0
エルフさんは君を待っていた
written by ゆぅ
  • 告白
  • ファンタジー
  • 純愛
  • 片思い
  • 年上
  • 人外 / モンスター
  • エルフ
公開日2021年11月29日 21:00 更新日2021年11月29日 19:10
文字数
2520文字(約 8分24秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
エルフ
視聴者役柄
森を彷徨う青年
場所
森の中
あらすじ
あなたは全てを失った。
長年同棲していた婚約者に裏切られ、その影響から仕事に身が入らず、仕事をクビになったあなた
全てを失い、生きる気力を失ったあなたは手に首をくくる縄を持って朧げな足取りで森の中を彷徨っていた。
そんな時、あなたの目の前に一人の女性が現れた。
ローブに身を包み、片手には弓を携えた女性。
何者だと問うあなたに女性はフードを脱いだ
その正体は……
本編
あら、珍しい。…人間がこんな森の奥深くまで来るなんて

迷子…かと思ったけど、その様子を見るに用事があって来たった感じね

私?私はエルフ、この近くに住んでるの。どうぞよろしくね

ふふっ驚いてるのね。まぁ無理もないでしょうね。人間からすればエルフはおとぎ話とか神話の中にしか出てこない伝説上の存在だもの

…信じられない?…なら、これはどう?

…見える?このながーい耳に、金色の瞳…そしてこの美しい容姿……なんてね

ふふっ、取り敢えず冗談はここまでにして…君はこんな所まで何をしに来たの?…森の奥は危険だと聞かされ無かったの?

森にはね、君たちが想像する魔物なんてのは居ないけど…狼とか熊とか…危険な生き物は沢山いるのよ

…え、自殺?……本気なの?

そう。それでこんなところに…

出会ったばかりの私がこう言うのは失礼かもしれないけど、訳を聞いてもいいかな?

ーーーーーーーーーー

…成る程ね。信じていたはずの婚約者が別の男性に…それで仕事にも身が入らなくて、さっきクビになった…と

随分苦労したのね。…私はね、君の気持ちが分かるだなんて無責任な事は言えないけど…それでも君が負った心の傷の重さは理解出来る。

…エルフってのはね、長命なの。私自身はまだまだ若い方だけど、長いと何百年も生きるエルフもいる

昔はね、この辺りには沢山のエルフがいたの。でも、今はみんな遠くへ引っ越しちゃってね。今では私一人

物心ついた時からずっと一人だった。森の中で野垂れ死にそうになっていた所を一人のお爺さんに救われてね…その人のお陰で私は今も生きていけてる

…その人にはね一人の孫がいたの。私と同じくらいの男の子。いつもお爺さんの足元に隠れて、私の事を物珍しそうな目で見てたわ

勇気を出して私が話しかけたのを今でも覚えてる。その子はね、最初はおどおどしてたけど、私の目を見てこう言ったの

綺麗って…

思わずドキッとしたわ。私の目を見るあの子の目、まるで宝石みたいに輝いていた

そこからはあっという間だった。お爺さんに育てられて、私と彼はすくすく育って、本格的にお互いを意識して、もう段階的にはどっちが先に告白するかみたいな…

…でもね、私は言い出せなかった。それは彼も…同じ…ふふっお互い意地っ張りだったからね

その事を今でも私は後悔してる。その後、彼は別の人と結ばれた。幼馴染って奴ね。可愛くて、明るくて、誰に対しても優しさを振り撒ける天使みたいな娘だった

…彼のことが大好き…でも、このままそばに居れば良からぬ事をしてしまうと思ったの

そして私は彼の前から姿を消した。本来要るべき場所、この森で…私は暮らし始めた

脳裏によぎる彼の残像を消そうと、私は必死だった。そして気付けば…何十年も経ってて…

…察しがいいのね。そうよ、人間とエルフの寿命の長さは違うの

…ある日、住んでいた小屋に帰った時、扉の前に置き手紙があってね…そこにはね、彼が倒れて、もう余命僅かだと書かれてた

…私は我も忘れて、書かれていた病院に急いだわ。でも……遅かった。私が駆けつけた時には…もう彼は亡くなっていた

…窓の外で彼の姿を見た時、私は涙が止まらなかったわ。…でもね、病院のベッドの周りには彼の家族がいて、枕元で泣いているあの娘は…シワシワになった手で彼の手を握っていたの

…後で聞いた事だけど、彼は最後にあの娘の名前でもなく、家族の名前でもなく、私の名前を呼んでいたの…。あの娘はそれに激しく嫉妬していたし、怒っていた

彼は最後まで私を信じて待っていてくれたのに…私は彼の事を裏切ってしまった…

…罪の意識で何度も命を絶とうしたわ。でもね…不思議なことに…どんな手を用いても、その全てが失敗するの

崖から飛び降りても、湖へ身投げしても、狼の群れに丸腰で近付いても…そして今の君の様に首を縄でくくっても…全部失敗したの

そして命を絶とうとする度に…誰かが耳元で言うの

死ぬなって、待っててくれって、もうすぐだからって…意味がわから無かったけど、ある日全てわかったの

ある日、いや、運命の日ね…山菜を取った帰り、森の中で迷子を見つけたの

…ふふっ、やっと思い出した?そう…君だった

まだこんなにちっちゃかったけど、君の姿は…彼と瓜二つだった

生まれ変わり……噂に聞いたことはあったけど、信じちゃいなかった

…大泣きしてた君だったけど、私の姿を見たらピタリと泣き止んでねこう言ったの

『ただいま』って

信じられない…わよね。でもね…私は嬉しかったの。また彼ーいや、君と会えたから…

でもね、例え君が生まれ変わりだとしても、君の人生は君だけの物。私は関与するべきじゃ無かった

だから…せめて君が寿命を全うするまでの間、君の事を護ろうって決意したの

なるべく干渉せず、ただ遠くから君に危険が及ばない様に…

…うん、その通りだよ。君がまだ幼かった時、誘拐されて、行方不明になった事件も…君がダンプカーに跳ねられそうになった時も…君が原因不明の高熱で生死の境を彷徨っていた時も…全部…私が解決した

…ふふっ、君…今、すっごい顔してるよ。情報量が多すぎたかな?…私の膝で良ければ貸すからどうぞ…体預けて

ーーーーーーーー

…どう?少しは落ち着いたって、流石にまだ混乱してるよね。…じゃあ今からはゆっくり話すね

軽く咳払い)

そこから君は、初恋の相手に振られてベッドの上で泣いたり、ちっさい時からやってたテニスで全国大会行ったり、そこでマネージャーちゃんから告白されて、初めての青春を謳歌したり、就職活動の愚痴話で友達と花を咲かせたり…

…そして君の婚約者が浮気をしていたとわかった時、崩れ落ちそうになる君の体を抱きしめたいと何度も思った

でも、それは…出来ないと諦めていたら、君はここに…来た。手に命を手放す道具を持って…

……ねぇ、私じゃ…ダメ?

人間からしたら高齢かもしれないけど、エルフ基準なら…私はまだ二十代だし…一応それなりに収入あるし…何より、君の事…好き…だから

……や、やっぱダメだよね…。エルフ基準とか言っても、君から見たらお婆ちゃんだし…それになんかよく分かんない事を言ってるやばい奴だし……

…え、いいって……すごい…嬉しいけど…いいの?

…そっか、いいんだ。君…変わってるね。……私もだけど

…ねぇ、一つお願い事があるんだけど…いいかな?

…ありがとう、それじゃ遠慮なく…

キス)

いきなりごめんね…私…君とずっとこうしたかった…から…

…え、耳たぶまで真っ赤って…そ、そんなの当たり前だよ…ばか

…それじゃあ、これからよろしくね

おかえりなさい
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
エルフさんは君を待っていた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆぅ
ライター情報
どうも! クリエイターの端くれの中の端くれ、ゆぅと申します!
主に男性向けのシチュエーションボイスの台本を投稿させていただいております。
フリー台本を使って頂いた作品の合計視聴回数は15万回再生を突破しており、これもひとえに演じてくださってる演者様の高い技術と視聴して頂ける方々のおかけでとても励みになっております。この場を借りて感謝を…

有償のご依頼等、詳しくはサイト記載のpixivのDMに!
もしくはTwitterのDMまで気軽にご相談下さい
有償販売利用の条件
当サイトの利用規約に準ずる
利用実績(最大10件)
ゆぅ の投稿台本(最大10件)