《寝ている彼女をおんぶして歩く彼氏》
《彼女が目を覚ます》
…ん、ああ、起きた？
おはよ。
…あはは。寝惚けてんな。
お前さ、会社の飲み会で酔っ払って寝ちゃったの。
そんで迎えに来た俺がおんぶしてやってるわけ。

あー、いいよ別に。降りなくて。
つか動くと危ないから、大人しくしてろ。
…あー？
いや、重くないって。
お前ひとりくらい余裕だっつの。舐めんな。

うっさいなあ。
いいじゃん、たまにはこういうのも。
俺、この状況結構楽しんでっからさ。
このままおぶられとけ。な。

体調は大丈夫か？結構飲んだらしいじゃん。
気持ち悪いとかない？
…そう。それなら良いけど。

お迎え？
っはは(笑)やっぱり覚えてねーかあ。
お前、自分で俺に電話掛けたんだよ。

なんかさー、ちょうど仕事終わって帰ろうとしてた時に
お前から電話掛かってきて。
出たらわんわん泣いててさあ。
で、何事かと思って大慌てで店行ったらさ、
潰れて寝てやがんの。

めっちゃ懐いてた先輩の送別会だったんだって？
よく話してたの、あの人のことっしょ？
最初からハイペースで飲んで、
その先輩に寂しいーって絡みまくった挙句に大号泣し始めて、
そんで終いには爆睡だってさ。
会社の人たちに聞いた。
…あはは！(笑)そりゃ恥ずかしいよなあ。
結構な醜態だぜ？
週明け、ちゃんと謝っときな。

でも会社の人たち、誰も怒ってなかったよ。
安心しな。
あとその先輩、お前のこと褒めてた。
入社当時からずっと頑張ってて、今やなんでも出来るようになったし、
自分がいなくなっても、お前がいるなら安心だってさ。
うん、まじで。
めっちゃいい人だったなー。
そりゃお前が尊敬して懐くのも納得。
…そんな人がいなくなるんだから、お前が飲んで泣いちゃうのも納得だよ。

そうだなあ、寂しいよなあ。
しかもそれだけじゃなくて、1人抜けた分忙しくなっちゃうしな。
大変だ。
でもさ、大好きな先輩に“お前は大丈夫”って言ってもらったんだ。
そりゃ頑張らなきゃいけないよな？
…っはは。うん。その意気だ。

まあ…しんどくなったらさ、俺が話聞いてやるし。
ストレス発散でどっか行ったり、酒でもなんでも付き合うしさ。
とりあえず、頑張ってみな。
…うん。

《しばらく沈黙》

はー、腹減ったなあ。
…あ？うん、なんも食ってないよ。
仕事終わってほんとすぐに連絡来たから。
…っはは。まあしゃーないって。
彼女が泣いてんだから、飛んでかない訳にはいかないだろ？
帰ったらなんか食うよ。

はあ？お前も腹減ったの？
…あー、なるほど。シメが食いたいと。
あーあ。完全に酔っ払いじゃん。
はー。やだやだ。
ったく、仕方ないなあ。
じゃあさ、ラーメンでも食ってく？
ほら、もうちょい行ったらあんじゃん、ラーメン屋。
しかもお前がめっちゃ好きなとこ。
計らったように丁度帰り道にあんだからすごいよなあ。

…っふは(笑)わかったわかった。
そんなに食いたいのね。おっけー。
じゃあ、ラーメン食って帰りますかね。
はい、行くよー。

・台本（ゆるボイ！）
彼女を飲み会まで迎えに行きおんぶして帰る彼氏の話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ちとせあられ