気が付いたら見知らぬ部屋に閉じ込められており、その部屋にはもう一人女の子がいた。
成り行きでそのもう子に耳かきをしてもらうことになったのだが、気が付けば距離感が近くなりすぎていた。

あ、やっと起きた。
ここはどこだって？

私に聞かれても……。
私も君と同じように気が付いたらここにいたって感じなんだ。
何でもいいから今の状況を知りたいならそこの壁見てみなよ。

そこにこの部屋について書いてあるでしょ。
書いてあることが本当ならあそこにある出口の扉は時間が経てば勝手に開くみたい。
あ、今は鍵がかかって開かない事は君が寝ている間に確認済みだよ。
後はそれまでの食料とか暇つぶしの道具とかが置いてあることも確認したよ。

どう？
今、どういう状況か理解できた？
フフフッ、そうだよね。
そんなすぐには理解できないよね。
私も目を覚ましてからしばらく頭、パニクってたもん。

ねぇねぇ、こんな場所に閉じ込められる心当たりとかある？
そうだよね……。
普通、無いよね。
私もないし。

で、どうする？
何がって？
これからどうするのかを聞いてるの！
大人しく扉が開くのを待ってるのか、それともこの状況でも何かできそうな事を考えるとか色々あるでしょ？

まったく…
君、もっと閉じ込められてるっていう事自覚した方がいいよ。

え？
暇つぶしの道具？
あー、確かに言ったよ。
そこの壁に食料の近くに置いてあるよ。

どう？
本当に暇つぶしにしか使えなさそうなものばかりでしょ？
トランプやオセロ、将棋、ボードゲーム…
ここに私達を閉じ込めた人は何でそんなものを置いたんだろうね？

うん？
どうかした？
何か見つけたの？

……え？
それ、耳かき棒？
そんなの何に使うの？
あー、普通に耳かきするのに使うんだ……

おかしいかって聞かれても…。
いや、そういうのって脱出が無理と分かってからやらない？
気が付いて数分後にやる行動じゃないよ…。

まぁ、いいや。
私も君が起きるまで考えてみたけど出られそうにないのは気づいてたし。
それでも、一応君が天才的な閃きで出れる方法を見つけてくれるかもってちょっと期待してたんだけどね。

…せっかくだし、私が君の耳かきやってあげるよ。
どうせ他にやることないし。
ほら、こっち来て。

ぽんぽん(膝を叩く音)

うん？
早く頭を膝にのせてよ。
何でって？
そうしないと床に寝転んだ時に頭…いや、身体全体が痛くなるよ。
まぁ、それでもいいって言うなら私は構わないけど？

(膝の上に頭をのせる時の布がこすれる音)
(右耳上)

フフッ、最初から素直にそうしておけばいいの。
はい。じゃあ、耳かき棒貸して。

ありがと。
やる前に確認なんだけど、耳かき棒を見つけてすぐに耳かきしたってことは耳がかゆかったんだよね？
…やっぱり。
じゃあさ、私とひとつゲームをしない？
ルールは簡単、この耳かきで私が君のかゆい場所を見つけたら勝ち。
見つけられなかったら君の勝ち。
どう？

よし、なら決まり。
すぐに見つけてあげるからね。
じゃあ、耳かき始めるよ。

(右耳の耳かき開始)

(少しの間無言で耳かき)

うーん、ここかな？
いや、こっち？
それともここ？

今、君の反応を見て君のかゆい場所を探して、3箇所まで絞れたのんだけど、
そこからが分からないんだよね。
3箇所とも君がビクッとしたり、気持ちよさそうな顔する場所なんだけど、
その中でも一番反応が良かったのはここ、かな？

うん。
やっぱり一番ここが反応いい。
かゆかったのってここでしょ？

やっぱり。
じゃあ、私の勝ちだね。
負けた君にはどんな罰ゲームしてもらおうかなー。

え？
罰ゲームなんて聞いてない？
フフッ、そういえば言ってなかったね。
なら、今回は無しでいいよ。

それじゃあ、耳かきの続きをしていくね。
え？
耳かきはやめないよ？
耳かきは扉が開くまでの暇つぶしでゲームはついでなんだから。
ほら、じっとしててよ。

(少しの間無言で耳かき)

