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意地のぶつかり合い
written by 都祭詩乃
  • ファンタジー
  • 幼なじみ
  • 戦闘シーン
  • バトルシーン
公開日2022年04月14日 03:36 更新日2022年04月14日 03:36
文字数
1950文字(約 6分30秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
2 人
演者役柄
幼馴染み
視聴者役柄
指定なし
場所
戦闘の余波で崩れかけている洋館
あらすじ
幼馴染みである彼女にとある事情から怒りと憤りを抱きつつも恋心を秘めている青年と、幼馴染みである少女の問答からの戦闘シーンです。


◆登場人物

ハイザ・ストランシュ(青年) ◆
18歳。口数が少なくぶっきらぼうな性格。
メリカたちの住む村の入口に置き去りにされていた捨て子で、彼女らとは幼馴染み。
10年前の戦争で故郷が襲われた際に巻き込まれ死んだと思われていたが生きていた。再会後、自分達の故郷を滅ぼした敵国側にいるメリカに対して怒り、憤りと秘めた恋心がせめぎあっている。

メリカ・アルバート(少女) ●
18歳。ハイザの生き別れた幼馴染み。
事情があり、自分達の故郷を滅ぼし敵国の魔法学院に通っている。
寡黙で表情も乏しいが表に出ないだけで感情豊かな性格。
彼の秘めた恋心には気づいていない。

◆がハイザ、●がメリカの台詞です。
本編
 //SE:歩き、立ち止まる

◆……出てこいよ。そこにいるんだろう。

 //SE:物陰から出てくる音

●こりないね。

◆お前もこりないな、メリカ・アルバート。何度俺の前に立ち塞がる。

●何度でも。お前のすることは間違っているから。

(苛立ったように)
◆……間違ってる? この復讐が? 俺達の故郷を家族を大事なものを踏みにじり悪事を働いたヤツを殺すことの何が悪い。

●殺したところで何も変わらない。復讐は何も生まない。……とは言えないね。私だって、憎かった。ハイザとリオが死んだと思って生きてきてすごく悲しくて絶望して。あの人が元凶だとわかった時殺してやりたいって思ったよ。でも今お前は目の前にいる。

(口調を強める。苛立ちを隠さず)
◆……何が言いたい。

(諭すように)
●これからも生きていくお前にこれ以上罪を背負わせたくない。お前はあの人を殺したら私たちの後を追って死ぬつもりだったんだろうけど、私もリオも生きてる。なら、お前も生きよう、一緒に。

(怒りに満ち溢れて)
◆……ふざけるな。俺の決意をなんだと思ってる。俺の復讐を止めて俺を生き延びさせて俺のこれまでの10年の思いを踏みにじるっていうのか?

●そうだよ、私はお前の思いを決意を行動を踏みにじる。踏みにじってでもお前にこれ以上の罪を背負わせないし無理やりにでも生かす。
 
(5秒ほど沈黙)

◆……最後にもう一度だけ言う。そこをどけ、メリカ・アルバート

(間髪いれず)
●嫌だ。

◆わかっているのか、その先にいるのは、俺の俺達の故郷を、家族を友を大事なものを踏みにじったやつだ。なぜ、それを知って俺を止めることができるんだお前は!!

●だから、

(言葉を遮るように)(怒りが爆発する)
◆うるさい、聞きたくない。俺を人殺しにさせたくないだと? もう遅い、ここにくるまでに何人殺したと思っている? 今さらそいつ一人殺せなかったくらいで、この手が綺麗になるとでも!? ……終わらないんだ。綺麗事ではどうにもならない! そいつを殺して初めて、俺は今までの俺に決着をつけられる。

(ハイザの勢いに押されて息を飲むメリカ)

◆だから、そこをどけ。……どうしても、どうしてもどかないと言うなら……

 //SE:剣を抜く

(剣を抜きながら)
剣を抜け。お前の意思を踏みにじって、俺は先に進む。

(互いに剣を抜き、戦闘が始まる)

 //SE:地面を蹴る
 //SE:剣がぶつかり合う

(打ち合いながら)
◆再会してから! お前が本当に気にくわなかった! 俺が汚濁をすすって生きている間もあの男のもとで幸せにのうのうと生きていたお前が! 何も知らず、そっち側にいるお前が!

●どうしてもひかないっていうんだな。

◆そうだ。この先に行かせたくないなら、俺を殺せ。

●嫌だって言ったら?

◆そうしなければ、お前が死ぬだけだ!!

(力強く押し込まれてふらつくメリカ。振り下ろされる剣)

●っ、『呼び起こすは守り。守護の盾を持って我が敵を阻め』っ!!

 //SE:魔法の発動音

(腹立たしい気持ちで)
◆忌々しいな、ノーランガルドで学んだ魔法か。

●私にとっては大切なものだよ。

◆……生きててくれて嬉しかった、それは本心だ。けどな、譲れないものが、あるんだよっ!!

(一度空けた距離を詰め、再びメリカを突っ込んでいくハイザ)

●私だってそうだよ。嬉しかったけれど、今のお前の行動は見過ごせない。だから、止める!!

(こちらもとメリカも応戦する)
(一太刀躱され、相手の剣を受け止めるハイザ)

 //SE:剣がぶつかり合う

(メリカの一撃は剣を飛ばすほどではなくても弾き返し、体勢を崩させる)

◆っ!!

●『呼び起こすは氷。眼前の敵を凍らせろ』

 //SE:魔法の発動音

(ハイザに氷の柱が襲いかかるも、体勢が崩れた状態から避ける)

(嫌悪感を隠さず)
◆忌々しい、忌々しいな。

●そんなに魔法が嫌い?

◆そうだな、俺たちの村を焼いた魔法師どもが使うものだ。憎くなくてなんだっていうんだ。お前だってそう感じるだろう、炎系の魔法が使えないこと、見抜かれていないとでも思ったか。

●魔法の良し悪しは使い手次第だ。魔法そのものが悪いわけじゃない。

◆ほざいていればいいさっ!

(再び打ち合う二人)

 //SE:剣がぶつかり合う

 //荒い息遣い

(最後の一合になろうかというところ。攻撃を繰り出すも、メリカの魔法の影響で急に足がもつれバランスを崩す)

◆なっ……

 //SE:剣を弾く

(斬られるかと思ったが、剣が弾かれるだけに終わる。そのまま、後ろへ倒れこみ、馬乗りになったメリカがハイザの首に剣を突きつける)

 //SE:地面に倒れこむ
 //SE:剣を首に突きつける
 //SE:剣が地面に転がる

◆ぐっ……

(一つため息をついて)
◆……どうした。早く殺せよ。そうしなきゃまた俺はお前の前に立つぞ。

(折れた剣を見せながら)(勝ち誇ったかのように)
●私の勝ちだよ。ハイザ。

(一瞬ポカンとした表情を浮かべるハイザ)

(口から漏れ出たかのように笑う)
は、は、ははははは……

……はぁ、俺の負けだよ、メリカ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
意地のぶつかり合い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
都祭詩乃
ライター情報
趣味で一次創作を書いている字書きです。
最近、音声作品を作りたくて、台本も書き始めました。

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