デートの約束をすっぽかしちゃうグダグダな彼。
怒りが収まらない彼女との間に険悪なムードが流れる。
その時、彼の携帯に職場からの着信が。
電話に対応する彼は、想像以上にかっこよく、また彼女への想いも垣間見せることになる。

(　)ト書き　《　》彼女のセリフ

イメージで効果音を表記していますが、ご自由に追加・修正してください。




(彼氏、自宅で寝ている)

ピンポーン(インターホンの音)

…ん〜…ったく、誰だよ。
せっかく気持ち良く寝てたのに…。

(彼氏、だるそうに)
…は〜い!

(彼氏、インターホンの画面越しに確認する)
(彼女、怒った顔で立っている)

えっ、なんで君が…?
あ…あ〜っ!!ごめん!すぐに開けるから!

がチャ(ドアを開ける音)

ごめん!迎えに行く約束だったのに…。
企画書書いてたら朝までかかっちゃって…
仮眠のつもりだったんだけど、
つい、寝過ごした…。

《ほんと信じられない!迎えに来てくれるって言うから食材とかこんなに用意したのよ?どれだけ大変だったか…。》

えっ、この荷物…一人で?
俺が鍋食いたいって言ったから、
食材から鍋まで全部持ってきてくれたの?
うわぁ〜ん、ほんとごめんね〜。
重かったでしょ?
はい持ちます、持たせていただきます!

(彼氏、彼女の荷物を受け取る)

さっ、入ってゆっくり休んで!
君の好きなコーヒー買ってあるから。
お詫びの気持ちも込めて
とびきりおいしいの淹れさせてもらうから。

(彼氏、キッチンをゴソゴソしながら)
…と思ったんだけど
…ごめん。今水しかなかった…。
ペットボトルで悪いけど…。

(彼氏、ペットボトルの水を彼女に手渡す)
(彼女、無言で乱暴気味に受け取る)

ちょっ、そんな乱暴に受け取らなくても…。
うっ、でもそもそも悪いのは俺だし…。

(彼氏、彼女の機嫌を取るように)

で、でも今回の企画書の出来栄え、
めっちゃいい感じなんだ!
今度こそ主任に採用してもらえるかも!
そしたら俺もプロジェクトのリーダーになって、
君に…。

《いい企画ができたとしても、約束をすっぽかす、身の回りの物も把握できてないようじゃ、取引先に信用してもらえないわよ。》

…う、うん。そう…だよね。
君との約束すっぽかして、
コーヒーが切れてることも忘れて…
こんなグダグダな奴、
職場でもそうなんだろ?って思うよね。
でも、仕事の時はちゃんとしてるんだよ?
君と同じ部署だったら、
俺が仕事頑張ってる姿、見てもらえるんだけど。
まぁ、こんな状況で言っても
言い訳にしかならないか…。
…でも、今日だって君のことどうでもいいって思ってたわけじゃないんだよ?
君が来るまでに仕事終わらせて、
今日は一緒にゆっくりしようって思ってたんだよ。ほんとだよ〜。
どうしたら許してくれるの〜?

(彼氏、自分の携帯が鳴る)
ん〜、もうなんだよこんな時に。
…えっ、主任から?
…あ、あの〜、主任から電話かかってきてるんだけど、出てもよろしいでしょうか?

《…どうぞ。》

あ、ありがとう!
ごめんね、後でちゃんとお詫びするから。
ちょっと待っててね。

(彼氏、電話に出る。ここから通話シーンは大人な雰囲気でお声をガラッと変えてください)

もしもし。お疲れ様です。
あっ、はい、大丈夫です。
はい、来月からの企画商品ですか?
それが昨日、本部経由の商品についてのメールが届いていまして…。
添付されていた予定数量と、
前年度の実績を照らし合わせて、発注数量を調整しておきました。
納期ですか?
取引先に確認しましたところ、
来週月曜納品との返答でしたので、
ディスプレイの日程には問題ないと思います。
はい、あの小型タイプの商品ですよね?
大丈夫です。
今年は早めに手配して在庫を確保しておきました。昨年メーカー欠品でかなり売上が下がりましたので。
今年は挽回できるように準備しています。
はい、ありがとうございます。
あっ、あと、昨日の企画書が完成しましたので、明日ご確認よろしくお願いします。
はい、先日教えていただいたデータをグラフにまとめて修正しました。
商品リストも作成しましたので。
はい、よろしくお願いします。
…はい、来期の初め頃ですか?いえ、特に予定は…。えっ、現地視察ですか?はい!ぜひお願いします。
はい、取引先の担当の方に一度ご挨拶をさせていただきたいと思っていましたので。
はい、ありがとうございます。
よろしくお願いします。
…えっ、彼女…ですか?
ははっ、いつもだらしない姿を見せてしまっているので…。
そうですね。
安心してもらえるように、もっと頑張らないといけないですね。
はい、ではまた明日よろしくお願いします。
はい、失礼します。

(彼氏、電話を切る。ここからまたグダグダな彼氏に戻ってください)

ごめん、お待たせ。
…で、え〜っと、お詫びの件だけど…。
…って、大丈夫?どうかした?

《さっきの話…。》

さっきの話…?
あぁ、やっぱり、聞こえてた?
まさか彼女の話を出されるなんて思わなかったから…ほんと焦った。

《安心してもらえるように…って、どういうこと?》

えっ、安心してもらえるようにの意味?
…あれはさ、ほら、俺の方が年下でしょ?
仕事も全然できないし、
二人でいる時だってよく君に心配かけちゃうことが多いからさ…。
早く仕事で認めてもらって、
君に釣り合う男になりたいなって…思ってたんだ。
…ってなんか、恥ずかしいな。

《…ごめんなさい。あなたの仕事姿も知らないのに、取引先に信用してもらえないとか、ひどいこと言ってしまって…。》

えっ、あっ、いや君が謝ることないから。
こんなグダグダな姿見てたら、
そりゃ不安になるよ。
俺の方こそ、ほんとごめん。
仕事に没頭して…大事な君との約束を忘れるなんて。

《ううん…私のこと想ってくれているんだなってわかったから。》

えっ、もちろん。それは嘘偽りないよ。
君のこと…一番に想ってる。…大好きだよ。

《私も、大好きだよ。それに、電話で話してる時、かっこよかった。》

えっ、電話の会話、そんなにかっこよかった?
そう?
仕事の話なら、あれくらい普通だと思うけど…。

《電話する前がグダグダだった分、余計にギャップがあったのかな?笑》

あぁ、電話前とのギャップか。
じゃあ…。

(彼氏、電話の時のような大人ボイスで彼女に囁く)

こんな風に囁いたら、俺のこともっと好きになってくれる?

(彼氏、グダグダの時に戻る)

ふっ、なんてね。
あっ、もうこんな時間。
食材とか全部君にしてもらったし、
調理と後片付けは俺がするよ。
えっ?大丈夫だよ。
包丁くらい使えるし。…たぶん。
…も、もし無理だったら一緒にしてくれる?
だ、だって、まずくなったら大変だし…。

(アドリブで弱気な発言をしながらフェードアウト)



〜おわり〜

・台本（ゆるボイ！）
ギャップ彼氏〜グダグダな彼は若手のエース〜
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
初実とうか