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ボーイッシュな超速兵器の永遠のヒモになることが決定した
written by 松平蒼太郎
  • からかい
  • 告白
  • SF
  • 純愛
  • お姉さん
  • ボーイッシュ
  • ヤンデレ
  • 人型兵器
  • 戦闘
公開日2023年01月03日 17:10 更新日2023年01月03日 17:10
文字数
4388文字(約 14分38秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
人型兵器
視聴者役柄
ブローカー
場所
某所
あらすじ
人型兵器と人間との仲介役としての仕事をしているブローカーの男は、とある兵器に声をかけられ、仕事を頼まれる。最初は面倒で渋っていた男だが、彼女の出した大金に目が眩み、仕事を引き受けることにした。ところが、なかなか彼女のお気に召す人間を引き合わせることができず、四苦八苦する。そんな時、彼女はどこかの組織に雇われた兵器の襲撃を受ける。そこになぜか、ブローカーの男も居合わせ、彼女は彼にこの場から離れるように言うが、彼はそれに従わず、逆に彼女を庇って重傷を負ってしまい…?
本編
ねぇ、君。少し時間をもらえるかな?


そう、君だ。他に誰がいる?


まぁ、待て。そう逃げようとするな。


君に少し協力してもらいたいことが
あるだけだから…ね?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この店、雰囲気もコーヒーも
なかなか良いと思わないか?


まぁ、そう慌てるな。
本題はこれからゆっくり話すから。


他に何か頼みたいものはある?
ケーキでもパフェでも何でもいいよ。


やれやれ…せっかちな男だな、君は。


分かったよ。
そこまで言うなら
本題に入ろうか。


まずは自己紹介から。


もう薄々察してると思うが、
わたしは自立型の兵器。


コードネームは「トルネード」。
以後、お見知りおきを。


そ。名前の通り、風の力を
自在に操るのが得意さ。


それで君に頼みたいことと
いうのはだね…


おっ、察しがいいじゃないか。


そう。わたしのマスター探しを
手伝って欲しいんだ。


わたしはあちこちを気ままに
旅をしていてね、そのせいで
マスターがいないんだ。


うん。元々いたマスターを探すんじゃなくて
新しいマスターを作りたいんだ。


君も知っての通り、わたしたち自立型
兵器は、自らと心を通い合わせたマスターと
専用の認証システムで繋がることで、その力を大きく発揮する。


わたしも今のままでも十分有用な
兵器なんだけどね。そろそろ
マスターというものが欲しくなってね。


そ。言ってみれば、
マスターが欲しい理由は
「何となく」さ。


だけど興味はあるんだ。


マスターを作ることによって
自分の力がどこまで伸ばせるか…


それこそ、自らの力を最大限に高めた
『究極体』というやつになれるかもしれない。


あぁ。『究極体』はわたしたち兵器の
性能を極限にまで高めた最終形態。


その力はまさに究極の名に
ふさわしいもの…らしいよ。


まぁね。実際に『究極体』に至った
自立型兵器は世界でも数少ない。


最も代表的な例が
『エンペラー』だったかな?


マスターと絶対的な契りを結んだ
彼女は向かうところ敵なし。


挑んだ者はことごとく敗れ去ってるらしい。
ろくに抵抗らしい抵抗もできずにさ。


まぁ、わたしも直接お目に
かかったことはないんだけどね。


なんでも凄まじい火力で、
彼女が戦った後はあたり一帯が焦土と化すらしい。


とにかくそういうことだ。
わたしのマスター探しを手伝ってくれたまえ。


なんだ、協力してくれないのか?


一応、これでも
客として君に仕事を
頼んでるんだが。


いや、だって君はブローカーだろう?


その胸につけてる認証マークは
そうじゃないのか?


そ。しかもそれ、国家資格として
認められた方のブローカーじゃないか。


自立型兵器とマスターとなる人間とを
結びつけるのが仕事なんじゃなかったっけ?


ふふっ、なんだ。
心配しなくても
金ならあるぞ。ほら。


どうかな?わたしからの依頼、
引き受けてくれるかな?


