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公開日2023年04月13日 05:30
更新日2023年04月13日 05:30
文字数
2796文字(約 9分20秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
6 人
演者役柄
私、将校、下女、男、本妻、坊や
視聴者役柄
特になし
場所
大正時代の長崎、主に御屋敷
あらすじ
時は大正時代の長崎。
まだ年端も行かぬ乙女の主人公は外国の将校様に見初められ、子供を授かる。
将校様がお国へ帰ってしまった後も彼女は帰って来るかもわからない将校様を待ち続けるのです。
この台本はオペラ歌劇「蝶々夫人」を声劇台本用にアレンジしたものです。だいたい20分前後で公演を終わらせるために省いている箇所も多いのでご了承くださいませ。
〜入り等のト書がございますが、アバターありきの配信媒体での公演でしたのでそのためのものです。無視していただいてかまいません。
劇中に出てくる子守唄はオリジナルキャストでもアカペラで歌いました。熊本県に伝わる子守唄です。
まだ年端も行かぬ乙女の主人公は外国の将校様に見初められ、子供を授かる。
将校様がお国へ帰ってしまった後も彼女は帰って来るかもわからない将校様を待ち続けるのです。
この台本はオペラ歌劇「蝶々夫人」を声劇台本用にアレンジしたものです。だいたい20分前後で公演を終わらせるために省いている箇所も多いのでご了承くださいませ。
〜入り等のト書がございますが、アバターありきの配信媒体での公演でしたのでそのためのものです。無視していただいてかまいません。
劇中に出てくる子守唄はオリジナルキャストでもアカペラで歌いました。熊本県に伝わる子守唄です。
本編
蝶のようになれたなら。
幕開き、私、五木の子守唄を一小節歌う
おどま盆ぎり 盆ぎり盆から先ゃ おらんど 盆が早よくりゃ 早よもどる
私 拝啓、青い瞳の将校様、お元気ですか。今度はいつ逢えるのでしょう。 日本はもう桜の季節も終わり、夏になりました。坊やももう 3 歳になりました。 将校様、嗚呼、将校様、もう一度、もう一度、貴方に逢えることが出来たのならば きっと私はもう心残りはないのです。 初めて貴方に出会った時、私はまだうら若き乙女でした。今でも覚えています。 桜の舞い散る春のうららかな陽気の日でしたね。
将校入り
将校 美しいですね。
私 え?
将校 貴方はとても綺麗だ。
私 貴方は?
将校 これは失敬、私は異国のしがない将校です。
私 青い瞳、日本語がお上手なんですね。
将校 ええ、必死で学びましたから。
私 吸い込まれてしまいそうな青色。(うわ言のように)
将校 でもそれも、全て貴方に出会う為だったのかもしれません。
私 戯れはおやめください。貴方のような身分の高い方が、私のような芸者に。
将校 そんなことはありません。貴方は素敵な方だ。
私 おやめください。
将校 私は貴方がほしいのです。
将校はける
私 貴方に求められて私はとても幸せでした。そして私は貴方の事を深く愛するようにな ったのです。
下女入り
下女 本当にお決めになるんですか?
私 ええ、
下女 あのような見知らぬ異国の者に。
私 将校様の事を悪く言うのはやめて、大丈夫よ 私は今とても幸せなんですもの。
下女 ですが。
私 大丈夫よ、心配しないで。
下女 私は、お嬢様が傷つかないかが心配なのです。
私 大丈夫、あの人は私の事を大切にしてくれてるもの。
下女はける。
私 五木の子守唄の二小節目を歌う。
おどまかんじんかんじん あん人たちゃよか衆(し) よか衆ゃよかおび よか着物(きもん)
将校入り
将校 寝たかい?
