- 学校/学園
- 同級生
公開日2022年03月03日 22:00
更新日2022年03月01日 19:55
文字数
2906文字(約 9分42秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
高校生
視聴者役柄
同級生
場所
高校
あらすじ
ある日、クラスで孤立しているクラスメイト(演者)に助けられる視聴者。
彼女にはどうやら、一人でいる理由があるようで。
彼女にはどうやら、一人でいる理由があるようで。
本編
【チャイムの音】
悪いのだけど、そこ通してもらえるかしら?
あなた達のやっていることは見るに耐えないし、発言を聞いていてもあまり気分のいいものではないから。
道を開けてくれてありがとう。
【教室の扉を開ける音】
いただきます、ってどうしてここに人がいるの?
確かあなたはクラスメイトのえーと・・・何君だったかしら?
ごめんなさいね、人の名前って覚える気にならなくて。
だから自己紹介とかも別にいいわ。
今名乗られても、明日かもっと言うと放課後には忘れてるだろうし。
話が少しそれちゃったわね。
お昼休みはここに私しか居ないはずなのだけど。
だってその扉鍵がかかっていたでしょ?
《視聴者のセリフ》
あ、鍵をかけ忘れていたの、それは私の落ち度ね。
あなたを内心で針金を使って開けた手先の器用な変な人かも、と思ったことは謝罪するわ。ごめんなさいね。
けどそれはそれよ。
私はここで一人でいる時間がとても落ち着くの。
だからお昼休みになるといつも来ているのだけど、あなたは今日が初めてよね?
屋上は私個人の所有物だって言う気はないけれど、ほとんど誰も来ずに雨が降っても大丈夫な場所ってなかなか存在しないのよね。
だから探すのにも時間がかかるの。
できれば今日のところはこのまま教室に帰って、そのまま卒業まで一度も来てほしくはないのだけど。
《視聴者のセリフ》
さっきのお礼を言いに来た、って何のこと?
あぁそういえばあなた、あの男子たちに嫌がらせを受けていたものね。
別にお礼なんて必要ないからできれば早く教室に帰って、私を一人にしてほしいのだけれど。
お礼を言われるよりもそちらの方がよっぽど嬉しいわ。
〈少し時間が経つ〉
ごちそうさまでした。
それで、どうしてまだ帰っていないの?
さっきも言ったでしょ?
お礼はいらないから早く教室に帰ってと。
《視聴者のセリフ》
なんでそこまで一人になろうとしてるのか教えてくれないと帰らない、と言われてもそんなことあなたに言う必要はないでしょ?
本当に動く気はないのね。
分かったわ、人に見られていたら食事なんてしにくいだけだし理由くらいなら教えてあげるわよ。
単純にいつなんどきであっても誰かと話したいって思わない、それだけよ。
理由は言ったでしょ、早く教室に帰って。
《視聴者のセリフ》
どうして人と話したくないの、ってそれこそあなたには言う必要がないでしょ?
《視聴者のセリフ》
元は同じ中学校のクラスメイトじゃないか、って初耳よ。
私は知り合いが誰もいない高校を選んだつもりだったもの。
それじゃああなたって中学校だとそこそこ頭良かったのね。
そんな人がいたなんて知らなかったわ、ごめんなさいね。
それなら理由も込みで説明してあげるわよ。
あなたが同じ中学校の出身なら知ってるかもしれないものね。
えぇ、これから話す話のことよ。
あなたがクラスメイトだったのなら覚えているでしょうけれど、私って見た目も良くて、成績優秀、スポーツ万能っていう完璧超人だったからクラスでも人気者だったでしょ?
その時の私は自分が誰かに嫌われるなんて考えもしなかったわ。
もちろん嫌がらせなんて見ることも無かったし、被害を受けるなんて夢にも思ってなかったもの。
フィクションの中では何度も見ていたし、こんなことする人は許せない、やられてる子が可哀想だ、と思っていてもやっぱり他人事だったのよ。
けれどその他人事だと思っていたことが私の身に降りかかったわ。
私はそれでも気にすることなく学校に登校していたの。
もちろん嫌な思いはたくさんしたけど、私には大切な幼馴染がいたから。
彼女は私がどんな目にあっても私を励ましてくれたし、私のことを対等に見てくれる唯一の人だったから。
嫌がらせを受ける前は周りにいた人は皆どこか遠慮して、嫌がらせを受け始めてからとは別の意味で一線を引いてるように感じられたもの。
だからこそショックだったのよ。
私に嫌がらせをするように指示してたのが彼女だったなんて。
私は彼女のことを信頼していたし、自分は彼女の一番の理解者だと本気で思っていたもの。
彼女に理由を聞いたらなんて答えたと思う?
彼女の好きな人が私を好きで仲を取り持ってほしいと言われたから、だそうよ。
正直そんなことで今までの友情が壊れてしまうのかと愕然としたわ。
だからこそ人のことが分からなくなったのよ。
彼女のことはなんでも分かるつもりだったけれど、本当は何一つ分かっていなかったのよ。
無様よね?本当に、何でも知ってると思ってたのに。
それから人が使う本音と建前というものが分からなくなったの。
これで分かったでしょ?
