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覆面作家してたら、何も知らない後輩にあがめられてる!?
written by 灰塔アニヤ
  • ギャグ
  • 学校/学園
公開日2023年08月06日 02:32 更新日2023年08月06日 02:32
文字数
3159文字(約 10分32秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
部活の後輩
視聴者役柄
部活の先輩
場所
部室
あらすじ
身近な人間にはバレないように覆面作家をしている。
そこそこ評価をもらえるようになってきたなぁと思っていたら、同じ漫画研究部の後輩が自分の事を『神作家』として崇め立てていて!?
褒め言葉の応酬にもだえ苦しみながらも聞かされることに……。
本編
※作中表記についての説明

・―…状況、情景の説明(例:彼の部屋のソファに座りながら話している…等)
・()…心情(例:笑いながら…、泣きそうなのを堪えて…等)
・{}…吐息、溜息など

――――――――――――――――――――――――――――――

―漫画研究部の部室。ヒロインの後輩が神とあがめている漫画家(=自分)の漫画を読んで感動している。その様を見ていられず、目をそむけながら資料の本を読んでいる。ヒロインは気に入ったモノローグを朗読をし、自分はさらに赤面が止まらない、という状況。

(世界観に浸って朗読するように)
『世界が終わる日に抱き合いながら死んでしまいたいと思った。』

{感じ入るような深いため息のあと}は~、今月の最新話神ってるわぁ。
いや、いつだって先生は神なんだけどね!

(早口で俺にプレゼンするかのような圧)
てか、見て!!
この!!!!ヒロインちゃんの顔!
はい、顔がいい!!!いや、もうマジでね、なに食べて生きてたらこんな表情描けるんですか!?!?先生!!みたいな!

―赤面がバレないようにそっけない態度をとる。次回の締め切りも近いので早く作業に戻りたいのもあり、後輩に冷たい。

(呆れつつやや小馬鹿にしたように)
ちょっと、聞いてる?
あー、先輩は冷めてますねぇ。
少女漫画だからってだけで見下したようなその態度!

(熱く力説するように)
大体ね、先生はね!!
もともと少年漫画家を目指していらしたんですよ!!!

(徐々にクレッシェンドがついていくような圧の込め方で)
で、大ヒットコミックの巨匠たちのもとでアシスタント修行をされながら極めたオリジナリティ!一般に訴えかえるエンタメ性!!きゅんとくるエモさ!!!ありとあらゆる方面を突き詰めていったその!結果が!!少女漫画なわけです!!

―面と向かってべた褒めされて居ても立っても居られなくなる。が、それが後輩には気に食わない。

(駄々をこねるように無理やり、漫画誌を見せつけて)
だーから!見てってばぁ!!
ここ!!ここなんて少年漫画で培ってきた熱い情熱が伝わってくるでしょぉおが!!
それでいて!!それでいてよ、このセリフ!!

(冒頭以上に世界観に浸って朗読)
『世界が終わる日に抱き合いながら死んでしまいたいと思った。』
(感動しすぎて気持ちが高ぶってしまい)
はい!エモ!!エモいですね!ねぇ分かるかな!!!
これはエモすぎて語彙死んじゃうかんね!

(ややクールダウンして)
はぁあ…でも先生ってこれで結構お若いって噂なんだよねぇ……。
アシスタント歴から見るに……中学生から活動してたとしても…だよ!?
やばない?同世代に神がいる…あぁ、いい時代に生まれたわ……。

―よくそこまで身辺を調べたなという気持ち、やや空恐ろしさを感じるが自身のこととも言えず小声で「キモ」とだけ答える。耳ざとく聞かれている。

(憤慨したように)
え、ちょっと口開いたかと思ったら「キモ」ってひどすぎません?
ストーカーとかじゃないです!
ネトストとか言いがかりですぅ!

だってこんな天才の軌跡を少しでも追いたいじゃないですか!
先生、SNSの露出も少ないし。

(その時のテンションの上がり方を思い出したような勢いで)
覆面で対談インタビューが出た時なんて嬉しくての部屋中をごろごろとのたうち回りましたからね!それで小指を打ち付けて正気を取り戻したもんね!
ああ、ありがとう、ベッドの角よ!

(やや冷静になって)
最新話を読んで翌月まで待つ間、あたしが出来ることなんて昔の先生の情報をディグることぐらいじゃないですか?

―恥ずかしすぎて悪態をつくことしかできなくなるが、それが後輩の癇に障り。

(今まで出したことのないような低音でキレて)
ああん?だからキモって言わないの!先輩さぁ、本当に下賤の者を見るような目で言わないでくれますかねぇ!?
あたしがメンタル強者のオタクだろうと、オタクだから強い言葉には傷つきやすいんだよ!?

