七夕シーズン。
七夕飾りを持って帰ってきた彼氏。
彼女に願い事を尋ねると「消えたい」とポツリ。
生きるのに疲れ果てた彼女に懸命に寄り添う彼氏のセリフとなっております。

(　)ト書き　《　》彼女のセリフ
効果音・BGMはご自由に演出してください



(彼氏、帰宅する。)
(彼女、キッチンで洗い物をしている。)

ただいま〜。
帰りにスーパー寄ったんだけど…。
見て、笹飾りセット!
ご自由にお取りくださいって書いてあったから…。
もらってきちゃった

《…笹は?。》

…あっ、笹は…なかった。
でも代わりに…あそこの観葉植物に飾るっていうのはどう?
ちょっと雰囲気違うけど。
でもさ七夕って大人になるとなかなかする機会ないし…せっかくだし飾らない?

《…やらない。》

やらない?そう…。
でも…ほら、いろんな飾り入ってるよ。
貝の飾りに、これは…提灯かな?
あっこれなんだっけ、網みたいになってるヤツ。
あとは…短冊!
願い事って考えるのワクワクしない?
子どもの頃は「ヒーローになりたい」とか書いてたけど…。
何お願いしようかな?
君は?願い事、何にする?

《…消えたい。》

…えっ、消えたい?
それ、どういう…。
もしかして…。
自分が、消えてしまいたいって…こと?

(彼女、頷く)

…そっか。
消えたくなっちゃうくらい、辛いこと…あったの?

(彼女、泣きだす)

よしよし。
涙、ずっと我慢してたんだ。
気づかなくてごめんね。
立ってるのしんどいよね。
ひとまずソファに座ろっか。
歩ける?うん、大丈夫。
支えてるから。ゆっくりでいいよ。

(二人、ソファに座る)

はい。
テーブルにティッシュ置いておくね。
落ち着いたら…話聞かせてくれる?
うん、ありがとう。
涙止まるまで…こうしてギューってしてるね。

(彼女、しばらくした後ぽつりぽつりと話し始める)

うん、うん…。そっか…。
居場所がないような、存在を認めてもらえてないような…そう感じることが重なっちゃったんだね。
よしよし、辛かったね。
うん、覚えてるよ。
子どもの頃、否定され続けたのがトラウマで、
自分に自信が持てないこと。
それもあって、
周りはそのつもりがなくても、
孤独を感じやすくて傷ついてしまう。って…。
辛い出来事が重なって、
昔の記憶に引きずりこまれて…。
消えたいって…なったのかな。
そっか…大丈夫だよ。ぎゅー。
俺は、そのままの君が大好き。
そういう繊細なところも。
前を向いて生きようと一生懸命なところも…。
頑張り屋さんで、
無理しちゃって泣いちゃうところも…。
全部愛おしくて、守りたい。

(彼氏、泣きそうな声で)
好き…大好き…。
君の居場所はここにちゃんとあるから。
君は絶対に必要な存在なんだよ。
俺のそばにいて。
だから…消えないで。
お願いだから…消えないで。

(彼女、泣きながら頷く)

少しでも、俺の気持ち伝わった?
よかった…。
俺はずっと君のそばにいるから。
一人じゃないよ。

くすっ、また涙。
でもちょっと笑顔も見れるようになってきたから安心した。
…ねぇ、やっぱりあとで七夕一緒に飾りたいな。
君と幸せになれますようにって…お願いしたいからさ。

〜おわり〜

・台本（ゆるボイ！）
[七夕・癒し]七夕に「消えたい」と願う彼女に懸命に寄り添う彼氏
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
初実とうか