彼女が、入院していた病院からいなくなったと連絡を受けた彼氏。急いで捜しに行こうとしますが、彼女は2人のアパートに帰ってきました。
彼女が無事でほっとした彼氏は、彼女に理由をたずねますが…

《 アレンジ自由のフリー台本です》

あれ？着信がこんなに…
あいつのお母さんからだ

―――着信音―――

わぁ!!

―――ピッ―――

はい！すみません、着信気づかなくて。あ、今 仕事から戻ったんでこれから病院に…

え!?いなくなった!?

いえ、家には戻ってません。

はい、…はい、俺も心当たりを捜してみます。

はい、失礼します

おいおい、居なくなったって何だよ…。
どっかで倒れたりしてないよな…
ああ、とりあえず、行きそうな所…

―――インターホンの音―――

《息を飲む》

―――ドアを開ける音―――

あー、良かった、無事だった！
お前、何やってんだよ！
今、お前のお母さんから電話もらって 捜しに出るとこだったんだぞ。
とりあえず入って。お母さんに連絡しなきゃ。

嫌じゃない、連絡するに決まってるだろ。みんな心配してるんだから。

――――――

はい。紅茶。
それ飲んで落ち着いたら病院に帰ろうな。

だから、嫌、じゃないの。

そもそも なんで勝手に抜け出してきたんだ？

黙ってたら わかんないよ。

え？お母さん？そりゃ怒ってたよ。
落ち着いたら俺がちゃんと 病院に送るからって言っておいた。

俺？俺は…怒ってない。お前が無事だったから それでいい。
で？どうして 病院ぬけだしたの？

は？お粥…、食べたくないから？
いや、お粥嫌いなのは知ってるけど…それが理由？
そんな訳ないだろ？
ねえ、ちょっとこっち見て。ちゃんと俺の目、見て。
ほんとに お粥が嫌で抜け出してきたの？

はい、嘘でした。

嘘じゃないもん！じゃないの！
お前は嘘をつく時、目 そらすからすぐわかるんだよ。
本当は？どうしたの？
話したくない？

また 唇噛んで。
ほら、おいで。ぎゅーってしよ。

―――抱きしめる―――

ねえ。なんで抜け出してきたか、当ててもいい？
…この先も 治療を続けていくこと、不安で仕方なかったんだよな。

なんでわかったの？って？（笑）
うーん…あのさ、入院したばっかりの頃、手術の前までは 結構ワガママ言ってたじゃん。検査が嫌だとか面会時間が終わっても 「帰らないで！」って泣いたり、「一緒に帰る」って駄々こねたりさ…。
それが、術後はめっきり大人しくなって、検査もグズグズ言わずに受けるし、帰りも「また来てね！」って笑顔でバイバイするようになった。まあ、重湯とかお粥を嫌がって 看護師さん困らせてたけど笑
だから、これは まずいな…って思ってたんだ。
お前は 大したことない時は 大騒ぎする癖に、本当に辛い時は何も言わないで我慢するから…。

あのさ、俺、お前がそんなに強くないって知ってるよ。だから、俺には弱音 吐いていいんだよ。怖いよって言っていいんだよ。

―――泣き出す彼女を抱きしめ直して―――

ほら、やっぱり我慢してた。
…ごめんな。もっと早く、こうやって泣かせてやれば良かった。
いっぱい泣いていいよ。不安に思ってること、全部吐き出しちゃおう、な？

――――――

どう？少しはすっきりした？

あのさ、どうして私はこんなに弱いんだろう？って言ってたけど、みんなそんなもんだよ。
俺だって弱い。さっきだって、お前がいなくなったって聞いて ほんとに怖かった。お前を失うかも…って考えたら体が震えたよ。
「人間なんて弱い生き物なんだ。だから支え合うんだ。」って誰かが言ってた。
お前には俺がいるだろ？
怖い時はこうやって抱きしめるし、辛かったら八つ当たりしてもいい。しっかり受け止めて、支えていく。

だからさ、一緒に病院に戻ろう？
治療は、どうしたってお前が頑張らなきゃいけない事だから、頑張らなくていいよって言ってあげられないけど、いつもいつも頑張りつづけることなんて無いから。
俺はお前がいつ 泣きついてきてもいいように、こうやって腕を広げて待ってるからな（笑）思いっきり飛び込んできていいぞ！何度でも抱きしめるから。

（笑）いい顔になった。
よーし、じゃあ 行きますか。
あーあ、結構遅くなったから 俺、怒られそうだなあ。
何笑ってんだよ。お前も一緒に怒られるんだからな（笑）

・台本（ゆるボイ！）
どんな思いも受けとめるから
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
美俐