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ヴァンパイアハンターに理不尽にもロボットに乗せられるお前
  • ファンタジー
  • SF
  • 吸血鬼
  • ロボット
  • 罵倒
  • 剣戟
  • 戦闘
公開日2021年11月14日 23:07 更新日2021年11月20日 17:40
文字数
4160文字(約 13分52秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ヴァンパイアハンター
視聴者役柄
理不尽にもロボットにのせられるお前
場所
指定なし
あらすじ
ロボットものが求められていた気がしたので投稿する謎台本。
需要は分からない。
これ本当に台本なんですかね。

イケメンにそそのかされてホイホイついていったお前は崩れた肉塊のように変身したイケメンにとらえられ、血を吸われそうになる。
間一髪ヴァンパイアハンターに助けられ、ビルの屋上から、この街に吸血鬼を放っている親玉の吸血鬼を見せられ、ロボットにのってそいつと戦えと言われる。がんばれ。

男性演者様向けにしていますが、女性演者様でも大丈夫だと思います。
本編
トロくせえな全く。手ェ貸せ。ほら。──よっと。

どうだ? 見えるか? ……ビルの上だ。

全く、……ふざけてやがる。

これじゃあもはやホラーに出てくる怪物じゃなくて、この国で言うカイジュウだな。

目測で……翼長60メートルってところか。超巨大有翼型吸血種ちょうきょだいゆうよくがたきゅうけつしゅ……か。

こんなに目立つように顕現けんげんするなんてきいてねえぞ。

……ちっ、羽音がうるせえ。

おい……、報道管制ひくんじゃなかったのかよ……。

どの局のバカタレだよヘリ飛ばしてんのは。

極東支部のボケナスどもは報道管制もできねえのかよ。

ヴァチカン上層部の偉いさんは今頃ブチギレだ。

……さて。

状況は分かったか?

分かってないのか……。それもそうか。

混乱しているかもしれないが、のんびりしてることもできねえ。

状況は把握してもらうぞ。

あそこに見えるカイジュウみてえなのが、吸血鬼の親元、いわゆる真祖って奴だ。

この親元に血を吸われた奴もまた吸血鬼になる。

要するにほっときゃどんどん眷属を増やしてあっという間に世界終焉になっちまうってことだ。

今はすこし休んでるみたいだが、じきに活動を開始する。あれが本格的に動き出したら終わりの始まりだ。

俺か? このカソック服みりゃわかる通り、教会の牧師だ。

ただの一般牧師が端末とはいえ吸血鬼をやれると思うか?

お前を襲ってた吸血鬼をやったんだから、そりゃヴァンパイアハンターに決まってるだろ。

お前があの吸血鬼とどんな関係だったかは知らねえ。

だが、あれは元よりヒトじゃねえ。吸血鬼の、それも端末、言ってみれば『疑似餌ぎじえ』だ。

ヒトの真似をして喋ってるだけだ。あいつとの交流の中で違和感を感じたことはあるはずだぜ。

微妙に噛み合わねえ返答をする、とかな。その程度の違和感、『天然キャラ』で誤魔化ごまかされちまうから、吸血鬼の一部だなんて欠片かけらも思わなかっただろうけどな。

俺が横から助けなきゃお前は今頃アヘアへ言いながら一滴のこらず血を吸われて文字通り昇天してるとこだ。

あのままイケメンと肉塊の合体事故みてえな奴に吸い殺されてたほうがよかったか?

……なら振り切れ。

あいつはクソでかいコウモリの化け物みてえな奴に血を送るだけの端末に過ぎない。もとより自我なんてものすらない。

ヒトの言葉をしゃべっているように見えるが、言語に似た鳴き声を発しているだけ、とすら言える。

分かったか。じゃあ説明だ。

あのクソデカコウモリは少なく見積もっても位階いかい十一以上の超級の吸血種だ。

位階十一以上の吸血種は2000年に及ぶヴァチカンの歴史の中でも討伐例はわずかに2例しかない。

まあ、そもそもそれ以上の分類なんて大した意味もねえ。十一位階以上の出現は世界滅亡と同義だからな。

人類ってのは結局のところ吸血種のことをまだ何にも解明できちゃいねえ。わかってんのは、太陽の光に当てたり、銀の弾丸を撃ち込んだり、心臓に杭を突き立てりゃ死ぬってことくらいだ。