いやいや、非合法な手段で
集めた金じゃないさ。


きちんと傭兵稼業をやって
稼いだ金さ。何も問題はない。


うん、交渉成立。
マスターの見つけ方は君に任せる。


君が見出した人間をわたしに
紹介してくれ。性別は問わない。


わたしが彼あるいは彼女を
気に入ったら、それで君の
仕事はおしまい。


さぁ?それは分からないな。
とにかく、君がわたしに合いそう
だと思う人間を紹介してくれ。


前金はこのまま渡すから…
よろしく頼むよ。ブローカーくん?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ブローカーくん…君、本当に
仕事のやる気あるのかな?


あれだけ前金を支払ったのに
君ときたら…


いやいや…どれもダメだよ。
わたしのマスターとしてふさわしくない。


なんでって…わたしの勘さ。


君が連れてきた人間はどれも
わたしがビビッとくる相手じゃない。
だからダメ。


まったく…やっと国家資格持ちの
ブローカーを見つけたってのに
これじゃあね…


いいかい?客であるわたしから
金を貰ったからには、
君には仕事を遂行する
義務があるわけだ。


わたしとしては
きちんとやってもらわないと
困るんだよ。分かるだろ?


む…たしかに今、マスターが
いなくて困ることはないが、
君があまりにも見当はずれの
人間ばかり紹介してくるものだから、
君の仕事能力に少々不安を覚えてね…


どんなのと言われても…
上手く言語化しかねるな…


わたしはどんなマスターを
望んでいるのやら…


い、いや!待て!金は
返さなくていいから!


少々時間がかかってもいい!
だから、引き続き仕事は受けてくれ!頼む!


あ、や…またブローカーを
探すのが面倒、というわけではない…多分。


ま、まぁそういうことだ。
これでも一応頼りにはしてるから…
よろしく頼むよ。ね?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


はぁっ、はぁっ、はぁっ…


この状況はちょっとまずいかもな…
まさか『エンペラー』がこのわたしを
討伐しに来るとは…


ん?……おや、ブローカーくん。
どうして君がこんな戦場に?


あはは…そうか。
たまたま近くにいたところを
巻き込まれたというわけか。
それはすまないことをした。


え?……ッ、そ、そうか…
わたしに死なれると困るんだ…


けどここは危ないよ?
わたしなら自分の身は自分で守れるが、
君はただの人間。銃弾一発でも
当たってしまえばおしまいだ。


はいはい…まぁ、死なない程度に
上手くやり過ごしてくれ。


今はあまり君を守る余力は無いが…
善処はしよう。君に死なれると困るのは
わたしも同じだからね。


…あまり長話をできる状況でもなさそうだ。


君はできる限り速やかに
この戦場から離脱してくれ。
足を引っ張られても面倒なんでね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ゲホッ、ゲホッ…


とんでもない威力の砲撃だな…
わたしの風の力でも防ぎきれな、い…?


ブローカーくん…?何を、しているの…?


そ、それはこっちのセリフだ!
というか、本当に何をしている!?


まさか…わたしを庇ったのか?


バカか…!
わたしが死んでも
君は困らんだろう…!


金だけ受け取って、さっさと
トンズラしていればよかったのに…!


仕事を完遂できなくても、
わたしがここで破壊されれば
君の仕事は終わる。手元に残るのは
わたしからの前払い金だけ…


だったら、ここはわたしを
見捨てるのが正解だろう?
どうしてそうしなかった?


…ふふっ、あははっ…!


契約だから当たり前、か…


なるほどね…君は頼まれた仕事を満足にこなせないばかりか、合理的な選択すらできないバカというわけだ。


けど…そういうバカは嫌いじゃない。


ねぇ、ブローカーくん…
君に頼んだ仕事、もう終わりでいいよ。


あぁ…わたしのマスターは
すでに目の前にいるからね。


そう…今日から君がわたしのマスターだ。


君をこんなところで死なせやしない。


マスターを最後まで守り抜くのが
兵器の務め、だろ?