フフッ、フフフッ。
あ、笑っちゃってごめんね。
さっきのゲームで君の弱い所が分かったからそこを耳かきした時の反応が楽しくって。

ほら、こことか弱いでしょ？
カリカリカリカリー

フフッ、そろそろこっちの耳は終わろっか？

(右耳　耳かき終了)

(耳に息吹きかけ)

どう？
耳に息吹きかけるの気持ちいいでしょ？
うん？
もしかして恥ずかしがってる。
いや、だって耳真っ赤になって…

あーごめんごめん。
怒らないで。

ほら、じゃあ反対の耳かきするから逆向いて。

(耳の向きを変える音)
(左耳上)

じゃあ、こっちの耳かき始めるね。
あ、さっきみたいに何かゲームする？
勿論、罰ゲームありで。

えー。
やらないのー？
まぁ、いいけどさ。
でも、やりたくなったらいつでも言ってね。

じゃ、耳かき始めるね。

(左耳の耳かき開始)

(少しの間無言で耳かき)

ねぇ、私達ってどんな理由で閉じ込められたんだろうね？
だって、謎じゃない？
面識のない二人をこんな部屋に閉じ込めて、しかもその部屋で何かさせる訳でもないって。
目的が分からないよね。

君はどういう目的があると思う？
実験？
あぁー確かにこの部屋、漫画とかで見る閉鎖空間みたいな感じだもんね。
だとしたら、何の実験なんだろうね？
うーん…考えれば考えるほど分からないね。

あ、ここ気持ちいいでしょ？
もう君の反応でどこが気持ちいいのか分かるようになってきた。

ここも気持ちいいんじゃない？
カリカリ、こしょこしょ
フフフッ、気持ちよさそう。
人に耳かきするのってこんなに楽しいんだね。

カチャ(扉が開く音)

あれ？
今の音ってもしかして扉が開いた？
……………うん？
部屋から出ないのかって？
勿論、出るよ。
でも、まだ耳かきの途中だよ？
出るのは耳かきが終わってから。
…でもじゃない。
君は黙って耳かきされていればいいの。

(左耳　耳かき一時終了)

もーう。
そんなに早く出たいなら私とゲームしよ。
君が今から私のする耳かきにビクッとせずに堪えれたら君の勝ち。
すぐに扉から外に出る。
それでいい？

よし、じゃあゲームスタートだね。
覚悟してね。
頑張らないとすぐに私勝っちゃうから。

(左耳　耳かき再開)

早速で悪いけど、
君が弱いのはここだよね。
カリカリ、カリカリ

ほーら、もうビクッとしてる。
えぇー、してない？
認めないつもり？
それはずるいよ。
どう見ても弱い所を掻かれて気持ちよさそうにしてるのに。
しょうがないね。
なら、これでどう？

(左耳　耳かき終了)

(耳に息吹きかけ)

もう負けを認めたら？
認めたら君の耳の中で特に気持ちいい所をカキカキしてあげるよ？
耳に息を吹きかけるのはずるい？
何言ってるの？
これも含めて耳かき、だよ。

(耳に息吹きかけ)

ほら、僕の負けですっていいなよ。
そしたら、きっと気持ちいいよ？

(小刻みに耳に息吹きかけ)

(耳に息吹きかけ)

やっと負けを認めたね。
それじゃあ、この部屋から出ようか。
はい、起きて。

(起き上がるときの布がこすれる音)

あ、もしかして耳かきが続くかと思った？
だって、仕上げのフーってやつもやったからもう終わりだよ。

さ、早く出よ。
そうだ、忘れないうちに言っておくけど
私がゲームに勝ったから罰ゲーム覚悟しておいてね。

だって、右耳の耳かきが終わった時に言ったでしょ？
次は罰ゲームありって。

罰ゲームの内容？
それはね、私ともう一回この部屋に入るこ・と。
大丈夫、記憶はちゃんと消しておくから。
次はどんな君を見してくれるのか、楽しみにしてるね？

・台本（ゆるボイ！）
密室で一緒になった女の子に耳かきして貰ったらその子の距離感がバグっていた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
トラクベルク