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【フリー台本】生真面目で堅物な執事に”耳かき”してもらう!?
written by 烏丸屋
  • 耳かき
  • ファンタジー
  • 執事
公開日2024年05月25日 19:51 更新日2024年05月25日 21:23
文字数
2140文字(約 7分8秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
執事
視聴者役柄
領主
場所
領主の部屋
あらすじ
■あらすじ
あなたは、とある領地の領主だ。
今日も、地方の諸侯との会議や膨大な政務をこなして、遅い時間に部屋に戻ってきた。
部屋で待っていたのは、昔からあなたに仕える腹心の執事だ。
仕事っぷりは優秀、細かな心遣いもできて忠誠心も申し分ない。
ただあなたにとっては、ちょっぴり生真面目すぎる、そんな執事。
あなたは疲れた心と体を癒すため、今日こそはと耳かきをおねだりしてみるが…?

■登場人物
・領主(聞く人)
若くして領主に就任した人物。
執事に支えられながら、日々政務にいそしんでいる。
お転婆で、隙あらば執事にわがままを言うが、素直な性格のため逆に執事にからかわれることが多い。
半分冗談のつもりで、耳かきしてもらうことをいつも執事に頼んでいるが、様々な理由をつけて断られている。

・執事(演者)
幼い頃から領主に仕えている人物。
自分よりも年若い領主に仕えることを嫌がっていた時期もあったが、とある事件をきっかけに領主のことを心から尊敬し、仕えるべきあるじだと認めるようになった。
領主が政務に集中できるように、屋敷の雑務や書類の検閲などを行っている。
”裏の顔”があるという噂もあるが、果たして。
領主のわがまま(耳かき)に付き合うことはほとんどないが、どういうわけか今回は承諾してくれた。
やったね!領主様!

■この台本について
・タイトルや台詞の改変、追加や削除、一人称の変更等は、ささいなものであれば演じやすいように変更してかまいません。
・演者は男性/女性どちらも可能なように作成しています。
本編
(ドアの開閉音)

おかえりなさいませ。本日も業務お疲れ様でした。
あなた様のお好きな茶葉の入荷がございましたので、お茶菓子と一緒にご用意しております。

(茶を入れる音、机に置く音)

さぁ、冷めぬうちにどうぞお召し上がりください。
…どうされました。
立ってないで同席しろ、ですか。
いえ、わたくしは立ったままでかまいません。

…いつも申し上げているでしょう。私はあなた様に仕える者であって、あなた様のご友人ではないのです。
あなた様とともに茶を楽しむなど、恐れ多い。
それに、ご用意したその茶菓子は、しぶめの茶葉に合うような甘いものを選んでおります。

(少し笑いを含みながら)

私は甘味を食べると体が縮んでしまうたちでして…、明日以降の業務に影響を出すわけにはいきませんので、謹んで(ゆっくり強調して)、今回は遠慮させていただきます。

(しばらく茶を飲む)

さて、明日も予定が詰まっておりますので、お早めにお休みください。
今日は暖かい陽が指しておりましたから、布団を干しておきました。
睡眠に良いというカモミールの香も軽く炊いておりますので、きっとリラックスしてお休みいただけるでしょう。

…何ですか、小さな声で。

(耳かきしてほしいなー、なんて)

耳かき…?

はぁ…あなた様はまた、そうやって聞き分けのないことを申される。
あれやこれやと、お断りする理由を常に考えなければならない私のことも、もう少しおもんばかっていただきたいものです。

(少し語気つよめに)

もちろん、私がこのように困っている様子を楽しむことも含めて、です。

私は生涯にわたる忠誠という重き荷をあなた様に誓った身なれば、耳かきなどという些事さじに割いている時間はございません。
あなた様に降りかかる露、まとわりつく羽虫のごとき有象無象を、あなた様の目に触れる前に排除するべく、日夜励んでおりますゆえ、いかに申されても私が耳かきをすることはございません。

…と、ふだんなら申し上げているところですが。
ここ最近は、あなた様の心労が多かったこともまた事実。
それはつまり、私の仕事の質が低下していることに他なりません。
であれば、その埋め合わせをする責任が、私にはあるでしょう。

…おかしな顔をしないでくださいますか。

(本当に耳かきしてくれるの?)

