俺はホラー映画が苦手だ。
だが2人しかいない映研の後輩はハロウィンに便乗して、コスプレを見せてからホラー映画を勧めてきやがった。
顔がいいから断りづらいし、まぁいいか。

【】：状況
（）：声色 or SE

【聴き手がどの映画を見るか考え中】
【ドアが開く】

あれ、先輩来るの早くない？
私の計算ではもうちょっと遅めに来ると思ってたんだけど、ミスったなぁ。
まぁいっか。

先輩。ちょっと部屋出てくれない？
や、着替えるだけだから。別に部室出ていけとか、そういうのじゃないし。

【嫌がる先輩】

なんもしないから。
だいたいこの部屋にはDVDとディスクプレイヤーしかないでしょ。
ほーら。たったと行った。

（ドアを閉める音）

えーっと、これがこっちで。上着はこれだから……。
あとはこうして。これを被ったら……。よし。

先輩、いいよー開けても。

（ドアを開ける音）

じゃーん。軽くコスプレしたぜー。
もうすぐハロウィンでしょ？
どうせ映研じゃ特にやることないんだし、雰囲気作り的な、ね。

魔女のコスプレかな、これ。
みんなの大好きな雑貨デパートでテキトーに買ってきたんだけど、案外行けるもんだね。
どーよ、似合ってる？

【呆れる先輩】

そこはかわいいとか褒めるところだと思うんだけど。
分かってないなぁ。こういうのはライブ感と勢いが大事だって、映画の監督も言ってるでしょ？
だからこれも黒歴史予定なんだけどさ。

で、どーなの？（照れ）

【かわいいぞ、的な先輩】

……っ。
ふへっ。そうだろそうだろう？
私、顔だけはかわいいらしいからなぁ！
それ以外はただの映画オタクなんだけど。

で、だ。
せっかくコスプレしたんだし、今日はハロウィンっぽい映画を見ない？
ちゃんと選んできたから楽しめると思うよ。

えーっと、このカバンの中に入ってたはず……。あった！
じゃーん、『ゴースト・サクリファイス』（架空の映画名）！
先輩と見たかったんだよねー、ホラー映画！

……なに怯えてるのさ。
知ってるよ～。先輩がホラー映画苦手だってことぐらい。
前もオススメしようとしたら逃げ帰っていくし。
あの後、私1人で見てたの悲しくて仕方なかったよ。およよ……。

ま、それはさておき。
今日は特別ってことでいいでしょ？
私も恥ずかしい思いをした。だから先輩もそういうことを経験すべきだと思うんだ。

大丈夫だって！
私、結構驚かない方だから。ずっと私の腕に捕まってればいいんじゃない？
なんてね。

【それは流石に、的な先輩】

じゃあ私が手を繋いでてあげるよ。
これぐらいならいいでしょ。

【了承の先輩】

ん、ありがと。
じゃあ再生するよ。

……なんか。こうしていたら恋人みたいだね。
暗くて見えないけど、先輩の顔が赤くなってるのぐらい分かってるよー。
ま、私もなんだけど（小声）

おっ、始まるよ。
絶対逃げないでね、先輩！

・台本（ゆるボイ！）
ダウナー系後輩がハロウィンに便乗してホラー映画を勧めてくる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
二葉ベス