最近同棲を始めたばかりの2人。
季節の変わり目のある夜、彼女は喘息のため 咳がとまりません。
一緒に住んでしまったから迷惑をかけた、と思う彼女、一緒に住んだから助けてあげられる、と思う彼氏。
2人の夜のおはなしです

―――深夜―――

《彼氏、彼女の咳で目を覚ます》
大丈夫？苦しい？

謝らなくていいよ。
それより、そんな我慢して咳してたら苦しいだろ。普通にして大丈夫だから。気ィ、遣いすぎだよ…

ほら、ちょっと起きよう。座ってる方が楽だろ？

―――彼女 咳き込む―――
あぁ、また…
《背中を軽くトントンしたりさすりながら》
あー、辛いな…。
この時間、悪いんだよな…

薬、忘れずに飲んだ？

じゃあ、吸入しよ。

なーんで。その為に ここに置いてあるんだろ？

あのなー、この前よりまだマシだから…とかじゃないの！「そういう考え方は 危険だよ」って 病院でも言われただろ。症状が酷い時はちゃんと使うようにって。

―――彼女 咳き込む―――

《背中トントン、さすりながら》
あぁ、ほらまた…

もう…こんなに苦しいんだから 渋ってないで吸入しよう…いつも 普通にやってるだろ。

え？あ、いい いい。
今 しゃべろうとしなくていいから。

―――少しの間―――

落ち着いた？
じゃあ はい、これ。

「美味しくないんだよなー」じゃないよ。薬に美味しいも不味いもないの！子どもの風邪薬じゃないんだから（笑）


よし！これで楽になるといいな。
そしたら、首周り冷やさないように、とりあえず このストール巻いておこう。
飲み物 とってくるよ。

何言ってんだ、いいから座ってて。

え？ああ、うがい用の水と洗面器も持ってくるからここですればいいよ。そんな状態で動き回らなくてよし！

―――間―――
―――ドアの音―――

お待たせ…
わ、またそんなに咳き込んで…

《急いで背中さする》
季節の変わり目って やっかいなんだよな…
早く薬効けばいいのに…

大丈夫？
はい、水。
洗面器、ここに置くよ。

リビングからクッション取ってくるから うがいしといて。
《部屋からでる》

―――ドアの音―――

できた？
じゃ、水分摂ろう。紅茶、もう熱くないと思うけど ゆっくりな…

ああ、ハチミツ入れたからだよ。ストレートが好きなのは知ってるけど、体のため。嫌だった？

そ。良かった。

―――カップを見つめる彼女―――

どうした？もういらない？

何謝ってんの？

なーんだ。別に迷惑だなんて思ってないよ。

そんな事考えてたのか…。
でも、俺は逆！同棲して良かったって思ってるよ！迷惑掛けちゃいそうだからって渋ってたのを、ちょっと強引に決めちゃったけどさ。
一人暮らしの時は こんなふうに苦しい時もひとりで絶えてたんだろ？
《少しだけ責めるように 》
「調子悪い時は遠慮しないで呼べよ」って言ってるのに全然 言うこときかなかったもんな！

（笑）でも今は こうやって支えてやれる、助けてやれる、薬もちゃんと管理できる！
で、明日の朝 一番で病院に連れていくこともできる！

まーた、そんな顔して。
苦しい思いしたんだろ？もうすぐ薬もなくなるし、早めに診てもらおう、な？

なんで そんなに病院 嫌いかな〜
ま、いいよ。あんまり嫌がるなら抱っこしてつれていくから！

（笑）はずかしいなら 嫌がらずに行こうな。

よし！

《彼女の様子をみて》
咳、少し治まってきたな。
どう？横になれそう？

まだ ちょっと辛そうだな。
俺も隣に座るから 寄りかかってて。眠れるならそのまま寝ていいし。

大変じゃないよ。こうやって ぎゅーってすると、この温もりが すごく心地いい。よく眠れそうだよ。


いつでも寄りかかれよ。体だけじゃなく心も。辛い時 支え合うために一緒にいるんだから。頼っていい誰かがそばにいるって幸せだ！って思えばいいんだよ。わかった？

よし（笑）
そろそろ、眠れそう？何かあったら 遠慮なく起こしていいからな。

おやすみ。

・台本（ゆるボイ！）
頼れる誰かがそばにいる幸せ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
美俐