※作品内に自殺を匂わせる描写があります。閲覧の際はご注意くださいませ。

～あらすじ～
色々あって生きることに疲れてしまったあなたは自らの人生を終わらせるためにビルの屋上へと向かった。
意を決して飛び降りを決意したあなたの前に現れたのは、ニンゲンの姿とほとんど変わらない「地球外生命体」。
そんな地球外生命体は空を飛びながらこちらに話しかけてきて……

おーい……おーーい……

お〜い〜…聞こえてんだろ、ニンゲン。
いい加減無視すんのやめてくんない？
私でもいい加減寂しくなってくるんだけど。
言っておくけど幻覚とかじゃないからね〜？
今キミの目の前で空中に浮きながら声をかけるとかいう、なんとも奇妙な光景に見えているかもしれないけれど…私はマジのガチでここに実在してますからね〜？

…おお、やってこっち向いてくれた…ってうわぁ…ひっどい顔しちゃって。
顔だけじゃなくてカラダも心も…随分とボロボロになっちゃってますねぇ。
いったいどうしたんだい？何があったらそんな絶望に満ちた表情ができるようになるんだい？
…だんまり、かぁ。まぁ…別にいいけど。
…マンションの屋上、脱ぎ揃えた靴、封筒に入った手紙。
そんな中、たった1人で震えながら屋上の手すりに掴まって下の道路を見つめていたキミ…。
これだけの情報でも、ある程度の憶測はついちゃうんだよなぁ。

…自分の命を終わらせようとしてたんでしょ？
確かこの世界の言葉で言うと…自殺、だっけ？ね？

…それ以上の理由は聞かないでおこうか。
頼むから泣くのは面倒になるからやめておくれよ。
まぁ…どんな理由であれ、キミはキミでいることに疲れちゃったんだ。
…相変わらず随分とめんどくさい生き物だねぇ、ニンゲンは。

私？私は…そうだねぇ…アッハハ、なんなんだろうねぇ。
ニンゲンじゃないのは確かだよ。…うーん…まぁざっくり言えば地球外生命体？的な？
見た目はキミたち人類にそっくりなのは否定しないけどね。
でも……この地球とやらに存在する歴史よりももっともっと高度な文明を築いたし、寿命だって魂を超越した私たちにとってはほとんど不老不死と変わらない。
空だって飛べるし、水中でも息ができるし、氷点下でも灼熱の中でも生きていけるだけの強さだって持ち合わせてる。
それに、私たちは同族同士で無意味な争いはしない。
戦争からいじめまで、お互いに傷つけあうだけの事なんて…とっくに愚かな行いだと理解している。
各個体にそれぞれの個性があることも、肉体に限らず精神的な強さも弱さもひっくるめて他者を愛する…そんな当たり前のことすら出来ないニンゲン達とは一緒にしないでほしいよね。
例えキミのような何をやっても上手くいかない弱い個体であったとしても、私たちはそこを含めて愛してあげるよ。
そうだな…人類の上位互換…と言っても過言ではないかもね…なーんて。

で、どうするの？
キミはこのまま飛び降りを決行するのかい？
それなんだけどさぁ…私からちょっとした提案があるんだけど。
もしよかったら聞いてくれない？
…キミさえよかったらさ、私のペットになってみない？
…なんだよ、ぽかーんとした顔しちゃって。さっきの暗い顔よりはよっぽどいいけどさ。

ね、キミはこの世界で生きるのに疲れちゃったんでしょ？…だったらこっちにおいでよ。
…さっきも言ったけど、私たち見た目だけは人類にそっくりなんだから。
キミ1人ぐらいニンゲンが混ざっててもバレやしないって。

…なんでこんなこと言うのかって？
ん〜…私ね、ニンゲン、飼ってみたかったんだぁ。
自分そっくりの生き物を育ててみるだなんて…きっとすっごく面白いだろうなって思ってさ。
…わたしにとっては…キミはそれなりに好みのタイプだし。
弱くて弱くて…そのくせ頑張っても報われなくて…そういう可愛そうな存在を…私に依存するまでとことん可愛がってあげたいんだ…！！
…ま、悪いようにはしないって約束してあげる。
ご飯もお風呂も暖かい寝床も…それ以上のモノが欲しいならできる限り叶えてあげる。
どうする？このままこの世界に残って苦しみを背負ったまま生涯を終えるのか、それとも私の手を取って新しい人生を始めるのか。
…選ぶのは、君自身だよ。
さぁ、どうする？

・台本（ゆるボイ！）
地球外生命体さんは生きることに絶望するあなたをペットにしたいようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ソライヌ