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演劇部の背の高い男装麗人が、思い込みの激しいヤンデレだった
written by 犬アキラ
  • 先輩
  • ヤンデレ
  • ボクっ娘
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3178文字(約 10分36秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
先輩
視聴者役柄
後輩
場所
指定なし
あらすじ
あなたには、演劇部の先輩がいます。
彼女は、学校一の男役大スター。
女でありながら、学校中の女子の視線を独り占めな彼女は、
今日も大勢の女子たちに囲まれていて…?
本編
あっははは、ありがとう。

こんなにたくさんの花束を、どうもありがとう。

今日の僕の演技、どうだった?かっこよかったかい?

最高だった?

あはは、嬉しいな。

みんな、見に来てくれてありがとう。

ああ。君たちは、何よりも大事な、僕の子猫ちゃんたちだよ。

おいおい、まだ花束があるのかい?

とっても嬉しいけど、さすがにこれは持ちきれないな。

さて、どうしようか…


(少し間を空ける)


あ、おーい!

おーい!後輩くーん!

やあ、ちょうどいいところに。

ごめん、この花束、半分持ってくれないか?

部室まで、一緒に運んでほしい。

ごめんよ。

…ああ、いや、いや、君たちは大丈夫だ。

こういうのは、男の子の方が適任だろう?

違う、違う。彼は後輩なんだ。

彼氏とかじゃないんだよ。

どちらかといえば、けっこ…

ああ、いや、大丈夫。ちゃんと信頼できる人だ。

ああ、もちろん。

いつだって、君たちのことが大好きだよ。

でも、ちょっと部室で休憩したいから、しばらくはそっとしておいてくれ。

部室に近づく人がいたら、止めておいてくれると助かる。

君たちなら、僕のお願い、ちゃんと聞いてくれるよね?

…うん、いい子だ。

君たちみたいなファンを持って、僕は幸せだよ。

今日は来てくれてありがとうね。

それじゃあ、また。


(少し間を空ける)


ふぅ…

すまなかったね。急に。

彼女たちは、もちろんいい子たちなんだが、ああやって大勢で来られると、
僕も身動きが取れなくなってしまうのでね、助かったよ。

ああ、部室はここだ。入っていいよ。

大丈夫、しばらくは誰も来ない。ゆっくりしていくといい。

よし。ドアをロックして、っと…(小声)

ああいや、なんでもない。

さあ、そこのソファーにかけてくれ。

なあに、遠慮することはない。

君は僕の恩人…特別な人だ。

女なのに、背が高すぎて、みんなから遠ざけられ、友達もできず、
ひとりぼっちの僕を見て、君はこう言ってくれた。

そんなにかっこいいんだから、
演劇とかやってみたらいいんじゃないですか、ってね。

何もなかった…

生きてる価値さえないと思っていた僕が、その言葉にどれほど救われた事か。

あれから一年。

僕は演劇部1番のスターになって、文化祭でのステージの主役の座に選ばれ、
今日、こうして大成功を収める事ができた。

まあ、男役だけどね。ハハハ。

僕だって女だ。

女の子らしく、ジュエリエットの方を演じたいっていう気持ちが
ないわけじゃなかったけど…

まあ…僕以上にロミオの適任もいなかったからね。

自分で言うのもなんだけど、僕は背も高いし、男装は似合うし、
あれだけ女の子のファンがいるからね。

君も、今日は見に来てくれてありがとう。

僕のロミオはどうだった?

…かっこよかった?

…ふふ。そうか。嬉しいな…

そんな、この世の誰よりも、可愛くて、かっこよかったなんて。

あの子たちにほめられるのも嬉しいけど、君にほめられるのは、また格別の味だ。

とてつもない幸福感に、この身が包まれるのを感じるよ。

だけど…後輩くん。

それはそれとして…だ。


(少し間を空ける)


…ひとつだけ、聞きたいことがある。

…今日、一緒に見に来てた女の子は、いったい、誰なのかな。

うん、もちろん、ばっちり見えてた…

あれは、うちの制服じゃなかったよね…?

もしかして、彼女…とかかい?


(少し間を空ける)


幼馴染…?

そうか。幼馴染、ねぇ…

…なるほど。そういうのもあるのか…(小声)

付き合ってるわけじゃ…ないんだよね。

そうか。それならまぁ…(小声)

男友達と同じようなものだと考えれば…(小声)

…いや、ちょっと待て。

目が、泳いでいるね。

…僕に、嘘をついていないか?

分かってると思うけど、僕は、演劇部の部長だ。

僕の前で、生半可(なまはんか)な演技なんて、通用しないんだよ。

ほら、ちゃんと、僕の目を見ろ…

待て、動くな。

そのままだ。

こうやって、君のほっぺを、両手で押さえて…

さぁ、こっちを見て、答えるんだ…

君は、あの子と、付き合っているのか?


(少し間を空ける)


…なるほど。

付き合ってないのは本当らしい。

それでも、そうやって、口ごもるっていうことは…

分かったぞ。

君は、あの子の事が、好きなんだな…?


(少し間を空ける)


…図星か。

…そうか。

…ふふっ。

ふふふふふふふふふっ…

アハハハハハハハっ!!!

ああ…

すまない。

まったく、君は、本当に面白いやつだな。

僕というモノがありながら、他の女にうつつを抜かすなんて。

いやあ、いいんだ。仕方ない、仕方ない。

若いうちの気の迷いというのは、誰にでもあるもの。

特に君は、流されやすい傾向にある。

情にほだされ、本当の愛を見失っても、仕方のない事だ。

なぁに、心配はない。

人生の先輩である僕が、しっかりと真実の愛というものを教えてあげよう。

それでは、後ろから、しっかりと君を抱きしめて、っと…

ああこら、動くんじゃないぞ…(耳元で囁く)


ふーっ…(耳に息を吹きかける)


ふふ…君は、女の子のような声をあげるのだな。(耳元で囁く)

ちょうどいい。僕はロミオだからね…(耳元で囁く)

君は、僕のジュリエットというわけだ…(耳元で囁く)


ふーっ…(耳に息を吹きかける)


どうだい。目が覚めてきたかい?

そうそう。君が好きなのは、あの子じゃなくて、僕、なんだよ?


だって、君は言ってくれた。

僕が、この学校で1番かっこいいって。

誰よりも、僕が1番かっこいいんだって。

それは、僕の事が1番好きだっていう事だろう?


(少し間を空ける)


そうは言ってない…?

大丈夫大丈夫。ちゃーんと分かってる…(耳元で囁く)

ああ、君は悪くない…

悪いのは、君をたぶらかした、あの女だ。

でも、君も君だぞ?

君に悪い虫が付かないように、
僕が、頑張って学校中の女の子を虜(とりこ)にしたっていうのに、
まさか他校の女にたぶらかされるなんて。

まったく、君の流されっぷりには恐れ入る…

さすがに僕も、他の学校までは見きれない。

危うく、君を奪われるところだったよ。まったく…(耳元で囁く)


ふーっ…(耳に息を吹きかける)


でも、もう、僕は、君から目を離さない。(耳元で囁く)

もう、これで、僕も、演劇部は引退だ。(耳元で囁く)

これからは、ずーっと一緒だよ…(耳元で囁く)

あ、こら、動くなと言って…

おっと!


(少し間を空ける)


いてて…

…いやあ、これは驚いた。

まさか、君に組み伏せられてしまうとは。

子猫ちゃんのくせに、頑張るじゃないか。

それで…ここからどうするんだい?

ここから逃げ出すかい?

それとも、無理やり口説かれたと、僕を糾弾(きゅうだん)するか?

…ふふ。

君には、そのどちらもできやしない。

さぁ、僕の目をしっかり見ろ…

気づいていないか?

君の目が、僕を求めてやまない事に。

…気づくわけないか…

自分の目は、自分で見えやしないんだからね。

せっかく男らしく僕を押さえつけたのに、そんな調子では…


(少し間を空ける)


…そうか!分かったぞ!

君がジュリエットになるんじゃなくて…

僕がジュリエットになれ、と、そういう事だね…!?

あはは。なるほど。男らしいとこあるじゃないか。

ああ、いいよ…

そうさ、僕は女で、君は男。

そりゃあ、こっちの方が、配役としては正しいというものだ。

でも、君みたいな子猫ちゃんが、僕相手にどこまで…

いや…

子猫じゃなくて、小鳥か…

ああ、そうか。君は小鳥だったのか。

どういう意味かって?

何だい。君は、ちゃんと僕の劇を見ていなかったのか?

ロミオは、ジュリエットに、こう言うんだ…

「君の小鳥になりたい」、とね。

そして、ジュリエットはこう返すのさ。

「そうしてあげたい。」

「でも、可愛がりすぎて…」


(少し間を空ける)


おっと。この先を言うのはヤボかな。

ふふ、気になるかい?

でも、教えてあげないよ。

別の女にかまけて、ちゃんと僕を見ていなかった罰だ。

どうしても知りたいなら、自分で調べてみるんだね。

まあ、無事に帰れれば、の話だが。(耳元で囁く)

よい、しょっと…!

ほら。油断してるうちに、君の腕を、つかんでしまったよ…?

君が僕への愛を誓うまで、僕は、君を離しはしない…(耳元で囁く)

ふふ。どこまでも逃がしはしないよ。

僕の…いや、私だけのロミオ。(耳元で囁く)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
演劇部の背の高い男装麗人が、思い込みの激しいヤンデレだった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
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