自己肯定感激低のダウナー雪女さんにいつのまにか気に入られていた

人間

人間、起きなさい

……あぁ、やっと起きましたか

さぁ、これを口に

あなたはもう３日も寝たきりだったんですよ

……冷たい、ですか

……それは、我慢してもらわないと

私があなたにお出しできるのは、冷たい物ばかりですから

……そうです、私は雪女

人間が立ち寄れないような寒い場所にしか生きる場所はありません

さぁ、ここにあなたが食べられるものは、ないでしょう

はやく立ち去りなさい

……恩返し？

そんなものは必要ありません

できれば、早く消えていただけますか

……はぁ、まだ体が痛む、と

ではいいのですか……？

あなたにとっては、寒いばかりです

お布団があるからいいものの、過ごしにくいですよ……？

はぁ、そうですか……

まぁ、私としてはお食事が一人分増えただけでも問題はありませんが……

いいえ、別に構いません

では、好きなだけ、いてください

//場面転換

あら……今日もお散歩にいっていたのですか

まぁ、いいですが……次も助けられるとは思わないでくださいね……

えぇ、ここ一帯は、普通の人間は立ち寄れません

わかりやすく言うと、人を寄せ付けない防虫剤みたいなもの、でしょうか

あぁ……わかりますよ、人間の住む世界で暮らしていたことはありますから

けれど、やはりいつかは正体が暴かれてしまうものです……ここまで追っては来ないのですから、結局は私のことなどどうでも良いのでしょうが

……あなたは必要、ですか……

そうですね……

さ、お夕飯が出来上がりましたよ

……どう、しましたか

……少し頑張れば、温かいものも作れなくはないので……

ここでは冷めてしまいますから、お早く召し上がってください

……美味しい、ですか

まぁ、こんなに早く食べてしまわれて

いいです、けれど……

あぁ、そうそう

そういえば、お耳、痒そうにしていましたよね

えぇ、ですから、私がして差し上げようかなと

遠慮、しますか

まぁまぁ……少し、お話ししたいこともあるんです

ですから、その間の余興として……よろしいですか……？

ありがとう、ございます

では、どうぞお膝に頭をのせてください

その方がやりやすいですから

さぁ、どうぞ

//頭のせ

ん……

では、まずは右からいたしますね

//右耳掻き開始

……いかがですか

そう、ですか

……あぁ、お話でしたね

あなたは、怪我が治ったらどうするおつもりですか……？

お家に帰られてしまいますか？

そうですか……

いえ、それに関してはよいのです

あなたも、住みやすい場所にいたいのは当然ですものね

……あぁ、そうそう

お夕飯はいかがでした？

久しぶりに温かいものを作りましたが……

そうですか

本当ですよね？　嘘だとか、気を遣ったりだとか、していませんか？

よかった……

では、お聞きしたいのですが

伴侶もおりませんよね……？

あぁ、それはよかった、本当に

では、最後……

私と、夫婦の契りを交わしてください

……おかしい、ですか？

初めて、こんな気持ちを抱きました

ここで一人、この身が朽ち果てるまで、永遠に過ごすかと思っていました

けれど、そんな思いは、簡単に溶かされてしまった……

今では、熱くて仕方がないくらい、なのですよ……？

ですから、どうか、私をあなたのもとへ連れていってはくださいませんか……？

…………そう、ですか

//右耳掻き終了

……あぁ、では、今度は左耳を上に

いえ、まだお話は終わっておりませんよ

さぁ、続きをいたしますから、左を

//左耳を上に

では、左もいたしますね

//左耳かき開始

そうですね……困ってしまいます

一緒にいてくださらないのでしたら……どうしましょうか

諦めてほしい？

……あぁ、そういえば、お慕いしている理由をお聞かせしておりませんでしたね

最初は、別にどうということはありませんでしたよ

けれど……あなたがいけないのです

怪我の回復に専念していれば良いものを……私に構うから……

あなたが私の心に触れるから、溶けてしまったではありませんか……

ですから、困るのです

こんなに心が揺さぶられては、雪女として生きていけない……

あぁ、気づいてしまいました？

もう、手足が凍ってしまっていることに

んふふ、でも、寒くないでしょう？

それが私の今の氷……私の気持ちです

でも、あんまり無茶をすると、壊れてしまいますからご注意ください

例えば立ち上がったり、歩いたりするのはもう不可能……

ずっと、寝ているままでいてください

んふ、んふふふふ……

これが私の答え、です

はぁ、一緒にいただけ、ですか

一緒にいたから、ですよ

あなたの体温が、知らぬ間に、近くの私を溶かしてしまった……

罪深い人……自分で溶かしておきながら知らないなどと……

きっと、他の女に対してもそうなのでしょうね

であればなおさら、ここにいてもらわなければ……

ここには、もう誰も寄せ付けませんから、安心、です

ふふ、ふふふふ……

それにちょうど、女としてしたいことができてしまいましたし……

雪女の子孫を残さなければ……ふふ、諦めていた願いが叶えられます

あなたには協力していただきますよ

私の旦那様として……私と毎日毎晩、契って契って契って……

んふふ……

抵抗したら危ないですからね……将来、子どもと元気に遊んでいただかなくてはいけないのですから……

よろしくお願いしますね……旦那様……♡

・台本（ゆるボイ！）
ダウナーな雪女のお姉さんと一緒にいただけで激重ヤンデレ化して……
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
空上新奇