お腹が張りやすいのに 少し頑張り過ぎて、切迫流産で入院することになり落ち込んでいる奥さん。慌てず優しく寄りそう旦那さんのお話です

※ 時期がズレてしまいましたが、「ふたりで一緒に」の続編です

―――ドアの音―――

ただいまー。
体調どう？変わりない？

よかった。赤ちゃんも元気かなー？（笑）
《やや声色が変わる》
ん？ねぇ、このお米、なに？

片付けてないから じゃなくて！
お米みたいな重いものは1人で買いに行かない約束だよね？

こーら。下向かないで こっち見て。

うーん。いくら、お腹の張りが無かったとはいえ、 車からここまで運ぶの大変だっただろ？

大丈夫じゃないよ。
お腹が張りやすいから 無理しないようにって病院で言われただろ？
運転もなるべく控えるようにって言ってあったのに…。

うん。ほんとに気をつけてよ。
明日の検診は ちゃんとタクシーで行くこと！いい？

よし！いい子。
さ、ご飯にしようか。

いいって！俺がやるから。つくってくれただけでじゅうぶんだよ。座ってて。


―――間・翌日 職場―――

あれ？あいつからLINEだ。
検診、終わったのかな…えーと…
「切迫流産で 入院することになっちゃいました。迷惑かけてごめんなさい」!?
切迫流産、入院って……とりあえず絶対安静ってことだよな。あいつ、今ごろ1人で心細いだろうな…

―――病院・足音・ノック音―――

《小声》
失礼します。
《彼女のベッドに近寄りカーテンを開ける》
あ、起きてた（笑） 遅くなってごめんな、これでも早退してきたんだけど。あと頼まれた荷物…

って、なんだよ、いきなり泣き出して（笑）

何にも謝ることないよ、お前もお腹の赤ちゃんも無事だったんだから。な？

で、先生は何だって？

うん…うん…そうなんだ。え…食事とトイレ以外は起き上がっちゃダメなの？

本で読んでたけど、絶対安静ってほんとに大変なんだな。もしかして…この点滴、24時間刺しっぱなしのやつ？

うわぁ…ただでさえ、病院も注射も大嫌いなのに…。
ま、ちょっと頑張りすぎちゃったから、ゆっくりして、ってこの子が言ってるんだな（笑）

―――少しの間―――

また ずっと下向いてる…。
《小さく笑う》
ねえ、どうして あんなに頑張ってたんだ？ついこの間まで ちゃんと 大人しくしてたのに。

ほら、手 かして。
《彼女の手を自分の手で優しくパチンとして包む》
何か隠してること、あるよね？

（笑）わかってたよ。
何かあったの？

うん…うん… 《適当に相槌を入れてください》

そっか。
世の中、家事に積極的じゃない旦那さんもいるし、忙しくて奥さんの体を気遣いきれない人もいるだろうからね…。

で、「いい旦那さんね」って言われるたびに、自分がみんなから「甘えすぎ」って言われてるような気がしちゃったんだ。頼ってばっかりじゃダメだと…。

《ため息》
たぶん、みんなそんな事思ってないよ。純粋に「気遣ってもらえて良かったね」って気持ちだったと思うよ。

うん。わかってるんだよな。
だから、そんな風に考えちゃう自分のことも 嫌になって ちょっと無理をした…、どう？

当たっただろ？（笑）お前が そういう性格だって わかってるつもりだからな！（笑）

…今はさ、ホルモンのバランスが崩れたりして、気持ちも上手く整理できなかったりするから しょうがないことなんだよ。
ま、それもわかってるんだろうけど、どうにもならない時ってあるよな。
とりあえず、余計なこと考えずに ちゃんと安静にしよ、な？

俺さ、子どもがうまれるのほんとに楽しみなんだ。お腹の中で大事に大事に育ててくれてるお前に すごく感謝してる。だから過保護になりすぎたし、そんな気持ちが 少し重たかったのかもな…、ごめん。

そうか？
じゃあ…これからも過保護でいていい？

（笑）前にも言ったけど、俺はお腹にいる内から一緒に子育てがしたい。お前を大切にすること＝お腹の子を大切に育てることだと思ってる。
《頭をなでる》
こうやって、頭なでて甘やかすことも、ね（笑）
ママだからって 甘えちゃいけないわけじゃないんだよ。そんなこと言われたら、俺が寂しいし、ね？

退院まで 毎日会いに来る。
少しの間、我慢が続くけど ふたりで頑張ろうな。
《声をひそめて》
今は ギューッてできないから、キスだけしていい？

軽くだから！
昼間、寂しくて泣かないおまじない。ね？

ありがと

―――キス―――

―――少し笑い合って もう一度キス―――


――END――

・台本（ゆるボイ！）
いつでも、ふたりで一緒に
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
美俐