とあるマフィアグループにスパイとして潜入した貴方は、ひょんなことから、そのグループの女ボスに気に入られてしまって…？

よぉ。ここの暮らしにももう慣れたか？


ははっ、そうか。そらたくましいこって。こんな治安悪めの地域に馴染めるなんて、自分、相当キモが座ってんな。


へぇ…嬉しいこと言うてくれんやんけ。ま、この辺仕切ってんのはウチやさかいな、カスのチンピラどもの好きにゃさせんよ。


……あ？ウチが何を我慢してるって？


アホー…知った風な口きいとったらあかんで。ウチが誰に甘えたいって？


(抱き寄せられる)


…ッ！自分なぁ…！日に日に行動が大胆になってきてんねん…ウチを誰や思うてんの？


くっ…よう回る口やで。いっぺん、縫い付けた方がええか？あ？


ん…まぁ、悪い気はせんけど。自分、ウチより年下のくせに、無駄に父性兼ね備えよるから…たまにこうして、ギュってしたなんねん…


(抱きしめ返す)


一応、念を押しとくけど…くれぐれも他の奴らにこのこと言いふらしたらあかんで？言うたら、ホンマにぶっ殺すからな。


そら、分かっとるけどやで…自分がウチとの約束を違えたことは、一度もないし…そういう意味では、普通に信頼しとるけどな？


あぁ…分かっとる。自分のことは全部、分かっとるつもりや。


…スパイ、なんやろ？こっちの情報を抜くために、隣町のグループから派遣された…


アホ…これでも伊達にボスはやってへんつもりやで？自分が何者かくらい調べてから、組織に迎え入れてるからなぁ。


まぁな…多少は泳がせといた方が、おもろい結果になる思うてな。もしかしたら、ウチは自分に偽の情報を掴ましてるかもわからんで？


ははっ…それも織り込み済みか。可愛い顔して、食えん奴…そういうとこも、気に入ってんやけどな。


…あ？自分、本気で気付いてへんの？なんでウチが自分を泳がしてるか…自分ほどのスパイやったら、とっくに気付いてそうなもんやけどな。


決まってんやろ…自分をこっちに寝返らすためやで。このままウチのモンになってまえや…な？


本気やって…ウチは、自分に対してはいつも本気やで？本気じゃなきゃ、こない甘えたりせぇへん。


仮にもマフィアのボスのウチが、スパイに対してわざわざ弱みを握らしてんやで？これがどういう意味か、察せられへんほどアホじゃあれへんよなぁ？


せや…好きや、自分のこと。スパイやら、そんなん関係あらへん…好きになってもうてんよ…


肝っ玉は座ってるし、いつもウチに変わらず優しゅう接してくれるし…何より、スパイのくせしてウチを命がけで救うてくれたからな。


分かっとる…あの時はウチに死なれちゃ、不都合やったんやろ？そやさかい、仕事としてウチを助けたに過ぎん…そんなん鼻から分かってんねん。


そやかて、ウチは自分に惚れた…あの敵の包囲から、ウチを連れ出してくれた自分が誰よりも輝いて見えてん。こんな周りを威圧するしか能がないウチを、お姫様扱いしてくれたんは自分が初めてやさかい…敵やとしても、嬉しかってん。


あぁ…あの時からやんな。ウチが自分に甘えるようになったんは…泣き顔、見られてもうたからなぁ？


あんなみっともねえ姿さらしたのは、自分が初めてやで…っと、今思い出しても恥ずかしいっつーか…


…ははっ。言うてくれるやんけ。やっぱ自分、可愛いけど生意気やんな。


ん…惚れた弱みや。そーいう生意気なとこも許せるようにはなってっけどな。昔ならぜってー、ぶち殺しとったやろうけど…


…せやな。本格的に裏切るような真似したら、容赦のうぶち殺す。他の誰でもねえ、ウチ自身の手で。


そらそーやろ…愛情って、簡単に憎しみに変わるんやで？命が惜しけりゃ、せいぜいウチを怒らせんようにな？


ん…物わかりのええ男は好きやで？その調子で、もうしばらくウチに泳がされとき…な？

・台本（ゆるボイ！）
【関西弁/純愛】甘えたがりな女マフィアの強かな告白
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