あなたは、いつも一人で屋上でぼけーっとしている、
ちょっと変わった男の子です。
授業が終わり、今日も帰ろうとしていたら、
テンションの低い後輩とはち合わせて…？

あっ。

……ドモ。センパイ。

今から帰る感じっすか…？

あー、ウチもっす。

せっかくだから、ご一緒させてもろて。

これ？

ペロペロするキャンディっすよ。

ウチ、超低血圧なんで、常に糖分とってないと、アタマ回んねーっつか。

今朝も、ふとんから2時間出れなかったし。

いや、寒かったからじゃねーし。

あーあ、センパイの愛の無いツッコミのせいでアタマ痛いわ。

ちっと、そこのカラオケで休憩していきましょーよ。

普段は、だいたい昼くらいからアガってくるんすけど、
なんか今日、最後まで全然気分アガんなかったんすよね。

だから、大声出してスッキリしたいっつーか。

い～じゃんパイセン。
どーせ帰ったって、なんかやらしーの見て寝るだけっしょ。
付き合えし。

つか、誰のせいでサガってると思ってんの…

責任とってもらわないと困るんすけど。

何の話か分からない…？

も、ごちゃごちゃうっさい。

あ、フリータイムで。ジンジャエールふたつ。

パイセン、なんか機種とかこだわりあんだっけ。

あ、この人トロいんでもういいっす、何でも。

ほら、はよアプリ出して。

通常料金になっちゃうっしょ。

え？スマホの充電切れてんの？

はー、つっかえ。

いいよ、ウチが出すから。

201号室ね。どーもー。


（少し間を空ける）


うげっ、せまっ…！

なんでカラオケって、たまにこーいう異常に狭い部屋あんだろね。

これじゃ、はっちゃけらんねーじゃん。
ガン萎（な）えなんだけど。
どーしてくれんの、パイセン。

あははっ…！
ジョーダンじゃん。

そんな困った顔すんなし。

パイセンの困り顔、わりと可愛いっすよ。ゴチです。

ふふっ、ちょっとアガってきた。

あーあー、いいからさっさと奥行ってくんない。

あ、ジンジャエールどーも。

じゃ、お隣失礼しまーす。

ご指名いただきました、可愛いくてテンションの低い後輩ちゃんでーす。

ペロキャンお吸いになられますかー？
じゃ、火ぃつけますねー。ぼしゅ。

え？何で隣に座るのかって？

狭いんだからしょーがないっしょ。

いやいや、向かいにもイスあるじゃん、じゃねーんだわ。

どこに座ろーとウチの勝手。

てか、もっと他にツッコむところあるっしょ。

ご指名してねーし、とか。

ペロキャン吸うって何やねん、とか。

お前の食べかけのペロキャン、俺の口ん中につっこむな、とか。

え？やり慣れてそう？

は？やり慣れてるワケねーだろ、帰れキモオタ。

ふふっ…うそうそ。こんくらいで泣きそうな顔すんなし。

ほら、何歌う？パイセン。

いれないなら、ウチ、先にいれるよ。


（少し間を空ける）


ふぃー。歌った、歌った。

パイセンは、相変わらずアニソンばっかりだね。

ま、確かにいい曲多いわ。見くびってた。

でも、踊りながら歌うヤツはやめた方がいいよ。
普通にキモいから。

さてと…パイセン。

ウチと一緒にいるの、楽しかった？

ふーん、楽しかったんだ。良かったじゃん。

…それってさ、どの人よりも、ってこと？

それとも、普通に数いる悪友のひとりとして？

そこんとこ、どーなん？　

…一緒にいると、誰よりも楽しい…？

ふーん…あっそ…


（少し間を空ける）


じゃあさ…

今日の昼休み、一緒にいた女は誰なん？

ん？何ぎょっとしてんの。

いやいや、急に何、とかじゃないんだわ。

今日、屋上で一緒に昼飯食ってた女は誰なんだっつってんの。

いっつもセンパイは、友達がいないわけでもないのに、
屋上でたそがれながら、ひとりで飯食ってるじゃん。

その隣にそれとなくウチが座るのが、いつものお決まりだったじゃん。

別に、特に何か話すワケじゃないけどさ。

ぼけっと空見上げながら弁当食ってるセンパイ見たら、落ち着くっつうか。

何か全部どーでもよくなるっつうか。

そーいう感覚が好きで、いっつも隣に座ってたけど。

今日屋上言ったら、センパイの隣に、違う女座ってんだもん。

ガン萎えだよ、ガン萎え。

ウチ史上、最低に萎えたね。

おかげで、放課後までテンション死んでたってわけ。

で、あの女誰なん。言えし。

クラス委員長？

渡し忘れたプリント渡しに来ただけ…？

いやいや、そのあとそのまま飯食ってたじゃん。

いやいやいや、ついでに食ってったんじゃね、じゃねんだわ。

チッ…（舌打ち）

…何でわっかんないかなぁ…

プリントなんか、教室戻ってから渡しゃいいだけの話じゃん。