私 はい、やっと寝た所です。
将校 君に似て可愛い顔だ。
私 貴方に似て綺麗な青い瞳をしています。
将校 君に似た、優しい子に育って欲しい。
私 貴方に似た、強い子に育ってほしいです。
将校 君に会えて良かった。私は本当に幸せ者だよ、君のような素敵な人に出逢えて。
私 いいえ、私こそ貴方に幸せにしてもらっています。坊やは私の宝です。この子が私 と貴方を繋いでいてくれるような気がして。
将校 幸せにするよ。
私 はい。
将校 きっと、きっと、君を幸せにする。
将校 後ろを向く
私 青い瞳のこの子を見る度に貴方の事を思い出します。あの頃の日々がきっと私の人 生で 1 番幸せな日々でした。
将校前を向く
将校 アメリカに帰ることになった。
私 私達も連れて行ってくれるのですよね?
将校 残念だが、それは出来ない。
私 嫌です、私達も一緒に連れて行ってください。
将校 大丈夫、離れていても私達はずっと一緒だ。
私 将校様。
将校 きっとまた逢いに来るから。
将校はける
私 あれから 3 年経ちました。お変わりなくお元気にしているかだけが心配です。 私はずっとここに居ります故。いつでも帰って来てくださいませ。
下女入り
私 将校様に手紙を書いたの。出しておいてちょうだい。
下女 かまいませんが、何度出しても返信など帰って来ないではないですか。
私 きっと忙しくしているからお手紙が書けないのよ。仕方ないわ。
下女 ですが、
私 お願い、
下女 かしこまりました。
私後ろを向く 男入り
下女 これもお願いできるかしら。
男 ええ、かまいませんよ。あ、これがお嬢様宛に。
下女 え?将校様からだわ。どうして今になって。
男 いい知らせだといいのですがね、
下女 そうね、
男 どうも、異国の軍人さんの間で、現地妻を娶るのが流行っていたようで、
下女 え?
男 お嬢様がその被害者なのではないかと俺は心配で、心配で。
男はける
下女紙を触る音を出す。
下女 こんなの、こんなのって、見せれるわけないじゃない。
私前を向く。
私 お手紙出してくれてありがとう。どうしたのそんな顔して。
下女 明日、将校様が帰っていらっしゃるようです。
私 そうなの、知らせが来てたのね!お手紙は?
下女 使用人が間違えて捨ててしまっていたようです。
私 あら、そうなの残念だわ。
下女 はける
私 貴方は?
本妻 手紙に書いてあったはずよ。
私 え?
本妻 届いているでしょう、私の夫から。
私 どういうこと?
本妻 青い瞳の将校よ。
私 うそ。
本妻 嘘じゃないわ。
私 だって、あの人は私と。
本妻 それは日本にいる間だけの話だわ。
私 あの人は?
本妻 今は関係のない事だわ。
私 お願いひと目でいいから会いたいの。
本妻 (無視をして)貴方の子供を預かりに来ました。
私 え?
本妻 貴方の子供を、アメリカに連れ帰って私達の子供として、育てます。
私 そんな急に言われても。
本妻 いいえ、手紙で伝えてた筈だわ。
私 それは出来ません、あの子は私の宝なんです。
本妻 こんな没落した武家で育てられても、彼が幸せになれるとは思わないわ、
だから貴方も芸者をしていたのでしょう。
私 それは......。
本妻 話にならないわ、明日またここに坊やを迎えにきます。
本妻はける
私 坊や......。
将校入り
将校 君に会いに来た。
私 はい。
将校 君に会いに来たんだ。
私 はい。
将校 話したいことがあるんだ、
私 将校様、奇遇ですね私も話たいことがあったのです。
将校 私と一緒にっ......。
私 (遮って)時が経つのは早いものですね、あの子もだいぶ大きくなりましたよ。
将校 え?
私 私も自覚はなかったのですが、かなり変わったみたいです。
将校 今でも私を愛しているか?
私 はい、愛していますとも。ですが、私も母親になったようです。
将校 私も君をっ......、
私 やめてください、
将校 何故......!
私 最後くらい母親で居たいのです。
将校 そうか......。
私 あの子をどうか、幸せにして......。
将校 ......わかった。
将校はける。
私 さよなら、
坊や入り
坊や 母上様、
私 ここには入ってはダメと言ったでしょう
坊や 眠れないのです、
私 明日は早いと言ったでしょう?
坊や 母上が居ないと眠れません。
私 仕方ないですね、では母が子守唄を歌ってあげます。
坊や 本当ですか!嬉しいです!
