夏じゃの〜
夕暮れ時は、虫の声が良いのじゃ〜
お主もそう思うか♪


暑い…か
夏じゃから仕方あるまいて…
しかしお主、溶けそうになっておるぞ？大丈夫かの？
妾か？長いこと生きておると、いつでも快適なのじゃ〜♪
ずるい？なんとでも言うがいい、今なら尻尾に抱きついても良いのじゃぞ〜？暑苦しいだろうがの〜
むふ〜♪


（呼び鈴）


およ？こんな時間に来客とは…
まぁ、そもそもこの屋敷に誰か来ること自体稀じゃがな
少し行ってくるでの〜




お主よ、妾の友人が遊びにきたぞ〜
名は『六花（りっか）』という
雪女という妖怪じゃ
無口でニコニコしておるがたまに強引で…って、どうしたお主？ふらふらと歩いてきて…


お、おおおお主！？六花とは初対面であろう！？
挨拶もなく抱きつくなぞ、礼儀がなっておらん！
冷たくて気持ちいい…じゃと？
まぁ雪女は皆そうであろうな…じゃなく！
六花もそんな惚けた顔をするでない！
確かにそやつは可愛いが…あぁ、もう！
は〜な〜れ〜よ〜！


（数分後…）


お互いに挨拶は済んだが…
しかしな…お主〜？六花にべったりくっついておるがそろそろ離れぬか？ほれ、六花も暑苦しいであろう？
そ、そうか…雪女は夏でも平気か…
むぅ〜〜〜…


そういえば、六花よ
今日は何用で来たのじゃ？
可愛いものがある気がして…とな…
そ、そやつはやらぬぞ！？
妾の！客なのじゃ！つまり！妾の！なのじゃ！
あ、相変わらず恐ろしい直感じゃの…


全く…そんなに惚けた顔で頭を撫でておると…そやつの姉のように見えるの…
むぅ…お主もそんなに嬉しそうにして…
こんなお姉さんが欲しかった…と？
わ、妾に甘えてきても良いのじゃぞ？ほれ、神の力を持ってすれば…妾はヒンヤリ冷たいぞ〜


イタズラしてくるからやめておく、じゃと？
い、いつもはお主が良い反応をするゆえ…つい…
むぅ…日頃の行いが…


眠いのか？ほれ、布団は用意してやる
ここで寝ても良いのじゃぞ
うむ、おやすみなのじゃ〜


眠ってしまった…の…
しかし六花よ？お主も変わったのぅ
以前のお主ならば、問答無用でそやつを連れて行っておったのではないか？
妾のお気に入りに手を出すと後が怖い…？
確かにこやつのことは気に入っておるが…
う〜む…そこまで入れ込んでおる様に見えるのか…


（翌日）


起きたか？おはようなのじゃ〜
六花か？今朝早くに帰ってしまったぞ？


そ、そこまでがっかりするのか！？
余程あやつのことが気に入ったのかの…
むぅ…そんなに六花が良いので有れば…


ふぇ？六花より妾の方が…？
そ、そんな顔を真っ赤にして言うでない…
妾まで…恥ずかしくなってくる…
わ、分かったから！もういい！


あぁもう！こっちを見るでない…


ふわぁ！？
こ、これ！尻尾に抱きつくでない！
何？顔が緩んでるじゃと？み、見るでない！
やめよ！尻尾に顔をうずめるな！こそばい！

・台本（ゆるボイ！）
【フリー台本】雪女と嫉妬するお狐様
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
アイゼン