今のが私が一人になりたい理由よ。
誰かと関わって、苦悩を感じるよりも誰とも関わらず一人の世界でいたほうが楽なんだもの。
それじゃあ早く帰ってもらっていい?
一応言っておくけど、あなたを助けたのは偶然よ。
昔の私に少し重なって見えたのと、純粋に彼らが邪魔だったから。
変な期待はしないでね、次同じ状況でも同じことをする気はないから。
それとこれは他の誰にも言わないでね。
無理に隠しておく気はないけれどわざわざ学校中に言いふらす必要もないでしょ?
〈翌日〉
どうしてまた来ているの?
昨日のことをもう忘れてしまったの?
私はここで一人になりたいと思っていると言ったでしょ。
《視聴者のセリフ》
友達になりにきた?
言ったでしょ、私は人の心を読むことはできないんだから、誰とも関わらないようにしていると。
この世で唯一、自分の心だけが完璧に知ることができるんだから。
《視聴者のセリフ》
それならどうして泣いてるの、って泣いてわよ。・・・え、嘘。本当に涙が。
こ、これは涙じゃないわ。
言ったでしょ、私は私の気持ちしか分からないと。
その自分の気持ちすら理解できないのなら私は本当に誰の心も知ることができなくなるわ。
だからこれは涙じゃないわ、私は今泣きたいとは思っていないもの。
《視聴者のセリフ》
私が気持ちに嘘をついている、ってそんなことはあるわけないわ。
それならまるで私が友達がほしいと思っているみたいじゃない。
《視聴者のセリフ》
友達をほしがってるなんて一言も言ってない?
え、そんなことは、あ、確かに言ってないわ。
なら本当に私が友達をほしがってるってことなの?
けれど私はもう裏切られたの。
もう同じ思いはしたくないの。
これだって私の本当の気持ちよ。
なのにどうして友達がほしいと思えるの?
また、裏切られるかもしれないのに。
《視聴者のセリフ》
え?・・・うん。
自分の気持ちを知るためには、ちゃんと向き合うためには、思いをぶつけられる相手が必要、か。
そうなのかもね。
私はずっと、あの日から自分の気持ちを一人で抱えてた。
苦しくても、辛くても、誰かに言ったりすることは駄目だと思ってた。
伝えたって、誰も聞いてくれないし自分が弱いことを、他人に頼るほど弱いってことを証明するみたいだったから。
私は誰かに頼られることがあっても頼ることはなかったから。
けどよく考えてみたら誰にも頼ってないわけなんてないわね。
全部自分でできてるつもりだったのかな。
よし、あなた私と友達になってよ。
あなたが私の気持ちを教えてくれたんだからちゃんと責任をとってもらうわ。
まず、あなたの名前は?
悪いのだけど、そこ通してもらえるかしら?
あなた達のやっていることは見るに耐えないし、発言を聞いていてもあまり気分のいいものではないから。
道を開けてくれてありがとう。
【教室の扉を開ける音】
いただきます、ってどうしてここに人がいるの?
確かあなたはクラスメイトのえーと・・・何君だったかしら?
ごめんなさいね、人の名前って覚える気にならなくて。
だから自己紹介とかも別にいいわ。
今名乗られても、明日かもっと言うと放課後には忘れてるだろうし。
話が少しそれちゃったわね。
お昼休みはここに私しか居ないはずなのだけど。
だってその扉鍵がかかっていたでしょ?
《視聴者のセリフ》
あ、鍵をかけ忘れていたの、それは私の落ち度ね。
あなたを内心で針金を使って開けた手先の器用な変な人かも、と思ったことは謝罪するわ。ごめんなさいね。
けどそれはそれよ。
私はここで一人でいる時間がとても落ち着くの。
だからお昼休みになるといつも来ているのだけど、あなたは今日が初めてよね?
屋上は私個人の所有物だって言う気はないけれど、ほとんど誰も来ずに雨が降っても大丈夫な場所ってなかなか存在しないのよね。
だから探すのにも時間がかかるの。
できれば今日のところはこのまま教室に帰って、そのまま卒業まで一度も来てほしくはないのだけど。
《視聴者のセリフ》
さっきのお礼を言いに来た、って何のこと?
あぁそういえばあなた、あの男子たちに嫌がらせを受けていたものね。
別にお礼なんて必要ないからできれば早く教室に帰って、私を一人にしてほしいのだけれど。
お礼を言われるよりもそちらの方がよっぽど嬉しいわ。
〈少し時間が経つ〉
ごちそうさまでした。
それで、どうしてまだ帰っていないの?
さっきも言ったでしょ?
お礼はいらないから早く教室に帰ってと。
《視聴者のセリフ》
なんでそこまで一人になろうとしてるのか教えてくれないと帰らない、と言われてもそんなことあなたに言う必要はないでしょ?
本当に動く気はないのね。
分かったわ、人に見られていたら食事なんてしにくいだけだし理由くらいなら教えてあげるわよ。
単純にいつなんどきであっても誰かと話したいって思わない、それだけよ。
理由は言ったでしょ、早く教室に帰って。
《視聴者のセリフ》
どうして人と話したくないの、ってそれこそあなたには言う必要がないでしょ?
《視聴者のセリフ》
元は同じ中学校のクラスメイトじゃないか、って初耳よ。
私は知り合いが誰もいない高校を選んだつもりだったもの。
それじゃああなたって中学校だとそこそこ頭良かったのね。
そんな人がいたなんて知らなかったわ、ごめんなさいね。
それなら理由も込みで説明してあげるわよ。
あなたが同じ中学校の出身なら知ってるかもしれないものね。
えぇ、これから話す話のことよ。
あなたがクラスメイトだったのなら覚えているでしょうけれど、私って見た目も良くて、成績優秀、スポーツ万能っていう完璧超人だったからクラスでも人気者だったでしょ?
その時の私は自分が誰かに嫌われるなんて考えもしなかったわ。
もちろん嫌がらせなんて見ることも無かったし、被害を受けるなんて夢にも思ってなかったもの。
フィクションの中では何度も見ていたし、こんなことする人は許せない、やられてる子が可哀想だ、と思っていてもやっぱり他人事だったのよ。
けれどその他人事だと思っていたことが私の身に降りかかったわ。
私はそれでも気にすることなく学校に登校していたの。
もちろん嫌な思いはたくさんしたけど、私には大切な幼馴染がいたから。
彼女は私がどんな目にあっても私を励ましてくれたし、私のことを対等に見てくれる唯一の人だったから。
嫌がらせを受ける前は周りにいた人は皆どこか遠慮して、嫌がらせを受け始めてからとは別の意味で一線を引いてるように感じられたもの。
だからこそショックだったのよ。
私に嫌がらせをするように指示してたのが彼女だったなんて。
私は彼女のことを信頼していたし、自分は彼女の一番の理解者だと本気で思っていたもの。
彼女に理由を聞いたらなんて答えたと思う?
彼女の好きな人が私を好きで仲を取り持ってほしいと言われたから、だそうよ。
正直そんなことで今までの友情が壊れてしまうのかと愕然としたわ。
だからこそ人のことが分からなくなったのよ。
彼女のことはなんでも分かるつもりだったけれど、本当は何一つ分かっていなかったのよ。
無様よね?本当に、何でも知ってると思ってたのに。
それから人が使う本音と建前というものが分からなくなったの。
これで分かったでしょ?
今のが私が一人になりたい理由よ。
誰かと関わって、苦悩を感じるよりも誰とも関わらず一人の世界でいたほうが楽なんだもの。
それじゃあ早く帰ってもらっていい?
一応言っておくけど、あなたを助けたのは偶然よ。
昔の私に少し重なって見えたのと、純粋に彼らが邪魔だったから。
変な期待はしないでね、次同じ状況でも同じことをする気はないから。
それとこれは他の誰にも言わないでね。
無理に隠しておく気はないけれどわざわざ学校中に言いふらす必要もないでしょ?
〈翌日〉
どうしてまた来ているの?
昨日のことをもう忘れてしまったの?
私はここで一人になりたいと思っていると言ったでしょ。
《視聴者のセリフ》
友達になりにきた?
言ったでしょ、私は人の心を読むことはできないんだから、誰とも関わらないようにしていると。
この世で唯一、自分の心だけが完璧に知ることができるんだから。
《視聴者のセリフ》
それならどうして泣いてるの、って泣いてわよ。・・・え、嘘。本当に涙が。
こ、これは涙じゃないわ。
言ったでしょ、私は私の気持ちしか分からないと。
その自分の気持ちすら理解できないのなら私は本当に誰の心も知ることができなくなるわ。
だからこれは涙じゃないわ、私は今泣きたいとは思っていないもの。
《視聴者のセリフ》
私が気持ちに嘘をついている、ってそんなことはあるわけないわ。
それならまるで私が友達がほしいと思っているみたいじゃない。
《視聴者のセリフ》
友達をほしがってるなんて一言も言ってない?
え、そんなことは、あ、確かに言ってないわ。
なら本当に私が友達をほしがってるってことなの?
けれど私はもう裏切られたの。
もう同じ思いはしたくないの。
これだって私の本当の気持ちよ。
なのにどうして友達がほしいと思えるの?
また、裏切られるかもしれないのに。
《視聴者のセリフ》
え?・・・うん。
自分の気持ちを知るためには、ちゃんと向き合うためには、思いをぶつけられる相手が必要、か。
そうなのかもね。
私はずっと、あの日から自分の気持ちを一人で抱えてた。
苦しくても、辛くても、誰かに言ったりすることは駄目だと思ってた。
伝えたって、誰も聞いてくれないし自分が弱いことを、他人に頼るほど弱いってことを証明するみたいだったから。
私は誰かに頼られることがあっても頼ることはなかったから。
けどよく考えてみたら誰にも頼ってないわけなんてないわね。
全部自分でできてるつもりだったのかな。
よし、あなた私と友達になってよ。
あなたが私の気持ちを教えてくれたんだからちゃんと責任をとってもらうわ。
まず、あなたの名前は?
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