猫くん目線のセリフでお送りする飼い主のお姉さんとのちょっと切ない物語。

効果音・BGMによる演出はご自由にしてください。


はぁ、
今日は一段と寒いなぁ。
でも空気は澄んでいるのかな。
お月様がきれいに見える。

それにしても…
やっぱり窓辺はヒンヤリする…。

(くしゃみする)

うぅっ。
ボクの毛並みも逆立っちゃうよ。


ご主人様も寒がりだっていうのに、
なんでカーテンをしっかり閉めないのかな。
こんな隙間開いてたら冷えるし…
変な人にのぞかれちゃうよ。

こっちのカーテンを、もうちょっと…。
よいしょ…っと、
んっ、んっ。

…あっ、
どうしよ…爪で破いちゃった。

で、でもちょっとだし、
黙ってたらバレないよね?
うん、
大丈夫大丈夫。

あっ、この音…
最終電車が来たんだ。
ボクの耳もピンと反応してるし、
うん、間違いない。

もうすぐご主人様が帰ってくるぞ。

さ〜て…玄関に急げ。
こうしてマットの真ん中でお行儀良く座って…
最高のお帰りのニャアでお出迎えしてあげないと。

(発生練習するように)
ニャ、ニャ、ニャ…ニャ〜、ニャア!

よし、発生練習オッケー!

くすっ、そうこうしていたら…
ご主人様のヒールの音が近づいてきた。

扉の前で止まって、
鍵を開けて…。

おかえりなさい♡ニャア♡

わ〜い、喜んでくれた。
このご主人様の笑顔、
かわいくて大好き。

ねっねっ、
早く抱っこして…。

うわっ、手つめたっ!
ちょっ、頬ずりは待って…。
ひゃあ、冷え冷え〜。

こんな時間までお仕事してたんだもん。
体冷たくなっちゃうよね。

そうそう、
まずはお着替え。
部屋に行こ。

えっ、
おろしちゃうの?

ヤダヤダ、
離れないんだから!
むぎゅ!

…しょうがないなぁ?

わ〜いありがとう。
じゃあ抱っこしたまま…
お部屋にレッツゴー!


(ここからご主人様からキミに呼び方が変わります)

はぁ…。
やっぱり部屋着のキミが一番かわいい。

モコモコの服にくっついて、
頭撫でてもらって…
気持ちいい。

えっ?
キミもボクといると癒されるの?
嬉しい〜。

キャー!
キミから「大好き」って言ってもらっちゃった。

ボクも好き好き好き
!大好きだよ。

ん?…どうしたの?
急に元気なくなっちゃったような。

そっか…
お仕事忙しかったんだ。
ここのところ残業続きだったもんね。

いつもお疲れ様。
スリスリ。

明日は休みだからのんびりしよ。
一緒にお昼までゴロゴロして、
ご飯はデリバリーして…
たまってた映画も観よ。
ボクはず〜っとキミにくっついてあっためてあげる。
フワフワの体いっぱい撫でていいからね。

えっ、今なんて言った?

彼氏に…会いたい?
ちょっと…
なんでそこで彼氏の名前が出てくるの?
そんなこと言うなら…ふんっ。

へへっ、ここまでおいで〜。

このラックの最上段、
簡単には届かないでしょ?

下りておいで?

ヤダ、下りないもん。

そうやってすぐ「猫は気まぐれ」って言うんだから。
違う、
気まぐれなんかじゃないもん。

ボクの気も知らないで…。

キミが彼氏の話をする度に、
寂しくて悲しくて…。
いっぱいヤキモチ妬いちゃうんだから。

まったく…
気まぐれなのは、そっちじゃないか。
ボクのこと大好きって言ったくせに、
結局は彼氏の方がいいんだから。

もう…知らないっ。
ボク今日はここで寝る。
もう一緒に寝てあげないんだから。



あの〜、
もしも〜し。

反応ない…
もう寝ちゃったか。

いつもボクがいないと寒くて寝つけないのに。

ふっ、
キミの方が猫みたい。
体丸くして…やっぱり寒いんじゃん。

しょうがないなぁ。
よいしょっと…。
ピトッ…
これであったかいかな?

はぁ。
もう一緒に寝ないって決めたところなのに、
ほんとボク意志が弱いなぁ。

ねぇ、
ボクはいつもキミのそばにいるよ。
毎日こうしてあたためてあげられる。
それでも、
たまにしか会えない彼氏の方がいいの?
やっぱり人間の男には勝てないのかな?

ボクが人間だったら、
キミのことギューって抱きしめてあげられるのになぁ。

…なんて。
言ってもどうにもならないんだけどね。

ただ、
キミには笑って過ごしてほしい。
幸せでいてほしい。
ボクが本当に願うのはそれだけ。

キミのことずっとずっと…大好きだよ。


〜おわり〜

・台本（ゆるボイ！）
[猫・切ない]気まぐれなあの子
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
初実とうか