私 ですが、絶対にこちらを向いてはいけませんよ、
坊や 何故ですか?
私 いいですか坊や、強い子に育つのですよ
坊や はい、
私 母はずっと傍に居ますから。
坊や はい、ずっと一緒です。
私、五木の子守唄、一小節を歌う。
坊や 母上、もう一度歌ってください。
私 ......。
坊や 母上様......?寝てしまったのですか?
私 ......。
坊や 母上様??
幕
幕開き、私、五木の子守唄を一小節歌う
おどま盆ぎり 盆ぎり盆から先ゃ おらんど 盆が早よくりゃ 早よもどる
私 拝啓、青い瞳の将校様、お元気ですか。今度はいつ逢えるのでしょう。 日本はもう桜の季節も終わり、夏になりました。坊やももう 3 歳になりました。 将校様、嗚呼、将校様、もう一度、もう一度、貴方に逢えることが出来たのならば きっと私はもう心残りはないのです。 初めて貴方に出会った時、私はまだうら若き乙女でした。今でも覚えています。 桜の舞い散る春のうららかな陽気の日でしたね。
将校入り
将校 美しいですね。
私 え?
将校 貴方はとても綺麗だ。
私 貴方は?
将校 これは失敬、私は異国のしがない将校です。
私 青い瞳、日本語がお上手なんですね。
将校 ええ、必死で学びましたから。
私 吸い込まれてしまいそうな青色。(うわ言のように)
将校 でもそれも、全て貴方に出会う為だったのかもしれません。
私 戯れはおやめください。貴方のような身分の高い方が、私のような芸者に。
将校 そんなことはありません。貴方は素敵な方だ。
私 おやめください。
将校 私は貴方がほしいのです。
将校はける
私 貴方に求められて私はとても幸せでした。そして私は貴方の事を深く愛するようにな ったのです。
下女入り
下女 本当にお決めになるんですか?
私 ええ、
下女 あのような見知らぬ異国の者に。
私 将校様の事を悪く言うのはやめて、大丈夫よ 私は今とても幸せなんですもの。
下女 ですが。
私 大丈夫よ、心配しないで。
下女 私は、お嬢様が傷つかないかが心配なのです。
私 大丈夫、あの人は私の事を大切にしてくれてるもの。
下女はける。
私 五木の子守唄の二小節目を歌う。
おどまかんじんかんじん あん人たちゃよか衆(し) よか衆ゃよかおび よか着物(きもん)
将校入り
将校 寝たかい?
私 はい、やっと寝た所です。
将校 君に似て可愛い顔だ。
私 貴方に似て綺麗な青い瞳をしています。
将校 君に似た、優しい子に育って欲しい。
私 貴方に似た、強い子に育ってほしいです。
将校 君に会えて良かった。私は本当に幸せ者だよ、君のような素敵な人に出逢えて。
私 いいえ、私こそ貴方に幸せにしてもらっています。坊やは私の宝です。この子が私 と貴方を繋いでいてくれるような気がして。
将校 幸せにするよ。
私 はい。
将校 きっと、きっと、君を幸せにする。
将校 後ろを向く
私 青い瞳のこの子を見る度に貴方の事を思い出します。あの頃の日々がきっと私の人 生で 1 番幸せな日々でした。
将校前を向く
将校 アメリカに帰ることになった。
私 私達も連れて行ってくれるのですよね?
将校 残念だが、それは出来ない。
私 嫌です、私達も一緒に連れて行ってください。
将校 大丈夫、離れていても私達はずっと一緒だ。
私 将校様。
将校 きっとまた逢いに来るから。
将校はける
私 あれから 3 年経ちました。お変わりなくお元気にしているかだけが心配です。 私はずっとここに居ります故。いつでも帰って来てくださいませ。
下女入り
私 将校様に手紙を書いたの。出しておいてちょうだい。
下女 かまいませんが、何度出しても返信など帰って来ないではないですか。
私 きっと忙しくしているからお手紙が書けないのよ。仕方ないわ。
下女 ですが、
私 お願い、
下女 かしこまりました。
私後ろを向く 男入り
下女 これもお願いできるかしら。
男 ええ、かまいませんよ。あ、これがお嬢様宛に。
下女 え?将校様からだわ。どうして今になって。
男 いい知らせだといいのですがね、
下女 そうね、
男 どうも、異国の軍人さんの間で、現地妻を娶るのが流行っていたようで、
下女 え?
