クリスマスを憎む幼なじみ二人で今年も一緒にこの日を過ごす。
だけど、今年はどうやらいつもとは違うようで――。

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さあ、今年もこの日がやってきました。
クリスマス！
そう、忌まわしいこの日が！

ということで、始めようぜ。
クリスマスの恋人たちを呪う祭りをさ！

ほらほら、座れっての。

ゲームの準備も万端！　お菓子だって用意してあるぜ！

それにしても俺って恵まれてるよなぁ。
こうやって毎年クリスマスを憎む幼馴染と一緒に過ごせるなんて。
いや、マジお前とは気が合うわ。

といいつつ、恋人、できてないだろうな？

よしよし。
好きな人は？

いえーい！
それでこそ、お前だ！

待て待て。
今のは俺が悪かった。

やめて、暴力反対。
ごめんって。

それにしても、今日は気合入ってんな。
スカートにアクセサリーまでして。

街ゆく恋人たちへの対抗だな！

ゲームをし、お菓子を食べまくる。
そんな残念なクリスマスを可愛い恰好で過ごす。
いいねぇ。分かってるじゃん！

え？
可愛いぞ。
うん、可愛い。

さぁ、なんのゲームする？
お前だったら、これか？
でも、俺はこっちがいいんだよなぁ。

どうした？

あ、もしかして寒い？
エアコンの温度上げるか。

違う？
プレゼント？

え、なんで？

今までそんなことしたことなかったじゃん！
俺、何も用意してないよ！？

受け取っちゃっていいの！？
受け取っちゃうよ！？

あ、ありがとう。

ペンダント……？

こ、こんな高そうなもんなんで！？

って、これ。
お前が付けてるのとお揃い……？

じっとして。
ちょっと見せてくれよ。

隠すな、馬鹿。

やっぱり、お揃いだ。

いやぁ、まいったなぁ。
こんなのまるで恋人みたいじゃないか！

どうしたんだよ！
何企んでるんだ？

ほら、言ってみろ。
俺は寛大だぞ！

え？

好きな人、いる？

だ、誰だよ？
ほら、幼馴染のよしみで教えてくれよ。

帰る？
なんで？

ちょっと待てよ！

なんで泣いてるんだよ……。

……なぁ、俺、今からすっげぇ馬鹿なこと言うぞ？
正直、頭はたかれたって仕方ないこと。

あのさ、お前が好きなのって、もしかして俺？

マジか。
え、マジか。

あー。うん、そっかぁ。

無理。
今、パニクってる。

そんなことって……。

このペンダントも、やっぱりそういう意味？

ごめん、気付けなくて。

あー、ほんと俺って馬鹿。
なんで、こんな大切なこと分かんなかったんだよ。

いっぱい嫌な思いしたよな。
ごめんな。

もちろん嬉しい。

けど、お前、本当に俺でいいのか？

俺よりかっこよくて、すげぇ奴なんていっぱいいる。
お前は美人だし、可愛いし、性格だっていいし、いくらだって選べるだろ。

俺が、いい？

そんな嬉しいこと言ってくれんな、ちくしょう。

なーんて、こんな真面目なの俺らしくないか！
ほんと、嬉しい！　サンキューな！

あはは、あはは……。

いや、このままじゃ駄目だ。

今更、茶化すなんてかっこ悪い。
ちゃんと言うよ。

聴いてくれると嬉しい。

俺はお前のことが世界で一番大事だ。
だから、幸せになってほしいから、俺なんてありえないってずっと思ってた。

だけど、お前が俺を選んでくれるなら――。

絶対、幸せにする。
何があっても。

はっ！？
お、重いよな！？

わわっ、泣くなよ！？
ごめんって！

え！？
ここで抱き着いてくる！？
俺、嬉しくて爆発しちゃうよ！？

えーっと、こういう時って頭なでなでとか？
よーしよしって。

許してくれ。
経験値がゼロなんだ。
レベル１なんだ。
ザコ極まりないんだ。

（深呼吸）

あ、あのさ。
もしよかったらだけど……。

今から、デート、行く？

すげぇ頷くじゃん。
ほんと、可愛いな。

化粧直しする？
わかった。

じゃあ、三十分後、お前の家の前集合でいいか？
俺も着替えるし。

おう、じゃあ。
また後で。

（扉の閉まる音）

いやぁ、マジか。
え、やべぇ、嬉しい。

気合い入れろ、俺。
あいつに最高のクリスマスをプレゼントするんだ。

さて、準備すっか。

・台本（ゆるボイ！）
残念な幼なじみと聖なるクリスマス
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト