風邪を引いて倒れてしまった妹を看病しているあなた。なんだかいつもと様子が違う妹は、あなたがこっそり購入した媚薬を風邪薬と間違って飲んでしまったと言い出して……？

(妹(話し手):兄のベッドの上で寝ている
兄(聞き手):ベッドの右側にいる)

くしゅん！
ごめんなさい、お兄様

私なんかのためにお仕事休ませてしまって……

ほんとは今日も学校行くつもりだったんですけど、学校に行く途中で倒れてしまって

そばにお友達がいなかったらどうなっていたか……

お兄様に余計な心配をかけてしまいました

(はっとしたように)
あっ、そういえばこのベッドはお兄様の……
ここまで運ぶのも大変でしたよね
さっきはぼーっとしてて気づきませんでした
すぐ自分の部屋に行きますから……

(引き止められる)
うぅ……ごめんなさい

ダメな妹ですね、私

(少し間を置いて)

……えへへ、ありがとうございます

お兄様がそう言ってくださるなら、お言葉に甘えて今日はゆっくり休みますね

あ、お兄様の作ってくださったお粥、とってもおいしかったです
ごちそうさまでした
これできっとすぐよくなりますよね

最近全然お兄様とお話できていなかったので
今日は一緒にいられて嬉しいです

それにこの匂い
お兄様の匂い……とっても落ち着きます

ふふ、臭くなんかないですよ
いい匂いです

(少し間を置いて)

お兄様、お仕事の方は大丈夫なんですか？
最近ずっと疲れたお顔をされてらっしゃるので

そうなんですね……お兄様にそんなこと言うなんてひどい人ですね

夜遅くまで仕事して、休みの日も会社に行って頑張ってるのに……

今度お兄様についていって上司の方に私がびしっと
けほっ……けほっ……すみません

ふふ……もちろん冗談です
そんなことをしても、お兄様がもっと怒られてしまうだけですから

辛いことがあったら、いつでもお話聞かせてくださいね

(少し間を置いて)

いえいえ！迷惑なんてとんでもない

むしろ嬉しいくらいなんですよ
お兄様のお役に立てるなら、なんだってしたいんです

(ベッドから上体を起こす)

あれ？どこに行くんですか？
探し物……？

行っちゃや、です
今日はずっと一緒です

お兄様はずっとここにいてください
ずっと私のそばにいてください

ね？

(聞き手の腕を掴んで引き寄せる)

ほら、これで離れられませんよね

(少し間を置いて)

そんなこと言って逃げようとしてもダメですよ
一緒に風邪引いちゃえばいいんです

私の風邪が治ったら、今度は私がお兄様を看病してあげますね

もう、そんな不安そうな顔しないでください
大丈夫です！
お料理もお洗濯もきちんとこなしてみせます

お兄様のためなら、なんだってできちゃうんですから

大好きですよ、お兄様
だーいすき

え？
全然変じゃないですよ？
私はいつもどおり、お兄様のことが大好きな妹です

(少し間を置いて)

そういえば、机の上に置いてあったお薬
お兄様が用意してくださったんですよね
ピンクの箱の

さっきからなんだか体がぽかぽかして、不思議な感じがします

……え？風邪薬じゃない？

そんな……どうしましょう……お粥食べた後に飲んでしまいました

そうですか……それならお水をたくさん飲めば大丈夫かもしれませんね

ところで、あのお薬ってなんのお薬なんですか？

……どうしました？
顔色が悪いですよ？

もしかしてお兄様もどこかお悪いのですか？
それとも……

何か妹に言えない秘密でもあるのですか？

黙っていたって何も分かりませんよ
誰にも言いませんから

(少し間を置いて)

ふーん、そうなんですね
会社の新人さんと両思いになるために……

(呆れたように)
はぁ……
お兄様がそんな人だとは思いませんでした

薬の力を使って人の心を弄ぼうとするなんて、最低ですね

そんなことをしてまで両思いになって、何の意味があるんですか？

お兄様のことを好きになってくれる人がこれから現れるかもしれないのに……
もしかしたら、すぐ近くにいるかもしれないのに……
その人のことはどうでもいいんですか？

どうなんですか？
答えてくださいよ！ねぇ！

(少し間を置いて)

なーんて、嘘ですよ♪お兄様

安心してください 薬は飲んでません
ほら、ここに……ちゃんとありますよ
(カプセルをつまんで見せる)

飲むわけないじゃないですか

だって、その薬は私が買うように仕向けたんですから

お兄様は偶然お店から送られてきたメールを見て買ったとお思いでしょうけど

それ、私が送ったものなんです

お兄様が寝てる間にスマホをこっそりお借りして
閲覧履歴にあったえっちな通販サイトによく似たアドレスを取得して
メールの文面もそれっぽく工夫して

スマホのロック解除は簡単でした
だってお兄様、私が後ろから覗いてても全然警戒しないんですから

まぁこの細工をする前から、お兄様のスマホはこっそり拝見してましたけど

結構前から頻繁にあの女にメッセ送ってたみたいですね
でもなかなか相手にされずに焦ってた

だからこんな簡単な罠に騙された
おかげで手間が省けました

未成年はこういうの買えませんから
さすがにお兄様のクレジットカード勝手に使ったらバレてしまいますしね

さてと……

(ネクタイを引っ張って顔を引き寄せる)

ふふ、苦しいですか？
苦しいでしょう？

(薬を口に含む)

んっ……
(リップ音 キスをして薬を口移し)

はい、おしまい♪
ちゃんと離してあげますよ
(ネクタイから手を離す)

吐き出したりしたら、あの女にバラしちゃいますから
お兄様があやしい薬を飲ませようとしてたこと
あ、上司に報告するのも良いですね

私はあくまできっかけを与えたにすぎません
私が送った偽のメールも消去済み

お兄様が何を言ったところで、私が疑われることはないでしょう

ふふ、そうそう
物分かりが早くて助かります

ちゃんとごっくんしてください
はい♪いい子ですね

(恍惚とした感じで)
はぁ……これでやっと……
やっとお兄様と両思いになれます

まぁこういうところに出回ってるものは効果がないものがほとんどでしょうし、私も最初から信じてはいません
でもそれでいいんです

もし効果がなくても、また別のを試せば良いんです
何度でも何回でも
だってもうお兄様は私に逆らえないんですから

お兄様は私のことだけ見ていればいいんですよ

私と同じごはんを食べて同じベッドで寝て
お休みの日はたまに一緒にお出かけしたりして

そうやって私と一生一緒に過ごすんです
他の女になんか渡したりしない

大丈夫です
お兄様がちゃんとあの女のことを忘れられるように
アカウントブロックして連絡先も消しておきましたから

(抱きしめ、耳元で囁く)
ふふ、大好きですよ お兄様
これからもずーっと

・台本（ゆるボイ！）
風邪を引いた敬語妹がヤンデレ策士で
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ロンタ