ねえ、大丈夫？起きて。
…目、覚めた？
ごめんね。酷くうなされてたから、放っておけなくて…
大丈夫？
ああ、汗すごいな…待ってて。今タオル持って…
《ベッドから降りようとする彼氏に抱きつく彼女》
おっと…え、どうした？
震えてる…
えっと…ここにいてってことかな？
…わかった。どこにも行かないよ。
ほら、ちゃんとぎゅーってしてあげるから、ちょっとだけ離してくれる？
うん。いい子だね。

はい、ぎゅー。
よしよし。嫌な夢でも見てたのかな？
怖かったの？
…そっかそっか。
ああもう、泣いちゃって。ほら、泣かないの。
大丈夫だよ。今、ここには君と僕しかいないから。
君を傷付けたり、怖がらせるようなものは、なんにもないよ。
仮にあったとしても、僕がいるから大丈夫。
君のことちゃんと守るし、悪いやつはやっつけてあげるから。
だから安心して。ね？

あはは。そんな強くぎゅーってしなくても、逃げたりしないって。
大丈夫だよ。僕はずーっと、君のそばにいるから。

そうだ。一旦深呼吸してみようか。
吸って、吐いて。もう1回、吸って、吐いて。吸って、吐いて…
…ちょっとは落ち着いたかな。
うん。大丈夫。怖かったね。もう大丈夫だから。

…あのさ。変なこと聞くんだけど、
その夢って、例えばゴジラに襲われるーとか、
ショッカーに改造されちゃうーみたいな、
非実現的な夢だった？
…ああ、ごめんね。いきなりこんなこと聞かれても、訳わかんないよね。
なんかね、前に聞いたことがあるんだけど、
夢って、誰かに話すと正夢にならないんだって。
そう。だからそれを逆手に取って、
僕に話せばさ、実現しなくなるかなと思って。
でもそういうゴジラみたいに非実現的な話なら、
聞く必要はないんだけどね(笑)
思い出すの嫌かもだけど、もし有り得そうな話だったらさ、
ちょっとだけでもいいから、聞かせてくれないかな？

…うん、聞くよ。
うん。…えっ、僕が？それで？
…大嫌いって？君に？
うわあ…
そっか、その振り方は酷いね…
僕も君に同じこと言われる夢見たら、さすがに泣いちゃうな…

でも…僕に話さなくても良かったかもね。
だってその夢、ゴジラとおんなじだもん。
こんなにも君のこと大好きなのに、大嫌いだなんて言うわけない。
振ったりなんか、絶対しないよ。
僕は君とずーっと一緒にいたいって思ってるし、
君にもそう思ってもらえるように、僕なりに頑張ってるつもりだよ？
…あはは。そっか。うん。すっごく嬉しい。

こんなこと言うの、本当は駄目だと思うんだけどさ…
僕に振られる夢を見て、君がこんなに怖がってるの、
ちょっとね、嬉しかった。
君はすごく怖い思いをしたのに、ごめんね。
怖くて泣いちゃうほど、僕のこと好きでいてくれてるんだって思ったらさ…
君がね、いつも僕のこと好きだって言ったり、
行動とかで示してくれるのはちゃんと分かってるんだけど、
なんかこう…改めて、それだけ愛してくれるの、
嬉しいなって思っちゃった。

ふふっ。
うん、ありがとう。
でも僕だって君が大好きだし、愛してるんだってこと、
忘れないでね。
だから、今度こういう夢見たって、怯えなくていいからね。

さて。
もうだいぶ落ち着いたね。
明日もお仕事だし、もう一回寝ようか。
眠れそう？
…ふふっ。もちろん、一晩中君の隣にいるよ。
だから安心して。
ほら、もう目閉じて。
おやすみ。今度は幸せな夢を見てね。

・台本（ゆるボイ！）
怖い夢を見た彼女を慰める彼氏の話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ちとせあられ