一人暮らしの男の元に夜這いをかけに行った貴女。彼とは気心の知れた仲で、貴女自身、彼にはかなり心を許していて…？

……おい、こら。なーにが「夜這い成功♡」じゃ。全然成功してねぇよ、起きてるよ。


(ため息)


お前なぁ…いきなり人の部屋に侵入してきたかと思ったら、速攻布団に潜り込んできやがって。先に俺の許可を取れ、俺の許可を。


あぁ？んだとぉ？チョロそうだから、夜這いしたらさっさと堕とせると思ったぁ？


(アイアンクロー)


な・め・ん・な。顔面、ひねり潰すぞ、こら。


当社、ギブアップは受け付けておりませんので…その無駄に整った顔を涙と鼻水でグシャグシャにしてやらぁ。


あ〜？なんて？よく聞こえねぇなぁ、もう一回。


うるせぇ！そこまでデケェ声出さなくても聞こえてるよ！声量もまともに調整できねぇのか、テメェは！


(手を放す)


ったく…はい、手ェ放したぞ。わかったら、さっさと帰れ。


うるせぇ。夜這いしてくる奴に人権はねぇ。


つーか、彼女でもねぇのに、厚かましいとは思わねぇの？恥を知れ、恥を。


…淑女としてのプライドは捨てた？一番捨てちゃダメなもん捨ててねぇか？それ…


一応お嬢様だろ、お前…こんなボンクラ男に関わってる暇ある？ほら、お見合いとかあるだろ、色々。


…へー。そりゃ、たくましいこって…行動力のあるお嬢様はちげえや。


俺ェ？見ての通り、グータラな独身貴族だが？女寄せつけたことなんて、一度もねぇよ。


……あれはノーカン、ノーカンだから。


アイツは妹みたいなもんで、決してそういうやましい関係ではない。勘違いすんな。


やめろ、バカ。手籠めにしたとか言うな、人聞きの悪い。


んなことより、さっさと布団から出てけ。俺の寝る面積が狭い。圧迫されて、快眠できなくなっちまうだろーが。


ぐおおっ！暑苦しい！逆に引っ付くな！放せ、バカ！


待て、やめろ。自分の兄に連絡しようとすな。あの人、シスコンでめっちゃめんどくせえんだから…


まぁ、いいや…もう追い出すのもめんどくせーし、このまま寝る。


おらっ、どーせ夜這いしに来たんなら、俺の抱き枕になれ。


(彼女を腕で抱き込む)


はは…何照れてんだよ。先に仕掛けてきたのは、そっちだろ？


何が解釈違いだよ…お前の言ってることは、八割くらい意味わからん。理解する気もないけど。


…どーせまた、金持ち特有の悩み、抱え込んでんだろ？何かあったら、すぐ俺のとこ来るもんな？


そのくせ何も相談しねえし、いちいち分かりやすいんだよな…明るく振る舞ってると、余計に痛々しいわ。


……知らん。俺は何も見てねえし、聞こえてねぇ。もう眠りに落ちてるからな…


(優しく背中をさする)


あぁ、あと、これは寝言だけどさ……嫌いな奴と一緒に寝るほど、俺も酔狂じゃねーから。


……おやすみ。明日はちゃんと俺のこと、起こせよな…


(寝息)

・台本（ゆるボイ！）
【甘々/同衾】気心の知れた独身男の布団がわたしの居場所
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