下界は……あんまり見ないほうがいい。

見ちまったか。……理解、できたか? 文字通り、血みどろの地獄絵図だ。

なんとかしろ、だなんて無茶を言うな。

俺の力じゃお前を救うので精いっぱいだ。

ヴァンパイアハンターって言っても人間だ。ヒトの身じゃあ、あんな災害はどうしようもない。

不完全な復活なら、いくつか対抗しうるからめ手が存在する。

だがこいつは完全な形で復活しやがった。

もはや小細工は効かず、正面からぶつかって倒すしかねえ。

……バカヤロウ、どうやったらあんなでかい怪物に弾丸を撃ち込んだり、心臓に杭を突き立てることができるってんだ。

はあ、今なんて言ったんだ? 朝が来るまで待てば……か。

お前、今何時か分かってないだろ。

時計見てみろ。

それは23時じゃねえぞ。今は午前の11時。本来なら太陽がカンカンに照ってる真昼間まっぴるまだ。

あの上級吸血種はこの街に『緞帳どんちょう』を下ろしやがった。

緞帳どんちょうってわかるか? 元々は劇場のステージについてる、上から降りてくる、カーテンみたいなやつの名前だ。

そして、上級以上の吸血種は、これで朝を殺す。

そう。もうこの街には二度と再び太陽は登らない。

もう朝は来ない。

劇が終わって、緞帳が下りる。

つまりは詰みだ。この街という物語は、終わっちまったんだよ。

あとはガタガタ震える生存者が血を吸われて死ぬ、という取り立てて描写する必要もないくだらないエピローグが、緞帳越しに語られるだけだ。

どうにか、できないか?

……さっき言っただろう。もう、俺にできることはないんだ。

俺の力ではこの状況をひっくり返すことはできない。

お前、もしも、この状況からこの世界終焉の始まりを止める術があるなら、それを使うか?

……ひどく辛い思いをするかもしれないが、それでもか。

……わかった。ついてこい。

(間)

ハアハア……。

上手く端末を撒けたな。

この血なら気にするな。ほとんどが返り血だ。

よほどの雑魚ハンターでもなけりゃ端末と一対一でやられることなんてねえ。

流石に複数体だと危ないけどな。

さて、──着いたぞ。

(ぱちんと指を鳴らす)

見えるか?

そう、顔だな。

こいつは対ネフィリム用防衛駆動鎧ぼうえいくどうよろい。名を『ゴフェル』。

槍と釘と聖骸布せいがいふに次ぐ等級の聖遺物せいいぶつの一つだ。

旧約聖書の創世記にも書かれていることだが、かつて地上には邪悪なる巨人族、ネフィリムがいた。

そいつらから人類を守るために、楽園を出たばかりの古代人たちが作り上げたアーティファクト。それがこの『ゴフェル』だ。

こいつはそれを対吸血種用武装に換装したたい超大型吸血種特化兵装ちょうおおがたきゅうけつしゅとっかへいそう

全長135キュビト、重量4千トン。

メインアームには全長15mのゴフェル専用大口径バトルライフル。
銃弾には『ヘレナの聖釘せいてい』の概念的塗装がいねんてきとそうほどこした、純銀製の300mmホローポイント弾。

サブアームには数百年を超える大聖堂と同じ概念的強度を持たせた純銀製の超大型ブロードソード。

……。

混乱してるな。

お前にも分かりやすく言えばそうだな。

……超古代ロボット兵器だ。

……クソ、ありがたい聖遺物に対して頭の悪い呼び方をするのはなかなか罪悪感があるな。

そうだ。これが、切り札だ。

そして、こいつはお前にしか動かせない。

当たり前だろう。この話の流れで、それ以外になにがあるって言うんだ。

お前にはこれに乗ってもらう。

大丈夫だ。俺も乗り込んでサポートをする。

お前はただ、このロボットは動くんだと信じればいい。

乗り込むぞ。ちんたらしてると奴が休眠状態から目覚める。

(間)

よし、操縦席そうじゅうせきに座れたな。

こいつは思考制御しこうせいぎょ型の操縦システムだ。

……この国に住んでるんだからロボットアニメくらい見たことあるだろ?