男 お嬢様がその被害者なのではないかと俺は心配で、心配で。
男はける
下女紙を触る音を出す。
下女 こんなの、こんなのって、見せれるわけないじゃない。
私前を向く。
私 お手紙出してくれてありがとう。どうしたのそんな顔して。
下女 明日、将校様が帰っていらっしゃるようです。
私 そうなの、知らせが来てたのね!お手紙は?
下女 使用人が間違えて捨ててしまっていたようです。
私 あら、そうなの残念だわ。
下女 はける
私 貴方は?
本妻 手紙に書いてあったはずよ。
私 え?
本妻 届いているでしょう、私の夫から。
私 どういうこと?
本妻 青い瞳の将校よ。
私 うそ。
本妻 嘘じゃないわ。
私 だって、あの人は私と。
本妻 それは日本にいる間だけの話だわ。
私 あの人は?
本妻 今は関係のない事だわ。
私 お願いひと目でいいから会いたいの。
本妻 (無視をして)貴方の子供を預かりに来ました。
私 え?
本妻 貴方の子供を、アメリカに連れ帰って私達の子供として、育てます。
私 そんな急に言われても。
本妻 いいえ、手紙で伝えてた筈だわ。
私 それは出来ません、あの子は私の宝なんです。
本妻 こんな没落した武家で育てられても、彼が幸せになれるとは思わないわ、
だから貴方も芸者をしていたのでしょう。
私 それは......。
本妻 話にならないわ、明日またここに坊やを迎えにきます。
本妻はける
私 坊や......。
将校入り
将校 君に会いに来た。
私 はい。
将校 君に会いに来たんだ。
私 はい。
将校 話したいことがあるんだ、
私 将校様、奇遇ですね私も話たいことがあったのです。
将校 私と一緒にっ......。
私 (遮って)時が経つのは早いものですね、あの子もだいぶ大きくなりましたよ。
将校 え?
私 私も自覚はなかったのですが、かなり変わったみたいです。
将校 今でも私を愛しているか?
私 はい、愛していますとも。ですが、私も母親になったようです。
将校 私も君をっ......、
私 やめてください、
将校 何故......!
私 最後くらい母親で居たいのです。
将校 そうか......。
私 あの子をどうか、幸せにして......。
将校 ......わかった。
将校はける。
私 さよなら、
坊や入り
坊や 母上様、
私 ここには入ってはダメと言ったでしょう
坊や 眠れないのです、
私 明日は早いと言ったでしょう?
坊や 母上が居ないと眠れません。
私 仕方ないですね、では母が子守唄を歌ってあげます。
坊や 本当ですか!嬉しいです!
私 ですが、絶対にこちらを向いてはいけませんよ、
坊や 何故ですか?
私 いいですか坊や、強い子に育つのですよ
坊や はい、
私 母はずっと傍に居ますから。
坊や はい、ずっと一緒です。
私、五木の子守唄、一小節を歌う。
坊や 母上、もう一度歌ってください。
私 ......。
坊や 母上様......?寝てしまったのですか?
私 ......。
坊や 母上様??
幕
クレジット
ライター情報
7年ほど舞台でのお芝居をしていました。
役者、演出、脚本の経験があります。
色んなきっかけで自分達でやるための声劇の台本を書きました。
1回きりだと勿体ないのでもし誰かにまた演じていただけたら嬉しいなと思い投稿することにしました。
有料での使用でなければ自由に使っていただいてかまいませんが、是非その様子は見せていただきたいのでお声がけいただければと思います。
役者、演出、脚本の経験があります。
色んなきっかけで自分達でやるための声劇の台本を書きました。
1回きりだと勿体ないのでもし誰かにまた演じていただけたら嬉しいなと思い投稿することにしました。
有料での使用でなければ自由に使っていただいてかまいませんが、是非その様子は見せていただきたいのでお声がけいただければと思います。
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