台風が来て電車が止まることを口実に、気になる先輩を家に泊めようとする話。

(自宅にて、晩ごはんを食べ終える)
はー、ごちそうさまでした。
……どうでした？　俺が作ったのは……

あ、おいしかった？
まーお世辞だろうと思いますけど、ありがとうございます。
人に料理つくるのなんて初めてで……結構緊張するんすね。

んー、なんか、試されてる感じがするっていうか……。
慣れの問題っすかねー。

え、また食べたい？
……そんなに俺の機嫌とってどうするんすか。

言われなくたっていつでも作ってあげますよ……
あっいや、なんでも？　なんでもないっす。
ちょっと俺、歯磨いてきますね。

(歯磨きに逃げる)
はぁ……何言ってんだ、俺……絶対聞こえたよな、今の……
普段だったらあんなこと、思ってても絶対言わないのに。
ともかく歯磨きしよ……。

(シャカシャカシャカシャカ……)
(べー)

よし……これでいったん冷静になっただろ。
さ……俺の予想が当たってれば、この辺の電車はもう台風で止まるはず……。

(スマホを見る)
ん、やっぱりな。どの路線もアウトだわ。
えっと、じゃあ、わざとらしくないように先輩に報告するか……。

(リビングに戻る)
あ、あの、先輩、
さっきスマホ見たんすけど、台風で電車が止まっちゃうって。

そうっす、直撃ルートなんで、時間的にはちょっと早いけどもう止まるみたいで。
……どーします？　もう結構風も雨も来てるし……。

あ、か、帰ります？

あ、あの、うち、なんの準備もしてないんすけど、先輩んち、遠いでしょ？　帰る途中に止まっちゃアレだし、その、なんなら泊まっていきません？

はい、いいですよ。
まぁその、仕方ねーなってことで

あっいやいや、あの、全然遠慮しないでくださいっ！！

……じゃあ、今晩はそういうことで。
どうしましょ。もう風呂入っときます？
多分今晩直撃するんで、停電とかするかもしれないし……。

そっすね。早めに入っときましょっか。
あ……でも着替えとかないのか……

え、先輩、着替え持ってんすか？

あ、雨で濡れた時のためにね……なるほど。
じゃあそれでお願いします。

ん？　あー、俺は後でいいっすよ。食器とか片付けとくんで。

はい、お先にどうぞ。

(先輩がお風呂に入る)
ふぅ……なんとかなったぞ。なんとか先輩をお泊まりさせられた……。
緊張した……。あんまり悟られないようにしないと……。
皿洗うか。先輩って急に変なこと言うよな。せっかく遊びにいくなら俺の作ったものが食べたいとか……。
別に特別な意味はないんだろうけど……こっちはさ、期待しちゃうじゃん……。
かといって、あんまり俺の気持ちに気づかれたくもないし……難しいな……。

(皿洗いを終える)
さて……あとは俺も風呂入って、掃除したら寝るだけか。
……この一人用のベッドで先輩と寝るのかな……いや、さすがに俺は寝袋にしようかな……。

あ、先輩、上がりました？
ほーい、んじゃ俺も風呂にします。

(風呂上がり)
はー、すっきりした。

結構雨風激しくなってきましたね。
だいぶ窓とかうるさくなってきたし。

先輩、大丈夫っすか？
一人で寝れます？

あはは、馬鹿にしてないっすよー。聞いてみただけっす。
まーでも怖かったら、隣で寝てあげなくもないっすよ……？

え、床で寝る？
……じゃあそうしてもらって。わざわざ俺が一晩泊めてあげてるんですし。
……じゃなくて、先輩、せっかくなんすから……その、一緒寝ましょうよ。　ね？

恥ずかしい？
まぁ、俺も……
っいや、男同士で別にそんなの気にすることないっすよ！

何笑ってんすか……
ま、ともかく、今日はそういうことで……

あ、あの、寝るまで、何します？

え、もうベッド入る？　早くないっすか？
普段もこんな寝るの早いんすか？　そんな話聞いたことないけど……。

え、俺もっすか……？　あ、と、隣に……？
えっと……し、失礼します……。

(先輩とベッドで添い寝……)
あの……あー、もう寝るんすか？

いや、別に良いんすけど、早くないかなって……。

俺はまぁ……い、嫌じゃないっすけど

あー、で、このまま寝るんすか？
多分俺、寝れないと思いますけど。うーん……先輩が寝るまで隣にいましょうか？

はい、なんすか？

下心……？　なんの話っすか？
……な、ないっすよ！？　俺は下心なんか！
余計なこと言ってないでとっとと寝てください！！

んん……なんかからかわれてる気がする……
まぁ、ともかくおやすみなさい……。

(しばらくして……)
あー……ほんとに寝たんすか？
……寝たならもうベッドから出るか……。

(ベッドから出る)
はぁ……なんかこの寝息の感じだと確かに寝てる感じするけどなー。
てかよく寝れるな……俺には無理だよ。

あー……先輩ってほんとに俺には興味ないのかなぁ。だってさ、気になる人の隣でそんなスヤスヤ寝れないだろ？　って思うのは俺だけかなぁ……。

……ちょっとだけ、期待してたんだけどな。
ま、さすがに有り得ないか……。

謝らないとな。
先輩、すいません。
俺、下心満載っす。
だから、せめて夢だけ見させてください。
その、手……ちょっと握らせてほしいっす。

(そっと手を重ねる)

ん……やば……
人肌に触れると落ち着くって言ったやつ、完全に大嘘つきだな……
はぁ……

ん、もうやめとこ……黙ってこんなことするの、さすがに申し訳ない……

(手を握り返される)
……え？　ん、先輩？
いや、まさかな……
たまたま夢で誰かの手ぇ握ってるんだろ……

そんな、ここで手ぇ握り返すなんて都合のいい話……

意外とあるのかなぁ……

ねぇ先輩。
ほんとは起きてるんじゃないすか……？

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・台本（ゆるボイ！）
[BL台本]仕方ないっすね、泊めてあげますよ
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チャイシー・マチ