ほら…早くわたしに触れて?
認証コードを登録したいから。


言ったろ?君を死なせやしないって。


だから早く。これはお互いを
守るための新しい契約だ。


わたしも君をマスターにすれば
この場を切り抜ける力が得られるかもしれない。


相手は『究極体』の『エンペラー』だ。
今のわたしが敵うような相手じゃないし、
相手もわたしを見逃す気はないらしい。


さぁ?恨みを買った覚えはないが…


気ままに各地を放浪するわたしを目障りに
思った人間が彼女に依頼したんじゃないか?
知らないけど。


ん…よし。認証システム、起動。


…マスター登録完了。
これで今日から正式に
君がわたしのマスターだ。
よろしく頼むよ。


さ、マスター。時間もないし
チャチャっとわたしに命令を
下しちゃって。


了解だ。マスターの御身と
わたし自身、両方守ってみせよう。


安心しろ。今のわたしは
負ける気がしないからね。


あの超火力兵器にこの『トルネード』が
ひと泡吹かせてやろう。まかせておいて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お目覚めかな?マスター…


ん、よかった。君が無事で…


ここは病院。怪我の処置は
すでに終えて、現在安静中というわけさ。


あ……うん。
その、すまない…
君の足はもう…


…どうしてそんなことを
あっけらかんと言える?


君の足はわたしのせいで失われたんだぞ…?
なのに、なんで…


…ッ、マスター、
君はやはりバカだ。
大バカ者だ…!


たしかに命は助かったが…
もう二度と自分の足で立つことも
歩くこともできない。


それもこれもわたしと出会ったせいだ…!


わたしが君に仕事を頼まなければ
こんなことには…!


大袈裟なものか…!
君を戦場に巻き込んだのは、
紛れもなくこのわたしだ…


全ての責任はわたしにある…
だからこれからはわたしが
君のお世話をしていくよ。


当然だろう?わたしは君専属の兵器。
マスターのお世話をするのは常識だ。


ましてや、わたしのせいでろくに
身動きすら取れなくなってしまったんだ。
世話をしない理由がない。


無論、全部だ。
食事も着替えもトイレも…
それから性欲の処理も、ね?


いいんだ、我慢しなくて…
どんなわがままも聞いてあげる。
わたしに何でも言って?


そうだ。邪魔な人間や兵器とかはいないか?
わたしの力があれば、即刻排除できるが…


安心しろ。わたしもマスターのおかげで
あの『エンペラー』と同じ『究極体』になった。


マスターをこんな目に遭わせた
あの女はいずれ討伐するとして…
今はマスターの願いを叶えるのが先決だ。


…?わたしは十分落ち着いてるが?


ただわたしはわたしなりに
マスターの役に立とうとしてるだけさ。


ふふっ、仕方ないな…
照れ屋なマスターには
こうするしかあるまい。


(馬乗りになる)


どうかな?お姉さんに
馬乗りされてる気分は…


なぁ、マスター…?
君はまだ若い。
性欲が衰えている
ということもあるまい。


なに、そんな照れるな。
マスターの視線から察したよ。


マスター、わたしの体がそんなに魅力的か?


ふふふっ…我ながらナイスバディだろう?


君、最初に出会った頃から
そんな感じだったろう?


心の中でスケベブローカーって
呼んでいたよ。


いいんだ。今はむしろわたしに対して
スケベであることは都合がいい。


あぁ。今のわたしはこの身を
全てマスターのために捧げるつもりだからな。


そのスケベ心、わたしが満たしてやるぞ♡
存分に楽しもうじゃないか…ふふふっ♪


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふぅ…少々おいたが過ぎてしまったな。
病院から怒られてしまった。


しかし、マスターもやるな。
療養中だというのに、あんなに激しく…


ん?……あぁ、本気だとも。
マスターのお世話は全てわたしがやる。


もう何も心配することはない。
常にわたしがそばにいるのだからな。


今のわたしなら、
どんな脅威からも
マスターを守ってやれる。


マスターにとっても
わたしに守られることが
ベストの選択なはずだ。


自立しようなんて思うな。
そもそも両足を失ったマスターに
何ができる?


野良兵器がのさばってる
この殺伐とした世界で
人間一人が生きていくこと自体、
かなりの困難を伴う。


よかったな?わたしを
自分専用の兵器にできて。


もはやマスターは自分の命の心配を
しなくてよくなったわけだ。


ほら…余計なこと考えてないで
こっち見て…ンッ…


(キス)


愛しているぞ、マスター…


あの日、わたしを庇ってくれてありがとう。


マスターのおかげで
わたしは壊されずに済んだ。


マスターのおかげで
わたしは愛を知ることができた。


もう一生離れてやるものか…
君はわたしだけのマスターなんだから。


また改めてよろしく頼むよ?マスター…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ボーイッシュな超速兵器の永遠のヒモになることが決定した
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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