恋心。
それはとても淡く脆く、ひとたび制御を失えば、簡単に壊れてしまう。

あ。今帰り？
おつかれ。
偶然だね。

え。あ。
い、一緒に帰る、って。
その、彼女はいいの？

あ。そうなんだ。
先に帰って晩ご飯作ってくれてるんだ。
そっか。

でもさ。
元カノの私と一緒に帰ったって知られたら、彼女さん、怒らないかな？

そ、そうだよね！
もう、ただの女友達になったんだもんね！
気にすることないよね！
私から、女友達でいさせてってお願いしたのに。
私ったら、余計な心配ばっかりしちゃって。
えへへ
ごめんね！

じ、じゃあ、途中まで一緒に帰ろっか！




き、気まずい。。

何か、話題。
話題。。。


。。え？
わっ！？

ご、ごめんなさい！
少しぼーっとしちゃって。
前、見てなかった。
腕、引いてくれて、ありがとう。。
やっぱり、君は優しいね。。


！
(ｶﾞｼｯ)
だめ。
腕、離さないで。。


。。ごめんなさい。


好きなの。


君のことが、好きで好きでどうしようもないの。
君のこんな優しいところも。君の顔も。全部。

一日中、君のことを考えてる。
君しか頭にないの。
何にも手がつかないし、ほかの男を見ても、興味すらわかない。君しか見えない。


ねぇ。恋って。なんでこんなにつらいの。。？
こんなにも忘れようとしたのに。
君のこと、考えないようにしようって頑張ったのに。
ずっと脳にこびり付いたまま。
恋なんて、呪いだよ。
私をおかしくするの。私を狂わせるの。
逃がしてくれない。

叶うことのない願いだって分かってるのに、湧き上がってくる気持ちには抗えない。
君が好き。
愛してるの。

君にも、私を愛して欲しい。
私にだけ、優しくして欲しい。

無理だって分かってる。
分かってるけど、愛して欲しいの。
お願いします。
私にして。
今の彼女じゃなくて、私に。


私。
君が私に笑顔を向けるたびに、嬉しい。苦しい。
もっと笑いかけてほしい。もうこっちを見ないでほしい。君の笑顔が見たいのに。見ているとつらい。
胸の奥がぐちゃぐちゃになって。
何もわかんなくなって。

笑うの。


一緒になって笑うことしか出来なくなっちゃった。

ねぇ。
私。
君の前で、どんな顔、したらいいの。。？

君の優しさが、つらいよ。
君の何気ない笑顔が、つらいよ。
君のそばにいるのが、つらいよ。

私、君の近くにいたいのに。君の近くだとこんなにもつらい。
君の友達でいるのが、ずっとずっとつらいの。

お願い。
私を、助けてよ。
こんなにつらい私を、助けて。
私を愛して。



。。私は、悪い子だね。
君の優しさにつけ込んで、愛してもらおうなんて。

私ったら、いつからこんな子になっちゃったんだろ。

恋が、私をこんな子にしたのかな。
それとも、私はもともとこんな子だったのかな。

私の本質は、こんなにも、醜かったんだね。
そりゃ、別れたくもなるよね。
今の彼女を選ぶよね。

君は間違ってないよ。
私みたいな醜い女、捨てられて当然。

。。。
やめて。
違うなんて言わないで。

君は優しいから。
こんな私でも、そんな風に寄り添ってくれようとする。

でも。
そんな顔。

好きでもない女に向けるな。


分かる？
君だって悪いんだよ。
君は誰にでも優しい。
それがどんなに身近な人を傷つけているか、きっと分からないんだね。

私が君の彼女から女友達に変わってから、君に新しい彼女が出来るまで、君の態度がどう変わったと思う？

何にも変わらなかった。

彼女でいた時も、女友達でいる時も、君は変わらず誰にでも優しくて。
何にも変わらなかったの。

だったら、彼女のままじゃ、ダメだったの。。？

君にとって、彼女って何？
君にとって、彼女って必要なの？
今の彼女は、私と何が違うの！？

教えてよ。

教えてよ！！


彼女は、一番の理解者。。？
自分のことをわかってくれて、好きでいてくれる人、ってこと。。？

それって。
私じゃ、ダメなの。。？
君は誰にでも優しくしちゃう人だよね。
そんなの分かってるよ？
君のこと好きだよ？

それでも、私じゃダメなの。。？


え。私と付き合った理由？
そういえば、聞いた事なかった。

え。。
誰にでも優しくしちゃう自分の性格を好きになってくれたから、だったんだ。。

。。そうだ。
私は、君のそういうところが好きだったんだ。

なのに。
私、なんで。
どうして、あの頃みたいに、君の優しさを好きでいられなくなっちゃったの。。？

いつからか。
君のことを独占したいって。
思うようになってた。
それから、自分の気持ちばっかり優先して。。

君のどうしようもないくらいの優しさが、好きだったのに。
いつしか、君の優しさが、嫌いになっていって。。

私、わかんない。
君のこと、好きな気持ちがあるのに。
好きじゃないのかな。
わかんないよ。

でも、もう。
君の優しいところが好きなんて。思えない。
誰にでも優しいなんて。嫌い。

君のこと、嫌いなのかな。
君のどこが好きなんだろう。
わかんない。
わかんない。

優しいのが好きだったはずなのに。優しいのが嫌いなの。
私は、どうしたら。
どうしたらいいの。

この好きな気持ちは、どこから来てるの。


そうだ。

きっと。

きっと。それは。

君と、一度、付き合ってしまったから。

君との生活が、頭から離れないから。

君との幸せな思い出が。

君への想いを募らせる。

恋心が消えない。

ずっと、呪われたまま。


どうしてくれるの。

ねぇ！！

君が私をおかしくしたの！
君が責任をとってよ！！

。。。

分かってる。
君には、そんなこと出来ないって。

だから。
もう。
さようなら。
愛しい人。
こんな思いをし続けるくらいなら。
もう。
いいの。

今の彼女を、幸せにしてあげてね。

バイバイ。

・台本（ゆるボイ！）
恋は呪い
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora