～あらすじ～
あなたはとある資産家の跡継ぎに目を付けられ、奴の暮らすお屋敷へと監禁されてしまった。
脱走を試みたのは何度目だろうか。しかし、今回の脱走も失敗に終わってしまう。
そんな心変わりしないあなたを見て、奴の歪んだ本性が露になっていって…
「こんなに君に尽くしてるのに…なんでこっちを見てくれないの？」

やぁ、おはよう。気分はどう？
…まだ睡眠薬が効いているみたいだね。
うん、それなりの金額をかけて開発させた甲斐があったな…
ここまで運んできてくれた召使達にも報酬を払っておかないと。
全く…またここから逃げ出そうとしたね？
この屋敷から出ようとするのは不可能だと、何度言っても分からないのかい？
キミに付けたその首輪、どこにいても居場所が特定できる高性能なGPSが付いてる優れモノなんだから。
それにこの屋敷には、専属の召使達が常にこの部屋を監視してる。
私がいないからって、油断したらダメだよ。
それにしても…これだけキミに尽くしているというのに、まだ私のものになる気はないというのか？
せっかく、私というお眼鏡にかかったというのに。
キミ専用の部屋を用意して、欲しがっていたもので部屋中を埋めつくしたというのに。
何が不満なんだい？
私の心を奪ったのに飽き足らず、これ以上何を望んでいるんだい？

…「家に帰りたい。友達に会いたい。」ハァ…またそれか。
（呆れたように）

あんな平凡な暮らしなんて退屈なだけだろう。
私と生きていく方が、よっぽど豊かで幸せな生活が確立されているじゃないか。
お金ならある…そう、お金なら。
生まれてこの方…両親が共に資産家という事もあって、お金には困らない生活をしてきた。
その分、跡継ぎとしての重圧や責任もあったけど、苦痛ではなかったさ。
幼いころからビジネスのノウハウを叩きこまれ、習い事にマナーレッスン、果てには商談を任されることもあった。
ただ、裕福な家庭に生まれた。それだけの理由で他者から疎まれ、妬まれた。
それでも、なんで私はここまでやりきれたと思う？
だって、これからの人生の保証がされているんだもの。
勝ち組なんだ。私は。生まれた時点で決まっていた事なんだ。
お金のない凡人どもが何を言おうが、所詮は負け組の戯言だ。
羨ましいんだろう。私のことが。
ヒトの人生は、生まれた時点で優劣が決まっているんだ！

お金があればなんだって出来る。
欲しいものなら、何だって手に入った。
モノも、ヒトも、才能も、愛情も…お金を投資した分だけ全てが私の手の内だった。
それなのに…どうしてキミは、これだけのお金を注いであげたというのに、なんで私のいうことを聞かない？
キミが欲しいとつぶやいたゲームやお菓子、コスメやブランド品だって買ってあげたのに。
キミに良くない評価を下した使えない教師達もあの学校から退職させてやったのに。
平凡な家庭に生まれたキミを、資産家である私の家族として迎え入れると何度も言っているのに…！！

こんなにキミに尽くしてるのに…なんでこっちを見てくれないの？
（縋るように）

（以下段落まで早口気味に）
何故、私を拒む？
何故、稼ぎの少ない家族といたいと願う？
何故、ロクな才能を持たない同級生どもと一緒に過ごしたがる？
あんなに退屈でつまらない普通の日常を…何故手放そうとしない？
なんで…どうしてだ、今までこんなこと一度もなかった。
お金を使えば…何だって手に入ってきたじゃないか。

…そうか、もっとか。まだ、足りないんだね。
キミにかける財産が、足りていないんだね。
もっともっと、キミに投資しなくては。
監禁で足りないのなら、手足を拘束すればいい。
外が見たいと言うのなら、孤島を買って私たちだけで暮らすのも悪くない。
いやまて…キミの家族も友人たちも、買ってしまえばいいのか？
ただ、アイツらはキミをここに連れて来る時、随分と反抗的だったからな…
そうだ！薬を開発して、アイツらの思考を歪めるのも悪くない。
従順な人形になるように躾ければいい。
お金さえあれば、必ず手に入る…そうだったじゃないか。
…怯えた顔、初めて見れたかもしれないな。
アハハ、悪くないね。
これからもっと、色んな表情を見せてくれよ。
さぁ…時間もお金も腐るほどあるんだ。
必ず、キミを私のものにする。

絶対に、だ。
（囁くように）

・台本（ゆるボイ！）
お金持ちなヤンデレさんはあなたを手中に収めたいようです
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ソライヌ