……ないのか。

えーと、要するに、考えた通りに動く、という意味だ。

例えば『歩け』と念じれば歩くし、『走れ』念じれば走る。わかりやすいだろう。

要するに思った通りに動く、ということだ。

ただ、銃撃などの細かい操作は暴発ぼうはつ防止のために、手元の操縦桿そうじゅうかんについている引き金で行う。

基本はこれだけだ。

……そうだな。本来ならあれが復活する前に適合者てきごうしゃであるお前を見つけてある程度の訓練を積ませてから討伐作戦を開始する予定だった。

けれどこうなったからには仕方がない。

ぶっつけ本番でやるだけだ。

サブシステムは俺が担当する。

行くぞ。

駆動鎧くどうよろいゴフェル、発進!

そうだ。うまい具合に歩けている。その調子だ。

──っ! ターゲットに大出力の魔力反応!

この距離で気付きやがったってのか!

クソ! こっちはまだ歩き出したばかりだってのに!

(ビーム的なSE)

ビームだと!

障壁の展開は──クソッ! 間に合わねえ!

(ジェットエンジン的なSE)

う、うわあっ! なんだ! これは……飛んでけたのか!?

考えた通りに動くはずって……確かにそうだがっ!!

飛行なんて想定されてねえ! なんでできるんだ!

これが、適合者……なのか。

ターゲットから多数の熱源反応! あれは、吸血端末を即席加工した熱探知ミサイルみたいなもんか。

フレアをくぞ。こいつは熱探知攻撃へのデコイだ。

(ロケット花火のような音のSE)

オーケー、しのいだぞ。

よし! ターゲット、ロック。この距離ならやれる!

今だ。撃て!

(マシンガン的なSE)

上手いぞ! ほとんど外してねえ! 完璧なエイムだ! 行けるぞ!

──っ! クソ! 通らねえだと!

嘘だろ! こっちは対吸血鬼用の特化装備なんだぞ! そんな強力な障壁がろくな準備もなしに即出しできるわけねえだろ!

まずい! けろ!

(ビーム的なSE)

うあっ! かすったか。

機体損傷は、17パーセント。意外とでかいな。なんて火力だ。

クソボケが! ビームを撃ってくる吸血鬼なんてでたらめじゃねえか!

まともに一撃食らったら終わりだ! おい、いったん引いて作戦を立てるぞ。

この距離だと敵の攻撃をよけきれない。

よし。この距離なら回避が間に合う。手短に話すぞ。

こちらのメインアームのバトルライフルの攻撃は効いていない。けれど、こっちの弾丸は本来なら一発一発が必殺級の攻撃だ。

連続して撃ち込まれるそれを防ぐほどの力は、位階十一の吸血種には本来ないはずだ。

あれは恐らく、『遠距離攻撃にのみ高い防御力を発揮する障壁』だ。

つまり、俺たちがるべき作戦は……そうだ。

メインアームのバトルライフルで牽制けんせいしながら突撃して、左の剣で奴の心の臓を穿うがつ。これだ。

奴からの攻撃には俺ができる限り対処する。

ターゲットに魔力反応がある。よし。次のビームが合図だ。それを回避したら行くぞ。

よし! 今!

(ビーム的なSE)

いけえええええ!

(ジェットエンジン的なSE)

今だ! 左手で剣を抜いてとどめを!

(鞘走りのようなSEとぶつかるようなSE)

クソ! 掴んで止められた!!

もう一押しなのに、心臓まで届いてない!

クソ、概念的塗装がいねんてきとそうをしてあるとはいえ、あの剣は純銀製、意外と脆い……。

……左手、重ねるぞ。

大丈夫だ。お前なら、やれる。

お前なら、この街を、理不尽な終わりから救い出せる!

信じるんだ。

うおおおおおおお!! つらぬけえええええええっ!

(なにかそれっぽい効果音)

緞帳どんちょう』が、上がる。

……空が、……晴れていく。

終わった、みたいだな。

お疲れ様だ。よく頑張った。

適合者がお前みたいな奴じゃなかったら、恐らくこの街はおろか、この世界が終わっていただろうな。

ありがとう、そして、お疲れ様。最高だったよ。

……なあ、お前ほどのパイロットは、恐らく数百年に一度しか出てこないと思う。

俺と共に、このヴァンパイアハンターの道に来ないか?

そうか……わかった。俺も、答えを焦らせない。

もしも、もしもその気があったら、声をかけてくれ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヴァンパイアハンターに理不尽にもロボットに乗せられるお前
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
剣城・アイスドーラ・凍子
ライター情報
つるぎ あいすどーら とうこ
剣城・アイスドーラ・凍子です。

駆け出しの台本師

Twitter:@Ice_dola

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