―後輩からのファンレターを編集者伝手に貰ったこともなかったので、なんとか振り絞るように「じゃあファンレターとか送れば?」という。

(思いのほか挙動不審な態度に変わって)
え?
直接ファンレターとか……って、ちょ!それは!むり……無理って死んじゃうってぇ……だ、だだだってこの語彙力ですよ?
先生の強大な描写力お化けを前にして、恥ずかしいですよ。

(開き直って)
なのであたしはSNSでも呟かない派なのです☆
先生ともあろう人がエゴサなんてされてないと思いますが、……え?根拠ですか?

(知的そうな口調で)
うーん…先生の作品て圧倒的情報量・描写力なんですよね。
エゴサして外に体力使ってる余裕なんてなさそうっていうか。
『そんなことしてる暇あったら描きこみしますが?』みたいな気迫が画面から伝わってくるんですよね。

―本当の自分はエゴサをしまくるので勘違いされている『先生像』に恥ずかしさで消え入りたい気持ちになっている。が、黙っていることを共感と取ったのか後輩は饒舌になる。

(饒舌に徐々に先生へのヘイターへの怒りも滲ませて)
まぁ、でもSNS解説されてるってことはリツイートとかで目に入るかもじゃないですか、ご自身の作品へのご感想や、もしかしたら中傷、故意に傷つけようと放火魔のごとく炎上させる悪意ある言葉が!!!!まぁ、そんなクソ共は先生の目に入らないようブロック&通報があたしの日課なので先生の元に届く確率はごくごく最小なんですけどね。

(さらっと、普通の疑問といった感じで)
というか、先輩も漫研に居ながらどうしてみんなに漫画、見せてくれないんです?
しかもあたしとかが読んでる漫画にも『興味ないぜ』みたいな顔して……本当に漫画、好きなんですか?

―矛先が変わったので『そんなこと言ってない』と反論する。

(意にも介さないように)
…そんなこと言ってないって、いや確かに言ってないですけど。

(咎めるように)
態度が。ほら、その椅子に少し斜めに座って分厚い本を眺めてそうであたしとのおしゃべりに興じてるとこなんて、ほら。
斜に構えたサブカルクソ男子の象徴、そのものみたいですよ?

(ひとしきり話してどうでもよくなったように)
…っと。
あたしも先輩とこんなことで盛り上がってないで漫画描こっと。
(どうでも良くなったかと思いきや急に話しかけて)
ねぇ、そうそう!聞いてくださいよ!

今度の秋の新人賞、特別審査員に先生が加わったんですよ!
今週号で明らかになりまして!

(テンション高く、使命感に帯びながら)
もう!これは!!描くしか!!!

(急に少し照れ混じりに)
いや、ファンレターは恥ずかしいですけどね、わたしも漫画描きのはしくれですので……。
創作で殴りあう分には……えへ、なんとか……。えへへ、先生相手に殴りあうなんてちょっと大きく出ちゃいました。でもやっぱ大好きな神に見てもらえると思ったら、賞なんてどうでもいいというか、先生の目に留まったらもう勝ちというか。

ということで!
先輩も分厚い本を読んでるフリなんてやめて……へ?

―あっという間もなく、資料の本を取り上げられる。本の間に隠していた出版社とのやり取り、自分のペンネームが入った封筒が落ちる。気まずい沈黙がほんの一瞬訪れる。

なんですかこの封筒。

(封筒の文字を二度見、三度見して狂ったような声で)
はぁあああああああああ!!!!!!
あぁあああ何千回、親の顔より見てきたコミックスのロゴと出版社のマーク!?
え、あ…あああ、え?

(大声をあげすぎてかすれたような声で)
な、なんで先輩が?

―かろうじて『俺の邪魔をしないでくれ』としか言えず。

え?『俺も漫画描いてるから邪魔するな』……?

え?え?え……?
(言いたいことを察した様で土下座しそうな勢いで)
ぎゃー!!!ごめんなさい、ごめんなさい!
絶対誰にも言わないから、先輩もわたしの言ったこと今すぐ忘れて下さい!

(やや間をおいて少し嬉しいような何とも言えないような心情で)
ふぇ~~~ああ、でも……えへへ、先輩もちゃんと、いえ、誰よりも漫画が好きであたし嬉しかったです。
じゃあ、先生。頑張ってくださいね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
覆面作家してたら、何も知らない後輩にあがめられてる!?
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
灰塔アニヤ
ライター情報
色々なシチュエーションを書きます。
男性演者向けのものが多いですが、一人称や部分的な変更で女性も演じられるかと思います。
R18シナリオでお探しの場合はpixivで公開しています。

ドーナツがすきです。
よく作中にも出てきます。
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