罪したいだけです！！

先輩だと知らずに失礼な態度をとってしまって…

―――は…？ほっといて…？？
え？
は？

せんぱ…っ！
また逃げられた…

…がぁぁぁ！
これで４回目だ！！
追いかけてるのにいつの間にか消えている！！

まずい…非常にまずい…
聞けば見た目と男女分け隔てなく接する態度から「天使」とか呼ばれ
私に次ぐほどの人気があるらしいじゃないか

このままでは私の地位が…っ！
はやく…はやくしないと…

とはいえどうすれば…
クラスにいないし
人に聞いても名前を知ってるやつがいない…っ！！

なにか…なにかないのか…
おい！やつの情報はどうなっている！！
お前でも収集できなのか？！

はぁ…？教師すらわからない？？
そんなことがあるか！バカもの！！

ぐぬぬ…
…待てよ？

おい！資料をよこせ！！
たしか…
…ふ…ふふっ！あたりだ！！

さぁ…かくれんぼは終わりだ！！

※※※

失礼しま～す
…お！ははっ！！先輩みっけ！
やっぱり保健室にいた！！

あまりにも病弱ゆえ
「保健室登校を余儀なくされている」とはな…

おっと…
こんどは逃がさんぞ？

申し訳ないがここは包囲させてもらった
家が特殊でな、事業のひとつとして某国を拠点とした民間軍事会社を経営している

ふふ…っ！
小国では相手にならないほどの練度を誇っているので
先輩にはどうすることもできんよ

なぁ先輩
どうして私から逃げようとするんだ？

アンタも私のことは知ってるはず
敵対しなければ危害を加えることはないのだが…？

―――ほう…ひどいめに合うから近づかない方がいい…ね…
この部屋の主にいわれたのか？？

ふ…ふふ…
あいつの処遇は決定した
文字通り海に沈めてやろう…

おいお前ら
取り押さえてベッドに縛り付けろ
あとは私が行うからお前たちは帰れ
いいな？

…さて

ふむ…
こうしてみるとほんとうに女子みたいだ…

肌もきれいだな
シミひとつない

筋肉はあまりついていないのか
華奢 きゃしゃだな
男らしくはない

…？
ふふ…どうした…？
心音がでかいぞ？緊張しているのか？？

それとも…私に触られてドキドキしてるとか…？

先輩…やっぱかわいいね
だから…サービスしてやろう…

（ハグをする）

どうだ…？
はじめて感じる女のからだは…？

じわーっとした暖かさがあって
柔らかいでしょ…？

―――はぁ？！キモチワルイ？！！
…けっこうスタイルよくて美人な自信あるから傷つくなぁ…

…なんでよ？
好きな人いるから？？

…先生とか？

ふーん
その反応はあたりか…

でもあの人は辞めなー

―――どうしてって…
そか、知らなかったんだっけ…

うーん…たしかここに…
お…あったあった！

うわぁ…どんだけたあるんだよ…

ほらこれ、アンタの寝てる写真
あとは…食事に風呂、トイレに…うわ…こんな写真まで…
幼馴染とはいえ…ここまでするかね…

あいつ…異様にアンタに執着してたみたいでさ…
変なコネもあるみたいで診断結果を改ざんしてたようだ

一目見たときから好きだった
誰の目にも入れたくない
彼は私だけの天使
etc

お前を保健室に閉じ込めて
ゆくゆくはおいしくいただこうとしたそうな
まったく度し難い

残念だったな？
好きな相手がとんでもない変態で…

おいおい！そんな悲しそうな顔すんなって…！
そんな顔されたら…
こっちまでそそられちゃう…っ！

アンタの気持ちはよくわかったよ
でも…悪いけど、私、そういう純情なものを見ると壊したくなっちゃうんだ…

ごめんね…
アンタのこと…楽しませてもらうね…

（リップ音）←自由

end

・台本（ゆるボイ！）
【ヤンデレ】王子様系女子は病弱男子を捕まえたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
老田　コジカ