はい、あなた様のご希望に沿うと、そう申し上げているのです。
その証拠に、職人に作らせた最高の耳かき棒をご用意しております。
費用は何と、金貨10枚!

(金貨10枚!? 高い!!)

…冗談です。
いくらあなた様のためとはいえ、そんな大金を耳かき棒に使うことなどできません。
見た目こそきれいですが、市井で売られている廉価品ですよ。

(ベッドに腰掛けながら)

はい、準備ができましたので、こちらへどうぞ。
…なぜほうけた顔をなさる。
早く私の膝に頭を乗せていただけますか。
その方がやりやすいのです。

(なぜそんなことを知っているの?)

昔、あなた様の母君が耳かきをなさるとき、いつもこうしているところを見ておりましたから。
それを思い出しただけです。

(少し語気つよめに)

断じて、練習などをしていたわけではありませんから、誤解なきようお願いしますよ。

(ここから耳かきスタート)

(しばらく耳かきをしたあと、話しかける)

そういえば、今日の会議に出席されていた諸侯に、あなた様へおかしな視線を投げているものがおりました。
おそらく悪意の類ではありません。どちらかというと、親愛や尊敬に近いかと。
ですが、親愛とは狂気の裏返し。
何かあればあなた様に刃向ける可能性も否めません。
見たところまだ年若い。
なまくらな今であれば、消すこともたやすいかと存じますが、いかがいたしましょう。

(消さないで、消さないで!?)

…冗談ですよ、あなた様を支える諸侯のひとりです。
いかに私と言えども、おいそれと消すことなどできはしません。
今のところは、ですが。

つまらない話をしてしまいました。
こちらの耳はもうじゅうぶん汚れが取れたようですね。
では、反対の耳をやりますので、反対を向いていただけますか。

(180℃回転して、反対側の耳を向ける)

(またしばらく耳かきしたあと、話しかける)

そういえば、本日あなた様宛の手紙の中に、諸侯からの個人的な要件を記したものがございました。
よほど大事な要件だったのでしょう。
それとはわからぬよう、公的な封筒の中に忍ばせるという周到さでした。
しかし、私の目を欺けるはずもありません。
諸侯からの個人的な要件などどいう、取るに足らないものをあなた様の目に触れさせるわけにはまいりませんので、きっちりと処分させていただきました。

(処分って…捨てちゃったの?)

…ふふっ、冗談です。
あなた様宛の手紙を私の独断で処分することなどできませんよ。
本日受け取った書類は、すべてきちんと机に置いてありますから、明日ご確認なさいますよう。

(しばらくして、耳かきが終わり)

さて、こんなものでしょうか。
どうですか、私の耳かきなど大したものでもないでしょう。
これにりたら、もう耳かきのご所望などお止めくださいね。

(Zzz.......)

あるじ様…?
…おや、もうお眠りになっているようですね。
起こすわけにはいきませんから、私はすぐにお暇しましょう。

(耳に息を吹きかけて)

生涯にわたる忠誠という誇り高き栄誉をお与えいただいたこと、心から感謝しておりますよ、あるじ様。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【フリー台本】生真面目で堅物な執事に”耳かき”してもらう!?
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
烏丸屋
ライター情報
マーダーミステリーなどのゲームを制作している個人クリエイターの烏丸ユニと申します。

キャラクターの掛け合いや台詞の練習をするために、シチュエーションボイスのフリー台本の投稿を始めてみました。

もし動画等でご利用される場合は、教えていただけると見にいきます!!
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