彼はちょっとMだ。
口では嫌というけど、その本音は――。

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お疲れ。

まだ、仕事してるの？
頑張りすぎ。

そもそも、仕事はおうちに持ち帰るものじゃありません。

はい、ホットミルク。

だって、コーヒー淹れたら君、眠れなくなっちゃうじゃん。
僕は君に寝てほしいの。

え？
違う。
そういった意味じゃないよ。

ねえ、ちょっと飛躍しすぎじゃない？

それだったらさ、僕は君と寝たいの。
とかでしょ。

君ってすぐそっちに持っていくよね。

ウソだぁ。
頭の中ピンク色じゃん。

まあ、そんな君も好きだけど……。

なに？

僕はMじゃない。
君がエロいからそれに付き合ってあげてるの。

待って待って、しないよ？

仕事、残ってるんでしょ？

え、ウソ？

なんでそんなウソついたの……？

僕を自室に呼び込むため？

さ、策士……！

今日はダメ。
明日もダメ。
明後日もダメ。

どうしてって、君が一番分かってるでしょ？

僕のこと、酷く扱うから……。

確かに君は痛いことはしないよ。
でも、その、やっぱり酷い……。

だって、僕が恥ずかしくなるようなことわざと言うでしょ？
僕だってプライドとかそれなりにあるのに……。
ほら、男としての、さ。

よ、喜んでないし！
違うって！

もう。

じゃあ、僕は自分の部屋に戻るね。

……。

本当に戻るよ？
いいの？

いいんだ……。
そっか。

やっぱり駄目？

だ、だよね。

何笑ってるの？

違うから、君に弄ばれたいとかそんなんじゃないし。

ベッドに座っていい？
ありがと。

ホットミルク、飲まないの？
冷めちゃうよ？

僕？
うーん、ちょっと喉は乾いてるけど。

僕も淹れてこようかな。

同じコップ使っていいの？

あ、そうだよね。
ゴメンって。

拒絶じゃない？
じゃあ、何？

もっといい方法？
どんな？

く、口移し！？
しない、しないから！

それはダメ……！
そんなことしたら、君とキスすることになっちゃうじゃん……。

だって君のキス、怖いもん。
すごく深いから、僕が僕じゃなくなっちゃいそうで……。

そうだね。
君に支配されるみたいで、僕……。

あれ？
違う違う！

今のは誘導尋問！
酷い！！

顔が赤いのは――。
ち、違うんだから！

え？
待って。
今から？

嫌だよ。
うん、嫌。

でも、でも？
君がどうしてもって言うんなら？

え、今日も昨日みたいなことするの……？

やだよ。
嫌だって。

う……。
それは……。

逃げないのは、その……。

喜んでなんか……喜んでなんか……。

ウソ……。
僕は君の言う通り、その、ちょっと、喜んでる。

なんか、ゾクゾクしちゃって……。
おかしい、よね？

いいの？

可愛い？

う、恥ずかしいけど。
恥ずかしいほど、なんだか、変な気分になっちゃう……。

そんな目で見ないで。
僕、僕……。

あ、あぅ……。

ねえ、何もしてくれないの……？

こんなこと言わせたくせに？
僕をこうしたのは君なのに？

おねだり、しろ……？

君、僕をどうしたいの……？
僕の性癖歪んじゃうよ……？

そのつもりなんだね。
聞いた僕がバカだったよ。

し、仕方ない。
仕方なしだよ。

僕に、触って？

え、ダメ？
何がダメなの？

も、もっと？

ええっと、僕のことを抱いてください……。

ええ？　もっと！？

うぅ……何だろう。何を言えば。

このドMを躾てください、ご主人様……。

わ、笑わないでよ！
頑張って考えたのにぃ。

うぅ、ここで頭なでなではずるい……。

ん？
どうかした？

待って、どうして首輪があるの？

流れるようにつけないで。
しかもサイズぴったりなの何で？

もう一回？

う、仕方なく。
仕方なくだよ！

このドMを躾てください、ご主人様……！

【終わり】

・台本（ゆるボイ！）
君にしつけられたい。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト