あら…お客様ね。わざわざここまでご足労だこと。

貴方もわたしに抱かれにきたのかしら？他の男たちのように…

そう…いいわよ。お望み通り、抱いてあげる。ギュー…

(抱きしめる)

これで貴方もわたしのモノ…

わたしに身も心も委ねてくれれば、それで……ッ⁉︎

なんで…確実に氷漬けにしたはずなのに…

炎の魔神…そんなものを腹の中に飼ってたなんてね…

ならどうしてさっきはわたしに言われるがままに、身体を預けたの…？

そう…試してたんだ、わたしのこと。

え…笑ってる？わたしが？

…嬉しかったのかもね。貴方のような人に出会えて。

えぇ。わたしの氷を溶かしたのは貴方が初めてよ。

どの男もわたしを愛してくれるって言ってくれたけど、結果はご覧の通り。誰もかれもが氷漬けになった。

いくら口先で愛してやるなんて言われても、最後に動かなくなるんじゃあ、ね…

虚しかったわ。とっても。

抱きしめても誰もわたしを抱きしめ返してくれない。

当たり前よね。触れたもの全てを凍らせる雪女が相手だもの。

貴方は？貴方はわたしを愛してくれる？

構わないわ。わたしのこと、溶かしてくれても。

ずっと同じことを繰り返すくらいなら、ここで貴方に溶かされた方がいい。

最後は貴方に愛されて死にたい。ダメ？

ありがとう…ならわたしのこと、抱いて？

(抱きしめられる)

嬉しい…男の人に抱かれるってこんなにあたたかいのね。

えぇ…初めてよ。貴方だけがわたしを愛してくれる。

かりそめだって分かってる。それでもこんなに胸の内がポカポカしてるから、わたしは満足。

最後にキス、して…？お願い…

(キスされる)

ありがとう。とっても情熱的なキスだったわ。

え？……ふふっ、キザな口説き文句だこと。

でもそう言いながら、恥ずかしがってるの、可愛いと思うわ。

残念だけど、そろそろお別れね。

最期に出会えたのが貴方でよかった…さようなら。

・台本（ゆるボイ！）
数多の男を虜にしてきた雪女に引導を渡してやることにした
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