彼女はハロウィンの渋谷があまり好きではないらしい。
せっかくだし、なにか思い出でも作りたいのだけれど・・・
そうだ！コスプレ衣装もないけど、ハロウィンのキャラクターになりきってみよう！
あれ？いつの間にか勝負になってる。彼女の負けず嫌いにも火がついてしまった！
というお話。

あ、おかえり～。
勝手に上がらせてもらってるよ～。

え？まあ、いいじゃん。君の彼女なんだし。
それに、いつでも入っていいよって合い鍵を渡してきたのは君でしょ？

軽く掃除機もかけておいたし。
できる彼女でごめんね～。

さて、君も帰ってきたことだし、ご飯でも作って差し上げましょうかね。

え？おでかけ？こんな時間に？なんで？

・・・ああ、ハロウィン、ね。

いや、私は絶対に行かない。
普通に人込み苦手だし、今日の渋谷はいろいろな臭いが混じって、くさい。

ネットでもハロウィンなイベントはたくさんあるし、我々はそれで満足しようじゃないか。
・・・陰キャっていうなよ。君だって似たようなもんでしょ？

私に気を使ってくれたんだろうけど、心配は御無用だよ。
私は家の中でしっかりと楽しめるからね。
ありがとう。

・・・え？二人でハロウィンっぽいことをしたい、ってこと？

んー。なんかあるかなぁ。
定番はコスプレだけど、なにも用意してないし。

・・・ああ、演技？ロールプレイしろってこと？
なにそれ、超恥ずかしいじゃん。

君できるの？
・・・何その顔。私にだけやらせようとしてた？

残念だったね。私だけ恥ずかしい思いをするのは納得がいかない。
そういうことをするのなら、君にも犠牲にはなってもらうよ。

え？ＯＫ？うそ、やるの？
君にもやらせれば諦めてくれると思ってたのに・・・。
どれだけ私に恥ずかしい思いをさせたいんだよ。

まあ、ああ言った手前、君がやるというのなら腹をくくりますか。
何をやってほしいの？

・・・ドラキュラ、ね。はいはい。

血を吸うぞ～。（棒読み。適当）

え？ダメ？演技もセリフも適当？
大目に見てよ～。役者じゃないんだし、下手で当然でしょ？

それに、吸血鬼のセリフなんて思いつかないし。
君は何か思いつくわけ？

・・・って、いや、そのセリフは恥ずかしすぎるでしょ。

それを私に言えと？
・・・はあ。そんな真っすぐな目で見ないでよ。
やらないといけない気がしちゃうじゃん。ずるいなあ。

・・・仕方ない。やりますよ。

（咳払い）

私の眷属にしてあげる。あなたは、一生私のものだよ。

・・・こんな感じ？
・・・えぇ、超嬉しそうじゃん。

私も人のこと言えないけど、君も大概オタクだよね。

はい、じゃあ君の番。
ふふ、逃げられると思った？甘いなぁ。

ほら、君の吸血鬼を見せてよ。はーやーくー。

・・・って、近い近い！
ひゃあ・・・耳元でささやくのはダメ・・・。

ねえ、ちょっと！それは反則でしょ！
大したセリフ言ってないのに、耳元で喋ってるだけで、それらしくなるじゃん！

うう～悔しい。次、私の番！
うっさい、乗り気にさせたのは君だから。

次は何をする？・・・なるほど、魔女ね。
ちょっと待って、セリフ考えるから。
・・・OK。行くよ。覚悟してね。

私の魔法で、何も考えられないくらい、メロメロにしてあげる。
（耳元でささやく）

はい、君の顔真っ赤！私の勝ちだね！
もう、おしまい！この勝負は私の勝ちで終了です！
君にもうチャンスはない。勝ち逃げだとでも何とでも言うがいいさ。

わ～！彼氏に襲われる～！あはははっ。（ごそごそ、みたいな効果音があるとよい）

はあー。・・・どう？家の中でも、ハロウィン楽しめるでしょ？
イベントは、どこでやるかじゃない。誰とやるかなんだよ。

私は・・・その、面と向かって言うのは恥ずかしいけど・・・。
君のこと、大好きだから。
だから、どんなことでも、まずは君がいるかどうかっていうのが重要なんだよ。

確かに、色々なところに行きたいけど、それも君とだからだし。

君と一緒だから、おしゃれなカフェも、遊園地も、水族館も行きたいって思える。
どこに行くにしても、何をするにしても、君と一緒っていうのは、大前提なんだよ。
私のために色々考えてくれるっていうのはもちろん嬉しい。
でも、君がいないとどの予定も成立しないから。
それだけは、覚えておいてね。

・・・さて、そろそろご飯にしようか。
丁度かぼちゃもあるし、シチューに入れてあげる。

・・・ハロウィンだけじゃなくて、クリスマスとか、お正月とか、一緒にたくさん楽しもうね。
これからもよろしく。大好きだよ。

・台本（ゆるボイ！）
ハロウィンにおうちで甘々なりきり大会！
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ありまびぃばぁ