あるところに男が1人

彼は才能が無い
指導力も画力も学力も運動神経も
演技力も歌唱力も
もしかしたら無い方なのかもしれない

それなのに、彼はみんなから
「努力家」と呼ばれる人生を送ってきた

なろうと思ったことは一度も無かった
何事も地味にやっていただけ

実は、頑張ることも努力も
彼は大嫌いなのだが
この世の中、
やらないともっと面倒なことになると思うと
行動せずにはいられない

彼は実際
面倒くさがりなだけだった

そんな彼だが
必死に足掻いていた頃もあった
才能があると見せつけたくて
なにかと噛み付いては振り落とされ
噛み付いては投げ捨てられる
そんな日々だった

才能があるやつらはそんな彼の姿を見て笑っていた
毎回腹を立てたが 彼は相手にしないようにした
振り落とされるとわかっていても
噛み付くことをやめなかった
自分に才能が無いと認めたくなかったからだ

やり方を変え、タイミングを考え
1人になって馬鹿にされても諦めなかった

結果、振り落とされ続け
勝利することなく
その生活の幕をとじたが
その時最後に言われたのが「努力家」だった

ただ意地を張り、無駄に毎回粘っていたのが
努力として 周りから評価された
不思議でしかない

そしてそれを人は 彼の才能だ という

努力は才能のひとつなのか？
そもそも努力とは一体なんなのか

これを読む私は一生
この問いを皆に聞くだろう

彼はなによりも
努力 を嫌う 努力家だったと思う

・台本（ゆるボイ！）
ナレーション～努力を嫌う努力家～
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
陽夏