とある休日、幼馴染の彼と買い物に行く約束をしていた貴女だが、家で準備に手間取り、時間に遅れてしまった。先に待ち合わせ場所に着いていた彼は、遅れた貴女を特に叱るわけでもなく、むしろそれを当たり前のように受け入れていて…？

あ〜…暇。アイツ、何やってんだろーなー…まだ寝てんのかな…モーニングコールでもしてやろっかな…


(彼女がやって来る)


おー、やっと来たか〜…んじゃ、行くか。朝早くから、チョーかったり〜…


(あくび)


…あ？別に？お前が遅刻するなんて、いつものことじゃん。まぁ、今日はいつもの倍遅かったけど。


はいはい、化粧化粧。女の子は大変ですね〜…でも、わざわざ俺と出かけるためだけに、化粧してくれたんだ。サンキュー。


え？あぁ、寝癖？いや、髪はちゃんと整えてきたつもりだけど…


あ〜、そう…じゃあ軽く櫛でといてくれ。持ってきてんだろ？頼むわ。


……マシになった？そっか、ありがとな。じゃあ、今度こそ行くか、デート。


え？デートじゃない？男女が二人きりで出かけたら、それはもう、立派なデートじゃねえの？


ふ〜ん…そうなんだ。まぁたしかに俺ら、付き合ってはいないけどさ…ただの腐れ縁だし。ついでに、お前の買い物に付き合わされるだけだし。


荷物持ち、ねぇ…俺の友達、紹介してやろうか？多分、普通に俺より頼りになるぞ？筋肉あるし、めっちゃ朗らかでいい奴だし…


おい、俺なら使い倒していいのかよ。ちっとは遠慮しろよ。こちとら、今どきの軟弱な若者なんだぞ。


さいで…お前と付き合う男は将来苦労しそうだよな。ハァ…


…いないって。俺が彼女いる男のツラに見える？


ひでー女…バッサリ切り捨てやがって。まぁ、いいけど。彼女いたら、お前の荷物持ちにすら、付き合えねーだろーし。


いや、お前は俺のこと、何だと思ってんの？そこまで酷い男じゃねーよ。腐れ縁くらい、大切にするわ。


おぅ…一応大事に思ってるよ、お前のことは…こんな俺とも長く付き合ってくれるし…だから、ありがと。


……おい、なんか言えよ。俺だけ恥ずかしい思いしちまったじゃねーか…


あ、おぅ…どういたしまして…じゃあ、はい。手。


いや、だから手。繋ぐんだろ？さっきから、片手が手持ち無沙汰になってるし…


それに、彼氏できた時に手を繋げないなんて、恥ずかしいだろ？だから今のうちに、練習台になってやるよ。あくまで練習台だからな…


(おそるおそる手を繋ぐ)


…ッ、まぁ、その、なんだ…俺にとっても練習になるからな…彼女できた時のための…


るせー…いきなり全否定から入んなよ。傷つくだろうが…


…さぁ？知らね。ずっと腐れ縁でいられるかどうかは、今後の俺ら次第だろ。


少なくとも、今んとこはお前のこと、全然嫌いになったりしてねーし、ずっと腐れ縁でいるつもりだし…


ん…好きに使えよ、俺のこと。できる範囲のことくらいならしてやらぁ。

・台本（ゆるボイ！）
【デート前】ダウナーツンデレな幼馴染の彼はあたし専用の荷物持ち
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