《自宅で通話》
あーもしもし？
いやついさっき家帰ってきたんだけど、もう今日の仕事超しんどくて。
お前の声でも聴かなきゃやってらんねー！って感じで(笑)
今さあ、大丈夫？

あれ、もしかして寝てた？なんか声が…
…え？大丈夫か！？…いやめっちゃ咳してんじゃん！
どうした？風邪でも引いた？

…は！？熱出た！？いつから？…今朝？
お前…なんで連絡して来ねえんだよ…！
薬は？飲んだ？…ない？切らしてんの？
じゃあ一錠も飲んでねえんだな？

…わかった、今から薬買ってお前んち行くから、
大人しく寝て待ってろ。
いや良くねえわ。辛いんだろ？行くって。
…あーもう、うるせえな。
あのな、俺が帰ってきたばっかりとか仕事で疲れてるとか、
そんなんどうでもいいの。
てかどう考えてもお前の方が辛いんだから。
つーか、お前週末の約束覚えてる？遊園地行くんだろ？
週末までに完璧に治さねえと、行くのなしだからな。

…分かればよし。
じゃあ薬と…他にもどうせ色々足りてねえんだろ。
ついでに必要そうなもん買ってくから、ちょっと時間かかるけど…
なるべく急いで行く。
だからお前は大人しくしてろよ？
ん。じゃあ後でな。

《彼女の家に到着》
ごめん、思ったより時間食ったわ…
大丈夫か？
…うーわ、めっちゃ辛そうな顔してんなあ。

《ビニール袋を漁るSE》とりあえずえーっと…ほら、これ薬な。
でも飲む前に何か腹に入れた方がいいと思うんだけど、食えそう？
一応うどんと、レトルトのおかゆと、
あとゼリーとフルーツの缶詰も何個か買ってきた。
…ゼリーならいける？よし、じゃあ体起こすよ。
ほら、手ここ置いて。よいしょっと…
みかんと桃あるけどどっちがいい？
…みかんね。開けてやっから。…はい、どうぞ。
自分で食える？…よし。はい、じゃあスプーンも持って。

味、分かるか？…よく分かんねえか。
でもその割には嬉しそうだな…
…ああそっか、冷たくて気持ちいいのか。なら良かった。
んじゃ、俺買ってきたもん冷蔵庫入れて、
ついでに水取ってくるわ。
無理して全部食わなくていいからな。

《しばらくして》なー。冷蔵庫ほんと何も無かったじゃん。来てよかったわ。
お、結構食えてんじゃん。全部食べられそう？
ん。偉いな。

そういやお前、熱どんくらいあんの？計った？
…あー、結構あるな…そりゃしんどいだろ。
ほら、冷えピタも買ってきたから、食べ終わったら貼ろうな。

あ、そういや俺今日泊まるから。
…はあ？いや当たり前だろ。
付きっきりで看病すんの。
…あのなあ。大事な彼女がこんな苦しんでるってのに、
家で呑気にすやすや寝てられるかっつーの。
…うっさいなあ。だから俺が疲れてるとか関係ないの！
心配でゆっくり休むとか絶対無理だから。

仕事？ああ、今日頑張ったから明日は在宅で大丈夫そうだし…
あーでも、一応仕事はしなきゃだから、
午後には一回帰るけど、終わったら戻ってくるし。
とにかく、俺のことはいいから大人しく看病されてろ。
俺が心配なの。な？

ていうか、まず起きて体調悪いって時点で真っ先に連絡して来い。
薬がないなら尚更。
仕事なんかどうとだってなるし、
最悪昼休みに抜けて薬だけでも届けるとか、
仕事終わったらここに直行するとか、いくらでも手段はあんの。
つーかお前、俺がたまたま電話しなかったらどうするつもりだったん？
まさか寝て自力で治すつもりじゃなかっただろうな？
…あーあ、そのまさかっぽいな。その顔は。アホか。

あのな。俺、お前の彼氏なんだから。
心配くらいさせろ。バカ。
そんで、辛い時は頼れよ。お前の為ならなんだってするんだから俺は。
わかった？
…ん。約束。
次こういうことがあったら、絶対真っ先に俺に頼れよ。

…食べ終わったな。
じゃあえーっと、薬は…1回2錠か。
あとこれ、水な。溢すなよ。
…うん、飲めたな。偉い。
じゃあ次、冷えピタ貼るから、前髪上げてこっち向いて。
…よし、と。
気持ちいい？そりゃ良かった。

んじゃ、もっかい寝て。
あー隣空けて。俺そっち行くから。
ん？いや添い寝。
お前がちゃんとぐっすり眠れるように、寝かしつけてやるよ。
辛い時ってさ、誰かに甘えたくなるだろ。
そんな時にうってつけの彼氏がここにいんだから、遠慮すんなって。

どうする？ぎゅーでもしてやろうか？
…ん、おっけー。おいで。
…身体あっつ…これ相当しんどいじゃん…
うん。でも絶対良くなるから。安心しろ。

あーなんか…これ俺も寝そうだな…(笑)
もし俺が寝ててもさ、お前がしんどくて起きたら、起こせばいいから。
…まーた遠慮する。同じこと何度も言わせる気か？
…ん。そう。今のお前は黙って俺に看病されてれば、それでいいの。
早く元気になれよ。おやすみ。

・台本（ゆるボイ！）
体調を崩した彼女の家に行き看病する彼氏の話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ちとせあられ