そんなの、センパイと一緒に飯食う口実に決まってんじゃん…

は…？

でも、屋上はみんなの場所だしなぁ、じゃねんだよ……

そーいうこと言ってんじゃないの。

…ざけんな、マジで。

そーいうとこが、むかつくん、だよ…！！


（少し間を空ける）


どーよ、後輩に押し倒された気分は。

見つかったら出禁（できん）だよ、じゃねんだよ…

そういうひょうひょうとしたとこが、むかつくんだっつの…

わかってるよ…

センパイは、最初っから、ひとりで飯食ってるだけだって。

その隣に、勝手にウチが座ってただけ。

センパイは、最初から、誰のことも見ちゃいない。

でも、ウチにとっては、あそこが一番心地いい場所だった…

ウチにとっては、唯一の居場所だった！

なのに…

ウチの特等席、他の女に軽々とゆずってんじゃねーよ……！

そこは、生意気な後輩が来るから、空いてないんだって言えよぉ…！

センパイ…

もっと、ウチのこと、ちゃんと見てよ…（泣きそうな声で）

…ほら。

…この体勢なら、いやでもウチの顔、よく見えるっしょ。

ちゃんと、すみからすみまで、全部見てよ。

誰の為に、毎朝フラフラんなりながら、こんなにオシャレしてっと思ってんの…


（少し間を空ける）


センパイ。

…好き。
　
…ははっ。

ここまで言って、センパイ、やっとウチの顔見てくれたじゃん。

センパイ、好き…大好き。

ウチ、ずっとセンパイの隣にいたいよ…

センパイの隣、誰にも譲（ゆず）りたくないよ…

…ごめん。ダルいよね、こんな事言われんの…

わかってんだけどさ…

どうしても、執着しちゃう…

何でだろ…

耐えらんない…

センパイが他の女と一緒にいるだけで、どうにかなっちゃいそうになる…

ましてや、センパイがウチの見てないところで、誰かのものになっちゃうなんて、

考えただけで気ぃ狂っちゃいそう…

そうだよ…

いっつも帰りに会うのだって偶然じゃないよ…

いっつも、センパイの来る時間をみはからって、
わざと、センパイと会えるようにしてんじゃん…

少しでも、センパイのこと、監視する時間増やすために…

……監視？

はは、監視、だって。

…ね、センパイ、ウチ、おかしいのかな…

狂ってんのかな…

教えてよ、センパイ…

センパイが教えてくれたら、ウチ、ふっ切れられる気がする…


（少し間を空ける）


少し、おかしいと思う…？

ふふっ…

ふふふっ…

そっか…

やっぱりウチ、狂ってたんだ…

正直に言ってくれてありがと、センパイ…

これで、心おきなく、壊れられるよ…

ははっ…！アガってきた…！

なんか、センパイの一言で、リミッターぶっこわれた気がする…

なんか、出ちゃいけない脳汁（のうじる）が出ちゃってる感覚…

ははっ…あはははっ…！！

がぶっ！！（噛む）

痛い？センパイ。（耳元で囁く）

センパイが、ウチに恋愛感情ないのはわかってっからさ、

センパイが、ウチに愛を誓うまで、体中噛み続けるね…

しょーがなくね…？

ウチ、狂ってるからさ…（耳元で囁く）

センパイの血ぃもらわんと、生きていけないんだわ…

あー…、騒がないで…

センパイの意思とか関係ないんだわ。

だって、ウチは狂ってるからさ、人の気持ちとか分からんし。

ウチの中にあるのは、ただ、センパイを、ウチのものにするってことだけ…

電話鳴ってる…？

あぁ、フリータイムも終わりか…

でも、ウチ狂ってるから、そんなん知らんし…

ふふ、無視してたら、店員来ちゃうかもね…

めんどくさいことになりたくなかったら…

早く、ウチに愛を誓った方がいーんじゃね？

がぶっ！

ああ…

センパイの恐怖にすくんだ顔、サイッコー…

無表情なセンパイの、こんな顔引き出せるの、

絶対ウチだけだよ…

ウチは特別…

ウチだけが特別…

ははっ…過去最高にアガってきた…！！

さぁ…次は、どこを噛んで欲しい…？

ああ、もし口がいいんなら、口だけは、

噛まないで優しくしてあげるよ…？

あはっ…　あはははははっ…！！

それはキスだろ、って、つっこめし。

ふーっ…（耳に息を吹きかける）

ね、もしかして、噛まれて気持ちよくなっちゃってるなんてこと、ないよね…？

もしそうなら、…人のこと言えないよ、センパイ。

センパイも、じゅうぶん、狂ってる…。（耳元で囁く）

あはっ…じゃあ、一緒に狂っちゃおっか…

はむっ。（噛む）

・台本（ゆるボイ！）
いつもダウナーな後輩ギャルが、ヤンデレで狂わされる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