彼の仕事が忙しく、なかなか会えない2人
彼は彼女の聞き分けのよさがちょっと不満
我儘言われたら困るけど、もっと甘えてくれていいのに…そんな思いの中で、とうとう彼女を傷つけることを言ってしまいます
その一言を反省し、後悔した彼は…

久々にゆっくり2人の時間を過ごせたのに、別れ際、小さなことで喧嘩をした。

「一生懸命頑張ってるのが わかってるのに 寂しいなんて 言えないよ」

そう言って 唇を キュッと結んで後ろを向いた背中が震えていたのに、どうして抱きしめてやらなかったんだろう。どうして あのまま出てきちゃったんだろう。

どう考えても俺が悪い…

たまには我儘言って欲しかった
いつもいつも 我慢して欲しくなかった

ほんとに 我儘言われたら困るくせに、そんな勝手なこと思ってた

同僚の「残業続くと彼女がうるさくて（笑）」なんて言葉がどこか羨ましくて…

会いたいって言わないことも、次会える日を聞かないことも、全部全部 あいつの気遣いだってわかってたのに…

「別に平気だよ。私だって忙しいんだから」
って目を合わせずに言った、あの言葉が精一杯の強がりだってことも気づいていたのに…

「素直じゃない、
可愛げないんだよ…」

酷いこと言った…
あの時の表情かお…
初めて見た
あんな表情かおさせちゃいけなかった
すぐに後悔したのに 謝れなかった…

やっぱり 戻ろう！

―――走る足音―――

―――インターホンの音―――

あの、俺…あの…忘れ物して…開けてくれるかな

―――ドアの開く音―――

《 ガバッと抱きしめて》

ごめん！ほんとにごめん!!
酷いこと…心にもないこと言って！

《抱きしめる腕をゆるめて顔を覗きこむ》

ずっと 泣いてたんだよな…
目が腫れてる…
俺のせいで…ごめん
俺のために我慢してくれてたのに

違うの？

そんなことで、我儘だなんて思わないよ！
っていうか、たまには我儘言って欲しかった。
いつだって 1人で泣いてたんだろ？
それなら会いたい、寂しいって言って ぶつけて欲しかった。
ごめん、それこそ俺の我儘だよな
わかってたのに、…酷い言葉で傷つけた…
ごめん

もう…いい？
それって…あの…

よかった…
もしかしたら 許してもらえないかと思ってた…
もう 絶対こんな風に理不尽に傷つけたりしない、約束する。
でもさ、お前もあんまり 我慢しないで欲しいんだ。
仕事のスケジュールは どうにもならないし、我儘を叶えてやれないことも多いかもしれない。それでも、こっそり1人で泣かれるのは 嫌なんだ。

ね？

よし、約束。

もう1回、ギュッてしていい？

《強めに抱きしめる》

ん？忘れ物？
《少し笑って》
こうやって お前を抱きしめるのを忘れたんだ（笑）

・台本（ゆるボイ！）
帰り道の後悔
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
美俐