《彼氏が風呂から戻ってくる》
ふう…さっぱりした。
お待たせ。退屈してなかった？…なら良かった。
隣、座っていい？
うん。ありがと。

ん、なに？そんなじっと見て…
ああ、眼鏡？そっか。
僕ね、目悪くて普段コンタクトなんだよね。
言ってなかったもんね。びっくりした？
あ、それとも眼鏡好きなの？
…あー、確かに。オフ感出るかもね。
新鮮？そっかそっか。
ていうか、お風呂上がりだから髪ぺったんこだし、
部屋着のスウェットだし、今完全にオフ感しかないよね(笑)
なんか恥ずかしいな…

でもさ、君だって。
すっぴん初めて見たけど、すごく可愛い。
肌も綺麗だよね。
メイクしてるのももちろん好きだけど、すっぴんもすっごい好きだなあ。
…ふふっ。照れてる照れてる(笑)
はいはい、分かった。分かったから。
もう言わないよ。

…あ。
ねえ、あのさ。
あの…もしかしてなんだけど、
今着てるそれさ、前と後ろ逆じゃない…？
あ、やっぱりそうだよね？
あはは。慌てて可愛いなあ。
僕反対向いてるから、直しなよ。
…もう大丈夫？そっち向くよ？

君がそんなドジするの、珍しいね。
でもなんか、ギャップ萌えって感じする。
結構好きだよ、そういうの(笑)
あはは。また恥ずかしくなっちゃった？
ほーら、顔隠さないで。
こっち向いて？

ねえ、今日楽しかった？
…ほんとに？そっか、良かった。
うち来てくれるの初めてだしさ、僕もなんか…変に緊張しちゃって。
だから大丈夫かなーってちょっと不安だったんだけど、
楽しんでくれてたなら、良かったよ。

…あ、欠伸。
あはは。ううん、大丈夫だよ。
もしかして眠い？いつも何時に寝てるの？
…えっ、じゃあいつもならもう寝てる時間じゃん。
そっか…ごめんね。
僕がお風呂入る前にベッド案内して、先寝ててもらえば良かった。
それならじゃあ、もう寝ようか。
…僕？
んーまあ確かに…いつもより早く寝ることにはなるけど…
でもさ、明日朝ご飯作ってくれるんでしょ？
すっごい楽しみなんだよね。
だからもう寝て早く朝になってくれるんなら、それもいいかなって(笑)
それに君が寝てるのに1人で起きてても、つまんないしね。
大丈夫だよ、気遣わなくて。
ほら、ベッドこっちだから。おいで。

この部屋ね。入って。
セミダブルだからそこまで狭苦しくならないとは思うけど、
でもやっぱり広々とは寝れないからさ、ごめんね。
あ、コンセントそこにあるから、携帯充電するなら使って。
あと、ここにお水置いとくね。
夜中に喉渇いて起きちゃったら、これ飲んでいいよ。
さて。もう準備いい？うん。じゃあ入って。
《SE：眼鏡を外して置く》
僕もお隣失礼しまーす。
…あはは。確かに、自分のベッドなのに失礼しますはおかしいか(笑)

ねえ、電気ってさ、いつもどうしてる？
真っ暗じゃないと駄目だとか、
豆電球付いてないと怖くて眠れないだとかさ、色々あるじゃん。
…あ、ほんと？僕も一緒。なら問題なさそうだね。良かったー。
じゃあ電気、消すね。

はあ…なんか、やっぱりドキドキするね。
眠れるかなあ、これ…(笑)

…ん？なに、どうした？
良かったのって…何が？
…あ、待って。察した。ごめんね。
女の子にそれ以上言わせるわけにはいかないから、もういいよ。

んー…そうだな、したくないって言ったらまあ、嘘になるけど…
だってさ。今すっごい緊張してるでしょ？
まあ、僕もなんだけどさ(笑)
一緒に寝るだけでこんなに緊張してるんだもん。
だからさ、もうちょっと慣れてから。

ほんとはね、本音を言うと…
大事なの。すごく。君のこと。
本当に大事にしたいから、
なんかこう…焦ったり勢いとかで、がっつきたくなくて。
君のことずっと好きで、念願叶ってやっと付き合えてさ。
そりゃあまあ、全部知りたいって思ったりもするけど、
でもこうやって隣で眠れるだけで、もう…ものすっごく幸せなんだよねえ。
だから今はこれで充分なの。ふふっ。
焦んなくていいんだよ。ゆっくりでも全然いいの。
ちょっとずつ、君と僕のペースで進んでこうよ。

あ、でもその代わり、予約だけはさせて。
君も僕も、隣で落ち着いて眠れるようになったら…ね？
ふふっ。うん。約束。

ねえ、腕枕してもいい？
君のことぎゅーってしながら寝たい。
…えー？大丈夫だよ。しんどくない。痺れたって気にしないよ。
ほーら。くっついて。おいで？

ぎゅー。
はあ…やっぱすっごいドキドキするなあ(笑)
ん？…ああ、心音？聴こえる？
速いでしょ(笑)
…安心するの？
あー確かに。心音ってなんか心地良いよねえ。
大丈夫？眠れそう？
…ん、良かった。

さて、じゃあそろそろほんとに寝よっか。
…んー？嫌なの？
でもすっごい眠たそうだよ？
…もったいない？
えーっと、もっとお話ししてたいってこと？
…ふふっ。なにそれ。やっぱ君ってすっごく可愛いね。
じゃあ分かった。お話ししよっか。
でも眠くなったら、気遣わずに寝ちゃって良いからね。

…ん？眼鏡？
んっとねえ…中学の時からかな…
年々ちょっとずつ目が悪くなってる気はしてたんだけど、
ある時から黒板の字が全然見えなくなって。
それで親に頼んで作ってもらったのが最初かな。

コンタクトは…高校生になって飲食店の調理バイト始めたんだけど、
お昼時とか忙しい時間帯はかなりバタバタ動くから邪魔臭いし、
あと暑いからさ、熱気で曇っちゃうのが鬱陶しくて。
それで買ったはいいんだけどさ、
最初の頃は慣れてないから、入れるのめっちゃ手間取って。
そもそも目の中に物を入れるってのがすごい怖くてさ。
30分以上格闘してたもんね。
1回学校遅刻しそうになって諦めて眼鏡で行ったんだけど、
その日の体育で落として踏んじゃって。
やっぱりコンタクトの方が楽だなーって思って、頑張って慣れて、
それからはもうずっとコンタクトだなあ。
家の中でしか眼鏡してないや。

君は？眼鏡とかしたこと…
…あれ、もしかして…寝た？
ふふっ。秒殺じゃん(笑)
今日ずっとなんかそわそわして
落ち着かなさそうだったから心配してたけど、
その緊張で余計に気疲れしちゃったかな。
眠そうだったもんなあ…

今日、来てくれてありがとね。すっごい嬉しかった。
…これからは、これが当たり前になってくのかな。
やば、…すっごい幸せ。

寝顔…可愛いなあ…ずっと見てられる。
ふふっ。子供みたい。よしよし…《頭を撫でる》
《欠伸》俺も眠くなってきちゃったな…
おやすみ、良い夢見てね。
大好き。

・台本（ゆるボイ！）
初めてのお泊まりで緊張する彼女と優しい彼氏の話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ちとせあられ