ここは人を食べる巨大な鬼がいる世界。
その鬼は「人喰い鬼」と呼ばれ、恐れられていた。
ここに、美食家を名乗る人喰い鬼が一人。

…おい。
そこのお前。

隠れても俺の鼻は誤魔化せんぞ。

美味そうな香りをプンプン漂わせて。。
この俺が気づかないとでも思ったのか。


俺を誘ってるんだろ。

食べて欲しいんだろ？

来いよ。

まぁ。来なくても、こちらから行くがな。

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)


見つけた。
人間。

ほう。オスか。

いい肉質だ。
しかも、程よく塩味がついているな。

美味そうだ。。
じゅるり…

さて。。



味付けだな。



まずは、コショウをひとつまみ。

(サラサラ...)

ｽﾝｽﾝｯ

う〜ん！
いい香りだ…！

お前の肉によく合うはずだﾊｯ、ﾊｯｸｼｮﾝ！！


ん゛んん。
しまったしまった。
コショウはこれが問題だった。


ん？

あれ。

人間、どこいった。。？


まさか。

逃げやがったのか…！？


あのオスめ！
この美食家で名高い俺様の至高の料理の途中だと言うのに！！

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)

おっと、落ち着け。
俺の鼻は種族随一だ。

ｽﾝｽﾝｯ

ほう。あっちの方向だな。

そう遠くへは…

ん！？

ｽﾝｽﾝｯ

かなり遠いな…？

どういう事だ。

アイツは本当に人間なのか…？


まぁいい。

俺の美食道のため。
多少変な人間であっても、気にしてはいかんな。

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)


ｽﾝｽﾝｯ

ん？
あれから移動はしていないのか。
疲弊しているのか。

隠れても無駄だと言っているのにな。

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)

見つけた。

ん？
気絶しているな。


おぉそうか。
先のくしゃみで吹き飛んだのか。
ハッハッハ。
これは失敗失敗。


では改めて、コショウを。。

あれ。。？

あぁ！しまった！
先程の場所に置いてきてしまったっ！

ぐぬぬ…。
俺の美食道のため、とりに行かねば！

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)


おぉ！あったあった！
コショウ！


さて。あの人間は。

ｽﾝｽﾝｯ

ん？

ｽﾝｽﾝｯ

んん！？

匂わんぞ！？

どうなってる！

いや。元来た道を戻るだけだ。
焦るな。

(ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ ﾄﾞｼﾝｯ)


この辺りだと思うが…

ｽﾝｽﾝｯ

くそっ！

匂わん…！

どうしてだっ！！


ﾊｯ！

まさか。

肉の質が落ちたのか…！？


思い返してみれば、
くしゃみで飛んだあとから、少しずつ肉質が劣化していったような…。

くっ…！
あんなにいい肉だったのに、無駄にしてしまうなんて…。

俺の美食道に傷がついてしまった。。

俺には、もう、美食家を名乗る資格なんてないんだ。。


…やめよう。
人間を食べるのなんて。

これからは、その辺の草だけ食べて生きていこう…。
それが美食家の名を汚してしまった俺への罰だ。。

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｜ 人喰い鬼 は 草食系 に 進化した！ ｜
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・台本（ゆるボイ！）
味にうるさい人喰い鬼
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora