ある日、彼氏に会いたくなった貴女は、朝っぱらから彼の家を訪ねる。家から玄関先に出てきた彼は、目のクマがすごく、まさに徹夜明けといった状態であった。そんな彼氏を心配する貴女だが、彼は大丈夫だと言い張って…？

(インターホンが鳴ったので、ドアを開ける)


おー、らっしゃい…まぁ、上がれよ。


いや、まぁ、たいしたことない。徹夜明けなのは間違いないけど。


寝る寝る。これから寝るから、そんな心配すんなよ。


いや、帰らなくていい。むしろ会いに来てくれて嬉しいぞ、俺は…


どーぞ、お嬢様？狭い部屋ですが、ゆっくりしてってくだせぇ…なんつって。ははっ…


(彼女を家にあげる)


あ〜、とっ散らかってて悪りいな。お前来るとは思ってなかったからさ。掃除も片付けもしてねえんだわ。


あ、これ？エナドリと缶コーヒー。修羅場乗り切るための、現代人の必須アイテム。箱買いしたからまだまだあるぞー。


んー…まぁ、繁忙期だからなー。家に仕事持ち帰ってやらねーと、間に合わねーんだわ。


ん？ブラックだよ？うちの会社…


でも給料良いし、辞めるのはもったいないんだよなぁ…


へーきへーき。これくらいで身体壊すほど、ヤワじゃないって。


死なねえよ…いちいち大袈裟だな、お前…


あー、悪かった悪かった。だからそんな怒んな。な？


(抱きしめる)


…落ち着いた？このせっかち星人…


ホントのことじゃん…昔ってか、高校の頃からずっとそんな感じだったし？


俺、覚えてるからな…高三の時、お前が卒業したら同棲しよっつって、駄々こねたの…


バーカ、忘れるかよ。しかもその後、俺の布団に不法侵入してきやがって…心臓止まるかと思ったぞ。


いや、ダメだろ。親から許可もらっても、俺からは許可出てないじゃん。


ま、いいけどな…その後なんやかんや、和解したし。結局、同棲はしてないんだけど。


いや〜、はは…面目ない。まさかお前と一緒に行くはずだった大学に落ちるとは…


マジであの時はすまん…俺、受験落ちたショックで同棲どころじゃなくなってたわ。


そんなクソダサ彼氏によく別れ告げなかったよな、お前…


俺、いつお前に別れ切り出されるんだろうって、めちゃくちゃビクビクしてたんだからな？


いや、だって…普通失望するくね？


同棲は待ってくれーって泣き言言った挙句、一緒に通うはずだった大学には落ちて…今思い出しても恥ずかしすぎて、死にそうになるわ。


昔っからお前に女々しい女々しい言われてきたけど…実際その通りだわ。俺、めちゃくちゃ女々しい。


おまけに、今は社畜してて、全然お前にかまってやれねえし…お前、もうとっとと他に良い男見つけた方が…


(押し倒されてキスされる)


う…ぇ？な、何…？顔が般若(はんにゃ)みたくなってるんですが…？


や、あ、その…ちょっと落ち着け？な？


あ、はい…さーせんした…


う、うん…まぁ、そうですね、はい…


そ、そんなことも言ったな…若気の至りによる発言だけど…


あ〜、わかったわかった！俺の負け！俺の負けでいいから、これ以上は勘弁してぇ！頼むから！


え……今から？ガチ？俺、徹夜明け…


はい！仰せのままに！彼女様！


え、えーとぉ…嫌ではない、けど…


てかそもそも、押し返す力も残ってねーし…


今ヤられたら、多分次の朝まで目ェ覚まさねー自信あるけど…まぁいいや。もうどうにでもなれ。


…好きに決まってんだろ。お前のために働いて、金貯めて、今度こそ同棲するって決めてんだから。


ん…好きにしろ。このせっかち星人め…

・台本（ゆるボイ！）
泣き言ばっか言って女々しい彼氏を押し倒してわからせる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